実は美容に大きな影響を及ぼす「骨」。まだ先と思いがちだが、頭蓋骨は30代からやせ始め、しわやたるみの原因に。また、骨量が減少し始めるのは女性ホルモンの分泌が低下する40代というから、今すぐ、骨の健康を保つケアが必要だ。そこで、骨密度の低下が美容面に影響を及ぼすメカニズムについて医師に教えてもらった。
骨密度の低下が美容に大きく影響する理由
「骨密度の低下は美容面にも影響します」と、ゆりクリニック院長の矢吹有里さん。
「なぜなら顔の“骨やせ”が、見た目の変化を招くから。骨がやせることで、表面を覆っている筋肉や靱帯がゆるみ、皮膚を支えきれなくなってしまうのです。昨今、骨密度の低下は、しわ、たるみ、ほうれい線やハリの低下などを引き起こす原因の1つといわれています。
『エステに通ったり、高価なスキンケア商品を試したりしているのに効果がない』という人は、骨が影響しているかもしれません」(矢吹さん・以下同)
骨やせが、顔にどんな変化をもたらすのかを示したのが、別掲の図だ。
全体的に肌の弾力が低下し、しわやたるみができる。
そして、目の周りのくぼみが大きくなり、ゴルゴライン(目頭の下から頰にかけてななめに刻まれる線)やほうれい線が現れ、頰が平坦になって表情が乏しくなる。さらに、二重あごや首のしわが目立ってくる……。ああ、恐ろしいばかり!
「通常、腰椎や大腿骨の骨密度は更年期の頃から低下が始まりますが、実は、顔の骨密度に関しては、全身の中でもっとも早く、すでに30代後半から低下し始めるといわれているんです」
骨密度低下の食い止め&キープで老け顔回避
もう手遅れでは……と落胆するも、諦めるのはまだ早い、と矢吹さん。
「だからこそ、骨密度の低下を食い止め、維持することがとても重要です」
それにより、うれしい効果が期待できるとも。
「骨には、代謝の際に『オステオカルシン』という骨ホルモンが分泌されているのですが、これは“若返りホルモン”と呼ばれ、注目されている物質なんです」
オステオカルシンは、骨芽細胞から分泌されるたんぱく質で、骨の支柱として重要な役割を果たしている。その一部は血液に放出され、全身の臓器に影響を与えているという。
「すい臓では、血糖値を下げる働きのあるインスリンの分泌を促すことがわかっており、糖尿病やメタボリックシンドロームの治療に向けた研究が進められています。そのほかにも、筋肉の向上や認知・記憶機能の改善、生殖能力の向上などが期待されています」
骨を強化し、オステオカルシンの働きを促進させれば、老け顔も改善できるかもしれない。
◆教えてくれたのは:整形外科医・矢吹有里さん
女性のための整形外科ゆりクリニック(東京都港区)院長。東京都済生会中央病院整形外科医長を経て現職。雪印メグミルクによる「骨太な未来プロジェクト」アドバイザーも務める。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2024年10月17日号