ライフ

《異常な気候変動》災害避難において知っておくべきこと「もっとも重要なのは日頃の備え」「危険を感じたら早めに避難」「長靴よりスニーカー」

温暖化の影響で気候が変動して大きな被害を受けることが増えている(写真/photoAC)
写真5枚

厳しい猛暑、大きな被害をもたらす集中豪雨、そして日本列島を襲う台風──ここ数年は温暖化の影響もあり、気候が大きく変動している。そこで、温暖化や気候変動の仕組みとともに、災害から命を守るためにできることを紹介する。

地球温暖化が進んだらどうなる?

まず、気温とともに海水温が上昇し、水蒸気が大量に発生すると、豪雨が増え、台風も巨大化してさまざまな自然災害を引き起こす。

その一方で、弱い雨の降る日が減り、水不足と猛暑で農作物の生育に影響が出る。

海水温の上昇で魚介類の生息地が変化し、海産物の水揚げエリアが激変。これまで当たり前のように食べてきた食材が入手困難に。

さらに、春と秋が極端に短くなり、二季化現象が加速。日本の美しい四季が見られなくなる。

そもそも気候変動はなぜ起きる?

気候変動を招く温暖化の要因は、産業革命以降に化石燃料の使用で大気中に二酸化炭素(CO2)が増加したこと。約200年前と比べて、現在は温室効果ガスであるCO2が大気中に急増し、温室効果がこれまでより強くなり、表面温度が上昇しているのだ。

もともと温暖化以前は北極と赤道の間の温度差が大きく偏西風は強くまっすぐ吹いていた。それが北極の温暖化が進み、赤道との温度差が縮まった現在、偏西風の吹き方は弱く、蛇行している。

北極の温暖化が進むと赤道との温度差が小さくなり、偏西風が弱くなって蛇行する
写真5枚

日本はこの蛇行する偏西風の南の暖気の領域にあるため、夏は気温が高くなる。すると猛暑の直射日光で海水面が熱せられ、近海は高い海水温が秋まで続くことに。

さらに近海で起きている異変(熱帯から来る黒潮と対馬海流が、従来よりも北上している)によって、日本海と東北の太平洋側の海面水温の上昇率も高くなる。このため日本の天気は激変。豪雨と灼熱という極端現象がもたらす激烈な気象災害にも、注意が必要に。

災害から命を守るにはどうすればいいのか

備え方

もっとも重要なのは日頃の備え。【1】食料や飲料水の備蓄(最低3日分)。【2】非常用持ち出し袋の用意。【3】家族間での安否確認方法や避難場所の共有。【4】ハザードマップの確認など、ふだんの準備を怠らず、いざというときに備えよう。

避難のタイミング

各市町村などから避難情報が発令されるが、危険を感じたら自らの判断で早めに避難する。夜間は視界が悪く危険なので、日没前の明るいうちに避難しよう。

警戒レベルごとの新たな避難情報
写真5枚

【警戒レベルごとの避難情報】

警戒レベル5:緊急安全確保

〈警戒レベル4までに必ず避難!〉

警戒レベル4:避難指示

警戒レベル3:高齢者等避難

警戒レベル2:大雨・洪水・高潮注意報(気象庁)

警戒レベル:1早期注意報(気象庁)

警戒レベル1と2は気象庁が発表し、避難の準備や行動の確認をする。3以降は各市町村から発令され、3で高齢者から段階的に避難し、4では危険な場所から全員避難する。

避難時の服装

避難する際は、服装にも注意を。動きやすくて目立つ格好、けがを防ぐため夏場でも長袖・長ズボン、長靴は水が入ると重くなるので避けスニーカーを履く、足元を確認するため傘や杖を持つ。そのほか、道路が冠水している場合は、水が50cmを超える場所や、流れがあるところには入らないのが鉄則だ。

避難する際の服装と持ち物(イラスト/勝山英幸)
写真5枚

的確な情報収集

災害時には、正確な情報をいち早く入手したい。ラジオや地域の防災無線のほか、信頼性の高い公的機関(国土交通省や気象庁など)の防災サイトを、事前にスマホなどに登録しておくと便利だ。

気象庁の「キキクル(危険度分布)」では、自分が住んでいる地域の土砂災害・浸水・洪水の危険度が確認できる
写真5枚

逃げ遅れないヒケツ

災害時に命の危険が迫っているのにもかかわらず、逃げ遅れてしまう人が多いのはなぜか?

それは、「これくらいなら大したことない」「いままで大丈夫だったから、今回も大丈夫」「周りの人も避難していないから、自分も避難しなくていい」といった勝手な思い込みが判断を鈍らせてしまうから。少しでも異常や危険を感じたら、すぐに避難しよう!

取材・文/北武司

※女性セブン2024年9月26日・10月23日号

関連キーワード