健康・医療

【認知症の予防法】英医学誌が発表した「14の認知症リスク」を避けるのがカギ! 難聴、肥満、運動不足、高LDLコレステロール、視力障害…医師らが解説

【8】運動不足

体をあまり動かさない人は、動かす人より認知症になりやすい。

「体を動かせば高血圧・糖尿病などの予防になり、アミロイドβを除去しやすい。加えて、脳の血流がアップしてシナプスが活性化します。おすすめは社交ダンスや友人と談笑しながらの散歩。体を動かしつつ人とつながることで、脳への刺激がより高まります。

認知予備力を高めるには、頭をよく使い、体を動かし、人と上手にかかわることが重要です」

社交ダンス
体を動かしつつ、人とつながる「社交ダンス」などの運動がよい(写真/PIXTA)
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人とかかわるのはハードルが高いという人は、できるところから始めてみよう。

「家事でもいいので、座っている時間をできるだけ減らして、動くようにするといいでしょう」(加藤さん・以下同)

【9】肥満

BMI=体重㎏÷(身長m×身長m)で計算し、25以上であれば肥満とされる。中年期に肥満だと、あらゆるタイプの認知症リスクが1.31倍高くなる。

「肥満は高血圧や糖尿病の原因にもなりますし、毛細血管へのダメージになる炎症を引き起こします」

体重を2㎏減らすだけでも、認知機能が改善したという研究もある。お正月太りでBMIが25以上になった人は、ダイエットを心掛けよう。

【10】喫煙

喫煙はがんをはじめ、さまざまな病気との関係性が指摘されており、報告書では特に中年期の喫煙が認知症の強いリスク因子だと指摘されている。

「喫煙は生活習慣病を悪化させますし、肺機能や血流も悪化させます。ストレス発散で吸っている人も多いですが、将来、認知症を招きます」

【11】過度の飲酒

日本人の男女4万2870人を約20年間追跡調査した研究では、軽く飲酒する人(週に75g未満、ビール中びん3.5本程度)に比べて、週に450g以上を飲んでいる人は認知症リスクが1.34倍に上昇した。

「飲みすぎれば認知機能が低下しますし、睡眠の質も下がります。睡眠時間が不充分な人は、アミロイドβがたまりやすい。お酒は肝臓や腎臓への負担にもなるので、軽くたしなむ程度にしましょう」

【12】社会的孤立

65才以降の認知症リスク要因は社会的孤立が5%、大気汚染が3%、視力障害が2%となっている。最も割合が大きい社会的孤立は、家族や地域社会との交流が著しく減り、話す相手がいないような状態だ。

「人と話す時間が減ると脳を使わなくなるので、認知機能が低下しやすい。外出機会が減れば運動不足にもなり、ますます認知症リスクが高まります。

ボランティアでも趣味のサークルでもいいので、他者と定期的に接触することです」

【13】視力障害

高LDLコレステロールとともに新たに加わったのが視力障害だ。

「難聴と同じく、視力が悪くなると外部からの刺激が減るので、認知予備力が低下します」

報告書では、白内障手術を受けた人は、手術を受けなかった人に比べて認知症リスクが有意に低下したと指摘されている。適切な治療を受け、老眼対策もしっかりしたい。

【14】大気汚染

PM2.5、一酸化炭素など大気中の有害物質は、肺などにダメージを与えるだけでなく認知機能にも影響を与える。

「肺から血管を通じて脳に有害物質が蓄積されます。それらは脳の掃除機能では取り切れないので、どんどんゴミとしてたまっていき、リスクが高くなります」(室井さん)

加藤さんは地球温暖化も悪影響を及ぼすと話す。

「極度な寒暖も認知機能に影響を与えます。暑いときに頭がぼーっとするのがその一例。脳が充分に働かず、外出頻度が減ると運動不足にもなります。

室内の温度は快適に保つなど、できる対策をとるといいでしょう」

* * *

今回紹介した項目は、互いに複雑に影響している。

「1つでも改善すれば、回り回ってほかの要素にも好影響を与えます。認知症予防は高齢になってからの病気を遠ざけ、幸せになるためのもの。自分が取り組みやすいことから1つでも始めていけば、将来の幸せな時間が増えていきます」(加藤さん)

認知症予防に遅すぎることはない。新たな年の始まりに生活を見直してみよう。

認知症を発症させる14のリスク
認知症を発症させる14のリスク
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※女性セブン2025年1月16・23日号

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