朝晩が涼しくなると始まるくしゃみや鼻水、咳、喉のイガイガは、秋特有の気候が原因かもしれません。漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんによると、鼻や喉の不快な症状は、生活習慣を見直すことで改善する可能性があるそうです。そこで、普段の生活で気をつけたいポイントや食事に取り入れたい食材、効果が期待できる漢方薬について教えてもらいました。
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秋に起こる呼吸器の不調の原因は乾燥や寒暖差
秋の気候の特徴として、空気が乾燥することや、1日の中で寒暖差が大きくなることが挙げられます。
湿度が低いことで機能低下や寒暖差アレルギーが発症する場合も
湿度が低い環境では、呼吸によって体内に侵入した細菌やウイルスを排出する「線毛運動」が弱まることが知られています。また、傷ついた細胞を修復する機能が低下するとされているなど、空気が乾燥していると呼吸器に不調が起こりやすいのです。
さらに、寒暖差が大きいと自律神経のバランスが崩れ「寒暖差アレルギー」が発症する場合もあり、感染症や花粉症でなくても、咳や息苦しさなどの症状があらわれやすくなります。
秋に起こりやすい呼吸器症状をチェック
呼吸器の不調であらわれる主な症状は以下の通りです。
・くしゃみ
・鼻水
・咳
・痰
・息苦しさ
空気の通り道である呼吸器に異物が侵入するなどの異常があると、これらのような反応があらわれます。さらに症状が長期化すると炎症が起きたり、空気の通り道が狭くなったりするため、呼吸のしづらさを感じる場合もあります。
毎日意識したい秋の呼吸器ケア
このような秋特有の気候の影響を受けず快適に過ごすために、日常生活で意識したいことが2つあります。
マスクをする
マスク越しに呼吸をすると、呼気に含まれる水分で空気がマスク内にこもるので、鼻と口の周りの湿度が高くなります。よって、吸い込む空気の湿度も高くなり、呼吸器の負担が軽減できます。
十分な睡眠
人間には、外界の影響を受けずに体内の状態(体温・血液量・血液成分など)を一定に保つ「ホメオスタシス」という能力があります。
ホメオスタシスの能力はストレスで弱まるといわれています。ホメオスタシスの能力が弱まると、外気の大きな温度変化に影響されやすくなり、呼吸器の不調につながることもあるので、ストレスをため過ぎないことが重要です。
大きな費用や労力がかけずにストレスを解消する方法としては、睡眠がおすすめです。朝、目覚まし時計をかけなくても気持ちよく起きられる程度の睡眠時間を確保できるといいでしょう。
秋の呼吸器をいたわる食材・栄養素
呼吸器のケアをする際に注目したい栄養素がビタミンAです。ビタミンAは呼吸器の内側を覆う粘膜の合成に欠かせない栄養素なので、ビタミンAを多く含む食品を食事に取り入れてみましょう。
しらす干し
しらすは頭や骨、内臓も丸ごと食べられるため栄養豊富で、ビタミンAはもちろん、たんぱく質やカルシウムも多く含みます。
ポイントは「釜揚げしらす」ではなく「しらす干し」を選ぶこと。干して水分が少なくなっている分、同じ量を食べた場合にしらす干しの方が効率的にビタミンAを摂ることができます。
にんじん
にんじんに多く含まれるβ-カロテンは体内でビタミンAに変換されます。
1年中手に入れやすいにんじんですが、旬は春と秋。10月〜12月には「冬にんじん」と呼ばれるにんじんの出荷量が多くなります。皮に近い部分に栄養が多いので、皮ごときんぴらやかき揚げにして食べるのもおすすめです。
焼きのり
焼きのりにもるβ-カロテンが豊富に含まれています。乾物である焼きのりは常温で長期保存できるので、常備しやすいこともおすすめのポイントです。焼きのりにはうま味があるので、ごはんのお供としてはもちろん、ゆでた青菜などと和えたのり和えや汁物の具として使ってもおいしく食べられます。