選択肢があれば次の手が打てる
人の気持ちと過去が変えられないことに加えて、「答えは1つと決めつけない」ことも覚えておきたい。
「たとえば失恋すると、“もう二度と恋愛はできない”と悲観的になる人もいれば、“次こそもっといい人に出会えるはず”と前向きになる人もいますが、ネガティブであれポジティブであれ、決めつけはよくない。答えが1つしかないと思ってしまうと、そうならなかったときにダメージを受けてしまいます。
世の中には多くの可能性があるんです。たとえば病気になったとき、特定の薬が本当に効くかどうかはのんでみるまでわかりません。健康診断の数値が正常だからといって病気にならないなんてこともない。医師は高血圧の患者に薬を処方しますが、元気になるとは限らない。答えが1つではなく、多くの可能性があるからこそ、選択肢を多く持つべきです。
ぼくが本をたくさん出すのも、楽天家だからじゃなくて“たくさん出してたらどれかひとつくらいヒットするかな”と思ってるから。
病気なら、特定の薬が効かないと想定して別の薬や治療法を準備しておけば、実際に薬が効かなかったときに落ち込んだり後悔したりすることなく、『まぁいいか』と次の手を打てます。病気以外でも多くの選択肢を持つことで将来の不安を減らせます」
人の気持ちや過去を変えようとするのではなく、わがままに上機嫌になって多くの答えに備える。スーパーのレジに並んだら自分の列だけ進まなかったとき、出かけたい日に限って雨が降るとき、食べようととっておいたケーキの賞味期限が切れていたとき、眠りたいのになかなか眠れないとき、人生はそんな些細なままならないことの連続だ。でも、それらを「まぁいいや」と受け流せる寛容さが、免疫力を高めて老後を生きやすくする。
そうとわかっていても、どうしてもネガティブになってしまうあなた、それはそれで「まぁいいや」です。
◆加藤登紀子
1943年ハルビン生まれ。1965年、東京大学在学中に第2回日本アマチュアシャンソンコンクールに優勝し歌手デビュー。1966年に『赤い風船』で日本レコード大賞新人賞を受賞し、『ひとり寝の子守唄』『知床旅情』はミリオンセラーに。女優、声優としても活動し、50年以上重ねている年末恒例の「加藤登紀子ほろ酔いコンサート2024」(12月20日 埼玉・大宮ソニックシティ大ホールほか)も大好評公演中。
◆野沢直子
1963年東京都生まれ。1981年に高校の同級生とコンビを組んで、「素人漫才コンテスト」へ挑戦。1984年、吉本興業入社、芸能界デビュー。1985年からレギュラー出演した『トゥナイト』(テレビ朝日系)では突撃レポートが話題となり人気を博す。1991年に日本での芸能活動を休止し、渡米。アメリカで結婚、出産のすえ、永住権を取得。以来、日本とアメリカを行き来する「出稼ぎスタイル」を確立した。
※女性セブン2025年1月2・9日号