健康・医療

秋冬に起こりやすい「長引く咳」の原因と対策は? 取り入れたい食材などを医師が解説

咳き込む女性
長引く咳の対策を紹介
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咳が長引くと会話の途中で咳込む状態が続いたり、就寝中に咳が出て安眠できなかったりと日常生活に支障が出ることもある。「秋の冷たく乾燥した空気は喉を刺激しやすいため、咳が出てしますと長引きやすい傾向があります」と話す医師の木村眞樹子さんに、長引く咳の原因と日常生活での対処法、喉をいたわる食材や漢方薬について教えてもらった。

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咳が長引く原因

咳が長引く原因は、主に体の防御反応によるものと、炎症や過敏反応によるものです。

咳は体の防御反応

咳は気道に侵入したウイルスや細菌、ハウスダストなどの異物を排除するために起こる反応であり、人体に備わった防御反応のひとつです。

本来、喉や鼻などの粘膜がウイルスや細菌などの侵入を防いでいますが、空気が乾燥すると粘膜の防御機能が低下しやすくなります。さらに、寒く乾燥した気候が続く秋や冬にはウイルスの活動が活発になるため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。感染症にかかると、発熱や喉の痛み、鼻水・鼻づまりとともに咳が出ますが、これらの症状は体が病原体と戦っている証拠です。

しかし、発熱や痛み、鼻の不調といった症状が見られなくなってからも、気道粘膜が受けた損傷が完全に回復していないと、咳が長引く場合があります。

空気清浄機
ハウスダストなども咳の原因に
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また、ハウスダストや花粉などアレルギー性の咳の場合は、アレルゲン(原因物質)を取り除かない限り続くのが特徴です。秋はブタクサやヨモギなどの花粉のほか、梅雨から夏にかけて繁殖したダニの死骸やフンなどがハウスダストとなりアレルギー反応を引き起こすため、自身の咳の原因となるアレルゲンを特定して取り除く必要があります。

これらの咳は痰を伴うケースが多く、長くても3週間くらいで治るのが一般的です。医学的には3週間未満の咳は「急性の咳」と分類されます。

炎症や過敏反応による咳

慢性的な炎症が生じて気道が過敏になり、さまざまな刺激に反応して咳が止まらなくなってしまうこともあります。気管支ぜんそくや咳ぜんそくがその一例です。

気道が敏感になると、会話や運動のような日常的な動作や、冷気などが引き金になって咳が出る場合もあります。咳ぜんそくで気道が過敏になっている人は、喉の痛みやイガイガ感を伴うことが多く、痰の少ない乾いた咳が出ることが多いです。とくに、秋は冷たく乾燥した空気やダニの死骸を含むハウスダストなどが喉を刺激し、症状が悪化しやすくなります。

また、呼吸器系以外の別の病気が隠れている場合もあります。逆流性食道炎がその一例で、喉に逆流した胃酸が喉の粘膜を傷つけて炎症を起こし、慢性的な咳や喉の痛みを引き起こします。咳だけでなく胸やけやげっぷなども見られる場合は、逆流性食道炎の可能性が高いでしょう。

医学的には、咳が3〜8週間続く場合は「遷延性(せんえんせい)の咳」、8週間以上続く場合は「慢性の咳」と分類されます。咳が3週間以上治らない場合には、呼吸器科を受診して医師の診察を受けましょう。

長引く咳の対処法

咳を早く和らげるには、喉の潤いを保ち、刺激を抑えることが大切です。

うがいをする女性
喉の潤いを保ち、刺激を抑えることが有効
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喉の潤いを保つ

喉の粘膜が乾燥すると、ちょっとした刺激でもダメージを受けて炎症が起きてしまい、咳が悪化しやすくなるため、喉の潤いを保つようにしましょう。

喉への刺激が少ない白湯や、抗炎症作用もあるカモミールなどのハーブティーなどをこまめに飲んで水分補給をすると、粘膜が潤い喉の負担を和らげることができます。喉飴を舐めて、唾液の分泌を促すのもおすすめです。

また、部屋の湿度管理も欠かせません。加湿器を使用したり、濡れたタオルを部屋に干したりして、適度な湿度(40〜60%程度)を保つようにしましょう。

喉が痛んだりイガイガしたりするときは、うがいで細菌やウイルスなどを洗い流すことも効果的です。咳の原因となる風邪やインフルエンザなどの感染予防にもつながるため、日頃からうがいを習慣にすることを心がけるとよいでしょう。

喉への刺激を避ける

咳が続くときは、辛い食べ物やアルコールなど、粘膜を刺激する飲食物の摂取は控えるのが望ましいです。熱い食べ物も喉の粘膜を傷つけて咳を悪化させることがあるため、少し冷ましてから食べるようにしましょう。

また、タバコの煙は気道を刺激して咳を引き起こすため、禁煙したり受動喫煙を防いだりしましょう。

喉への刺激となるウイルスやアレルギー物質の侵入を減らし、喉の乾燥を防ぐ効果もあるマスクの着用もおすすめします。

長引く咳への対策に取り入れたい食材

長引く咳には喉を潤したり疲労回復を促したりする働きが期待できる、はちみつを取り入れるのがおすすめです。

はちみつをすくっている
長引く咳の対策にははちみつを
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また、水分が豊富な梨は漢方医学において呼吸を司る「肺」を潤して咳を鎮めたり、口の乾燥を抑えたりする食材だといわれています。生のまま食べるだけではなく、はちみつ入りのコンポートにするのもいいでしょう。

ただし、1歳未満の乳児がはちみつを食べるとボツリヌス症を起こす危険があるため、子や孫と一緒に食べないように注意しましょう。

長引く咳には漢方薬も役立つ

長引く咳をおさえるには、生活習慣や食事の工夫とあわせて漢方薬を服用するのも効果的です。咳の改善には、「喉や肺に潤いを与える」「喉の炎症を抑える」などの働きのある生薬を含む漢方薬を選びます。

粉薬4種
長引く咳の対策に役立つ漢方薬を紹介
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おすすめの漢方薬

・麦門冬湯(ばくもんどうとう)

喉や気管などに潤いを与え、咳や口の中の乾燥からくる咳を改善する漢方薬です。痰があまり絡まない乾いた咳や、喉の乾燥などに悩んでいる人におすすめです。

・麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)

咽頭部の熱を冷まして炎症を抑えることで、咳を鎮めて呼吸しやすくする漢方薬です。強い咳や粘稠な痰(ねばねばとした痰)を伴う咳、口の渇きに悩む人におすすめです。

漢方薬を始める際の注意点

漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれたのは:医師・木村 眞樹子さん

白衣を着た女性
医師の木村眞樹子さん
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きむら・まきこ。医師。都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。

自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。

症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でもサポートを行う。

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