直接目に入れるものだけに、使い方には注意したいコンタクトレンズ。しかし、便利で身近だからこそ、ついうっかり……というピンチが起こりがちだ。そこで、『いつも使っているコンタクトレンズのことを、あなたはほとんど知らないかもしれない』(アスコム)を上梓したコンタクトレンズ会社社長の吉田忠史さんから、意外と知らない装着時間のルールや寝起きにレンズが目に張り付いてしまったときの対処法などを教えてもらった。
コンタクトレンズの装着時間
コンタクトレンズには装着時間も決められており、1枚につき、ソフトタイプは12時間、ハードタイプは15時間が適切な時間だ。この時間を超えて装着することは、目にかなりの負担をかけることになる。
長時間つけるときは目薬やめがねの活用を
「この時間を超えて装着し続けると黒目の部分に酸素が不足し、目に負担をかけてしまいます。できればコンタクトは朝につけたら、帰宅後はすぐにはずす習慣をつけるといいでしょう」
決められた時間を守って装着する場合も最大時間になる場合には、目薬などで乾燥を防いだり、めがねにする時間を設けたりして、ケアをすることが目の健康を守ることにつながる。
20−20−20ルールで目を守る
目と画面の距離が30cm以内の時間が長くなると近視が進行するとされている。そのため、パソコンやタブレットなどを近くで見る時間が多い場合に取り入れたいのが、目の疲労を防ぐことにもつながる「20-20-20ルール」だ。
「『20-20-20ルール』とは、アメリカ眼科学会が推奨している眼精疲労やドライアイの予防についての提案です」
これは、20分に1回、20秒間、20フィート(約6m)離れたところを見るというもの。遠くを見る時間を設けることで、ピントを合わせる筋肉が働き続けて疲労するのを防ぐ効果が期待できる。やり方自体は簡単なので、デスクワークが多い人などは続けられるように意識してみよう。
コンタクトレンズをしたまま寝るのはNG
飲み会から帰ってきて、思わずコンタクトレンズをしたまま寝てしまった、気づいたらソファで寝落ちしていた、といった経験がある人もいるだろう。もちろんこれは、コンタクトレンズを使う際のNG行為。
そのようなことを繰り返している自覚がある場合は、飲み会にはめがねで参加、家に帰ったらソファに寝転ぶ前にコンタクトレンズを外す、など、装着したまま寝ないような習慣をつけるのがおすすめだ。
「また、寝る前にギリギリなんとかコンタクトを取れたとしても、15分は寝るのを我慢!コンタクトで乾燥した黒目の保護層がその15分で回復しますので、回復してから寝ましょう」
角膜が傷つきやすくなり、菌が繁殖するリスクも
「寝ている間は涙がほとんど分泌されないため、目は乾燥して角膜に傷がつきやすい状態になっているうえ、菌も繁殖しやすい状態です」と、吉田さんがいうように、昼休みに少しだけ仮眠をしたいというときでさえも、コンタクトレンズをはずすことが推奨されている。
「たとえほんの少しの時間でも寝ている間は目が乾燥して傷がつきやすくなりますし、傷から菌が入って感染症という可能性も高まります。1day タイプは新しいものに替え、2weekタイプなどは保存液に入れ、洗浄してから使用しましょう」
張り付いてしまったら無理して取らずにシャワーを活用
とはいえ、寝てしまってから後悔しても仕方がない。起きたとき、コンタクトレンズが目に張り付いて取れなくなってしまったら、できるだけ目に負担の少ない方法で外すことが大切だ。
まずは、コンタクトレンズをつけたままでも使用できる目薬で目の潤いを補うことを試してみるのがよい。それでもどうしても取れないときの最終手段がシャワーの水圧を使うことだ。
「菌などの影響があるので、あまりおすすめはしないのですが、強めのシャワーを目の横から当ててみてください。指でつまむよりも取りやすくなりますよ」
なお、コンタクトレンズをしたまま寝て起きた日に、新しいコンタクトを入れて過ごすのも、目への負担が大きいため、基本的には避けるべきだ。
「その日はメガネにするなど、『休肝日』ならぬ『休コンタクト日』にしてください」
◆教えてくれたのは:株式会社パレンテ代表取締役・吉田忠史
よしだ・ただし。2011年に株式会社パレンテ代表取締役就任。コンタクトレンズECサイト「レンズアップル」を運営するほか、 自社ブランド「WAVE」では「“見える”をもっと楽しく。 “見える” をもっと手軽に。」 をコンセプトに、コンタクトの枠を越えた商品・サービスを展開し、 視覚を通じて人生を豊かにすることに貢献。 日本一コンタクトを愛し日本一コンタクトを売りたい男として、YouTube「コンタクト社長よしだちゃんねる」 を配信している。https://www.youtube.com/channel/UC42lUmww3cdxr0nUKiS647g
◆監修:眼科医・河内敏
かわち・さとし。コンタクトレンズの正しく安全な使用法を啓もうすべく、 株式会社パレンテと組んでさまざまなプロジェクトを企画したり、ラジオパーソナリティやイベントでの講演も行なったりしている。