社会

名門女子校・桜蔭学園が隣接地のタワマン建設計画をめぐって能の名門「宝生会」と法廷闘争 “高層階からの盗撮”や“工事によって校舎が崩壊”への危険性が争点に

争点には“工事によって校舎が倒壊する危険性”も

桜蔭学園側に詳細な建て替え計画が提示されてから約3年。建築計画を担う不動産業者を交えた話し合いを経て、《校舎と同じ高さの部屋にはベランダをつけず、窓を磨りガラスにする》といった改善策は提示されたものの、高層階や共有スペースから盗撮される危険性は依然として残ったままだ。

桜蔭学園は今年8月、「総合設計制度」の許可処分権限をもつ東京都を相手取り、東京地裁に提訴。許可を差し止めるよう求めており、冒頭の通り、11月20日に第1回口頭弁論が行われた。

桜蔭学園は今年8月に東京地裁に提訴している(写真/イメージマート)
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建築トラブルに詳しいアディーレ法律事務所の長井健一弁護士が解説する。

「この裁判では、“教育環境悪化の有無及び程度”に加え、“傾斜地における工事によって校舎が倒壊する危険性”も争点になっています。

裁判の結果、桜蔭学園側の要求が認められなかった場合でも、桜蔭学園側の懸念を解消するため、マンション建築計画の一部を見直す方向での話し合いになる可能性があります」 

類似のケースとして、2013年に日本テレビの番町スタジオが名門女子校「女子学院」の横に建てられるという計画が発表された際も、保護者から大きな反発があり、都議会への陳情、日本テレビへの嘆願書提出などが行われた。だが、結果として当初の予定と同じ地上11階建てのビルが2018年に建てられた。現在も、さらなる商業施設の建設をめぐって、女子学院の保護者と日本テレビとの間で争いが続いている。

今回のタワマン建築計画について経緯を尋ねたところ、桜蔭学園は「お答えできません」と回答。宝生会は「覚書については、既存建物に増築しないことを合意したものに過ぎず、建替えについては適用されない」と答えた。

100年近く「お隣同士」という、縁の深い両者のすれ違いが生んだ今回のトラブル。将来の日本を担う女子学生たちが落ち着いて学べるような妥協点は見つかるのか。 

※女性セブン2024年12月19日号