強迫観念が不健康を生む
帯津:そうですね。私は仕事も大好きで、お酒も大好きで、好きなことしかしていない。いまは、21時半くらいに寝て3時半に起きるという生活リズムですが、これも規則正しくしなきゃと思ってやっているわけじゃありません。それが自分に合っているだけのこと。
和田:ぼくも眠くなったら寝るし、目が覚めたら起きます。規則正しさを求めると、強迫観念に駆られる。”○時には寝ないといけない”“睡眠時間はきちんと確保しないといけない”とかね。日本人は真面目だから特にそうなりがちですが、体にいいとは思えない。
健康診断も、強迫の代表例です。義務化されたのは1970年代ですが、当時は働いている女性は少なくて受診者のほとんどが男性だった。ところが平均寿命を見ると、男性の平均寿命の延びは女性よりも小さい。つまり、健康診断に意味はないということです。ぼくはもう何年も受けていません。
帯津:私は受けないといけないので、毎年一度は必ず受けていますが結果は見ていない(笑い)。異常値がいくつも出てるみたいだけど、気にしないですね。γ―GTPも20年間“負け知らず”でしたが、人から梅肉エキスをすすめられて飲んでみたら一気に2桁まで下がった。これも健康にいいというより、おいしいから飲んでいます。
和田:最近は「理想の老い方」とか「理想の最期」なんていわれるようになったけど、いまを好きなように楽しく生きることがいちばん。理想とかを考えるのも強迫ですから。
帯津:そう。死ぬまで酒を飲んで、働く。それが私の生き様です。
◆和田秀樹
わだ・ひでき/1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。専門は老年精神医学、精神分析学、集団精神療法学。『80歳の壁』など著書多数。
◆帯津良一
おびつ・りょういち/1936年、埼玉県生まれ。東京大学医学部卒業後、都立駒込病院外科医長などを経て、1982年に埼玉県川越市に帯津三敬病院を設立。
※女性セブン2024年12月19日号