飯島直子さんが2023年、突然インスタグラムをスタート。すっぴんや、親近感のわくリアルな食事、そして読む人を思いやる優しさに溢れるメッセージ。飾ることのない自然体なライフスタイルの投稿はすぐさま話題に。癒やし系と呼ばれたあの頃からさらに進化した、輝く笑顔の裏側に迫ります。12月5日発売の大人女性に向けたムックシリーズ『reShine冬号』から飯島直子さんのインタビューを一部抜粋して紹介する。
50代になって、若い時には思えなかった感情が出てきた
2025年、57歳になる飯島さん。50代になって気づいたことがあるそう。
「よかったことで言えば“ひとつ抜けた”という感覚はありますね。若い時には思えなかった感情とか想いとか。そういったものが出てきた感じかな。あとは自分を守っていた、もしくは自分に課していた重い鎧を外せるようになり“歳とったから勢いがなくなった”とかではなく、「そんなことしてもしょうがない』って気づけたんだと思います」
プライベートではこの7年間でいろいろなことがあったと言います。
「私にとって50代は両親を相次いで亡くしたり離婚したり、プライベートでもしんどいことが多かったかな。父が亡くなったのが7年前。ちょうど私が50代を迎えるか迎えないかのころです。 病気がわかった時、私は自分のことのようにショックを受けてしまい、その日から世界が昨日とは全く違う色になってしまいましたね。数年の闘病生活の末、父が亡くなり、母はひどく落ち込んでしまって。そんな母を守りたい一心で、今度は母を一生懸命支えました。
父が亡くなって3年、今度はやっと元気を取り戻した母が、ある日突然クモ膜下出血で亡くなってしまったのです。そこから、私は完全に塞ぎ込んでしまいましたね。母を守ることで父の死を乗り越えようと奮い立たせていた私は、母が亡くなって完全に腑抜けになってしまったんです。そこからはもう、『守る人もいないのに、私はどうやって生きていくのだろう』とまで思いつめてしまって」
一歩ずつでもいいから前に進む。逆行さえしなければ何かが見つかる
そんなドン底の状態から戻って来られたのは友達や周りの人たちのおかげ、と語る飯島さん。
「ずっと家に引きこもっている私に友人がある時、『そろそろ外に目を向けてみたら?」と言ってくれたんです。じゃあ何か発信してみようかと思った時にどうせなら、新しいもの、苦手なものをやってやろうと思ったんですよ。もう、破れかぶれですよ(笑)。両親がいた時は『何か私が不適切な発言をして、家族に迷惑がかかったらいけない』と気になっていたんです。でもまずやってみよう、くらいの気持ちで苦手と思っていたSNSを始めることにしました」
前を向くきっかけとして始めたSNS。前に進んだことで大きな気づきがあったそう。
「今だから言えるけど、人生、時には立ち止まってもいいんだと思います。でもそのあとはゆっくりでもいいから進む。逆行だけはしない。だって過去に縛られるなんて嫌じゃないですか。過去のことはもう変えられないし。もし、今誰かが人生逆行しようものなら、飛んでいって引き留めますよ、私(笑)。一歩ずつでもいいから、歩いていれば、必ず何か見つかるはず。今はそう思っています」
◆飯島直子
いいじま・なおこ。東京都生まれ、横浜育ち。抜群のスタイルを生かし、モデル、キャンペーンガールなどを経てテレビドラマにて俳優活動を開始。中でも日本コカ・コーラ社「ジョージア」のCMは社会現象を起こし元祖「癒やし系女優」 と呼ばれるように。以後数多くのドラマ、映画で活躍中。最新の著書『今のための今まで』(1760円/世界文化社)では、飯島さん実践の美容とセルフケアから、生い立ち、 家族のことまで初公開。@naoko_iijima_705_official
撮影/三瓶康友 ヘアメイク/馬田恵美 スタイリスト/奈雲恵理 構成・文/加治かおる
ラクーンニット3万1900円/ルーニィ、ハーフパンツ/スタイリスト私物、ラリエット6万6000円、 人差し指にしたリング 6万500円/以上すべてSTAR JEWELRY(スタージュエリー銀座店)
『reShine冬号』では、飯島直子さんが表紙を務める。映える&効きめがある&気分が上がるおしゃれ・美容・趣味・暮らしの実例を紹介。林真理子さんのエッセイの他、特集記事「美しい人のマイルール」では、黒田知永子さん、松本孝美さん、岩井ヨシエさんほか、大人世代の人気モデルたちが、今の年齢だから楽しめるおしゃれのヒントを紹介している。
※『reShine』2024年冬号