年齢を重ねると衰えることはたくさんあるが、”進化”すると声に美味い味が出る
クミコ:逆にシャンソンの世界では80才、90才近い方が現役で歌ってらっしゃるし、50代でも若手と呼ばれます。年齢を重ねると衰えることはたくさんありますが、うまく”進化”すると声に美味い味が出てくるんです。
特に今年は、越路吹雪さんの生誕100年。パリ五輪でセリーヌ・ディオンが『愛の讃歌』を歌い、シャンソンの当たり年にしたいという気持ちもあって、私も歌わせていただきました。私の中では、言葉に重きを置いているという意味で松本さんの世界とシャンソンは繋がっていると思うんです。12月のコンサートでも松本さんの作品を歌わせていただきますが、シャンソンと並べても全然違和感なくお聴きいただけると思います。
聖子さんの『SWEET MEMORIES』や、薬師丸さんの『Woman』、森進一さんの『冬のリヴィエラ』にも挑戦しようと思っています。誰もが知っている完成度の高い曲を歌うのは覚悟がいりますが、 原曲とは違う感動をお伝えすることができたら嬉しいですね。
松本:人生はあっという間。ぼくも、いつ倒れてもおかしくない歳になってきた。生きているのが不思議なくらいで、今後の目標を聞かれても、無いというしかないんだけど(笑)。とりあえず来年一年は頑張ってみようと思います。
クミコ:松本さんの作品は、時代を超えてあらゆる年代の方の心を捉えている。流行歌なのにリバイバルではなくて、言葉が本質的だから今の歌として存在しているんです。だからきっとまた、ポロッと何かが生まれるはず。これからがますます楽しみですね。
取材・文/鈴木竜太 撮影/関谷知幸