テレビや舞台で華々しい活躍を見せる著名人たち。しかしその笑顔の裏には、決して人には見せない苦悩があった――。大病を患ったものの、見事“生還”した女性たちを紹介する。「下肢閉塞性動脈硬化症」や「脳梗塞」などで8回も入院と手術を繰り返しているタレントのカルーセル麻紀(82才)に話を聞いた。
10年間、病名不明で放置した結果…
「下肢閉塞性動脈硬化症で6回、脳梗塞で1回、黄斑浮腫で1回…。この10年ほどで私、8回も入院と手術を繰り返しているの」
それほどの病気を患ってきたとは思えないほどの明るさで、こう話してくれたカルーセルだが、いままた、左のふくらはぎに痛みがあり、下肢閉塞性動脈硬化症の兆候を感じているという。
「近いうち、また入院ね」と笑うが…。この病気は、足の血管が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりして、血流が悪くなるもので、放っておくと足が壊死したり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを併発しやすい危険な病なのだ。
下肢閉塞性動脈硬化症を発症したのは、いまから約20年前、カルーセルが60代半ばのときだったという。右のふくらはぎ付近に痛みを感じるようになった。
「常に高さ13cmのピンヒールを履いてね、踊ったり、歌ったり、遊びに行ったりしていたんだけど、だんだんむくみがひどくなって、痛くて歩けなくなる日も…。それで、近所の病院に行ったものの、原因がわからない。3軒の病院をまわったけれど、いずれも痛み止めを処方されるだけだったの」(カルーセル・以下同)
いよいよ症状がひどくなったのが2011年。毎年恒例のパリ旅行中、足が痛くて歩けなくなったという。
「右のふくらはぎがだら〜んとしちゃって。それを見た友人が、“なんなのその足、老化現象?”なんて言ってゲラゲラ笑ったのよ。ひどいでしょ、あの言葉は忘れられないわよ!(笑い)」
帰国後、今度は総合病院へ。検査の結果、右足首の血流が低下し、右太ももの付け根にある動脈が3㎝ほど詰まっていることが判明した。10年以上わからなかったこの病気こそ、「下肢閉塞性動脈硬化症」だった。
「“麻紀さん、よくここまでがまんしましたね”と先生に言われて、思わずホロッとしたのも束の間ね。すぐに入院して血管の詰まりを解消するカテーテル手術をしましょう、なんて言うわけ。だから、“私、今日はお寿司を食べに行く約束があるし、明日は飲みに行く約束もあるから、入院なんて無理よっ、無理!!”って言って出てきちゃった」
結局入院したのは診断から2日後だったという。
「本当はこんなことをしちゃだめで、先生の言うことを聞かないといけないのはわかっているのよ」
と言いつつも、歩けないからと友人たちに担がれて銀座のバーでシャンパンをガブ飲みしたのは、楽しい思い出になったという。
一度の手術で完治せず、その後、5回も手術
手術は、右腕の肘の付け根にカテーテルを挿入して行われた。局所麻酔のため意識はあったという。
「先生たちがね、“モニターを見て、見て”って何度も言うわけ。私は怖くて見たくなかったんだけどね。薄目をあけて恐る恐る見ると、血液が流れた瞬間がわかるの。それと同時に、私の体の中で血液がシャワーみたいに勢いよく流れていくのを体感したわよ。急に体中がポカポカしてきたのをよく覚えているわ」
退院後は血液をサラサラにするための抗血小板薬とコレステロール値を下げる薬をのみ始めた。これでよくなった…と思いきや翌年、今度は左足が痛くなり、右足と同様にカテーテル手術を受けることに。以降、左右の足で計6回のカテーテル手術を受けることになった。