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【アラウンド90に聞く、長生きの先にあるもの】リポーター・東海林のり子さん(90才)は“推し活”に忙しい毎日「いまさら恥ずかしいことなんてないでしょう!」

推し活に忙しい毎日を送るリポーターの東海林のり子さん
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年を重ねると、体も心も弱くなり、自信を失ったり、何もかもおっくうになったりするのは、誰しもあること。だが「老化」は決して「劣化」ではない。年を重ねてきたからこそ見える景色や、長く生きなければ出会えない楽しみがたくさんあるのだ。“アラウンド90”の大先輩がたに、長生きの先にあるものについて話を聞いた。【全3回の第2回。第1回を読む

暮らしは「足るを知る」

もちろん、老いた先には悩みや苦しみもある。神奈川県に住むAさん(98才)が語る。

「長生きは幸せなことだと思っていました。でも、いまは何もすることがないんです。誰かの手を借りないと、生活もままならず、こんなに長く生きている意味がわかりません」

確かに、年を重ねて体が衰え、できないことが増えていくのは苦しいだろう。都内の俊子さん(93才・仮名)は憂いながらも、前向きにこう話す。

「『老害』という言葉を聞くと、いたたまれなくなります。年を取ってから世間から疎まれるなんて、情けない。どんなに長生きしたって、社会や若い人に迷惑をかけるなら意味がないですよ。

だから少しでも社会に貢献できるような活動をしたいと思っています」

社会や若い人に迷惑をかけるなら少しでも社会に貢献できるような活動をしたいと語る(写真/イメージマート)
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それは必ずしも金銭を対価として得られなくてもいいという。

2024年の「今年の漢字」は「金」。値上がりや増税などで、多くの人がいやでもお金を意識しなければならない1年だった。京都府のかおりさん(94才・仮名)は冷静だ。

「この年になってわかるのは“地獄の沙汰も金次第”ということ。同じ場所で同じように年を取っても、同じ病気にかかっても、お金のあるなしで、まったく違う人生になりますよ」

生きているということは、“死ぬまで前進あるのみ”

長く生きたからこそ“見えてしまう”世界もある。埼玉県在住の弥生さん(91才・仮名)は、豊かさが貧しさを生んだと嘆く。

「世の中全体が損得勘定で動いている気がします。若い人たちはお金がすべてで、心が貧しくなっているんじゃないでしょうか」

宮崎県のまさよさん(100才・仮名)も言う。

「戦時中を知っている身からすれば、いまはとても恵まれています。でも、世の中を見ていると、モノが豊かになったからといって、心も一緒に満たされるわけではないのだと実感します。心を豊かにするには、身の丈以上を求めず『足るを知る』ことですよ」

コスパ、タイパなど、費用対効果や効率化が重視され、利便性ばかりが追求されることに疑問を持つ人は少なくない。『若杉ばあちゃんの今日も明日も身軽な暮らし』など多数の著書を持つ料理研究家の若杉友子さん(86才)は、摘み草をしながら、野菜を自ら育てる生活を送る。

「いまの人は自然から離れた既製品ばかり食べていますよね。便利なのはいいことだけど、どんなに世の中が変わっても、“食養”の大切さ、手づくりのよさは変わりません。私はこの暮らしのおかげで、この年になっても病気知らずです。“老い先短い”なんて考えは私の中にはありませんよ。生きているということは、“死ぬまで前進あるのみ”ということですから」(若杉さん)

推しもおしゃれも女の人生は60から

時間の感じ方も、年を重ねると変化がある。北海道の緑さん(95才・仮名)が言う。

「若い頃は仕事に家事に育児にと忙しく、1日、1年があっという間でした。でも、80才を過ぎた頃から時の流れ、季節の移ろいを体でしっかり感じられるようになったんです。老後は長いとよくいわれますが、その通り。60代、70代の皆さん、その忙しさが懐かしくなりますよ(笑い)」

一方で、90才を過ぎても“現役”で走り続けているのが、ワイドショーなどで長年リポーターとして活躍してきた東海林のり子さん(90才)。現在は「推し活」に忙しい毎日を送る。

「年を取ったからこそ追っかけができる」とリポーターの東海林のり子さんは言う
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「30年以上、ビジュアル系バンドの追っかけをしているんです。追っかけをしていると必然的に外に出ることになるので、健康にもいいですよね。予定が2025年の9月まで埋まっているので、少なくとも9月までは生きないとね(笑い)。

最近は、ネットフリックスやアマゾンプライムで恋愛もののドラマを見ては、感情移入してドキドキしています。韓国ドラマやカーレースのドキュメンタリーにもドハマり。何十年も毎日事件の取材ばかりでロマンチックなことを置き去りにして生きてきたから、ときめきを取り戻そうとしているのかも(笑い)。

よく“この年で追っかけなんてすごいですね”と言われるんですが、この年だからこそですよ。90才にもなったら、いまさら何も恥ずかしいことなんてないでしょう!」(東海林さん)

人生を謳歌する大先輩たちの辞書に「年がいもなく」などという言葉はないのだ。千葉県のはじめさん(88才・仮名)がうれしそうに語る。

「90才近くなって思うのは“女性は偉大だ”ということ。妻は80才でフラダンスを習い始めて毎日おしゃれをするようになったし、友達の奥さんは大の旅行好きで、ひとりで海外にも行く。ぼくの周りの女性はみんなパワフルで、たくましくて、華やかで、100才まで生きるような人ばかりですよ」

※女性セブン2025年1月2・9日号

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