
どんな家庭にもきっとある『ばんそうこう』は、傷を治すものと思いきや、貼るだけで体の痛みやこりがあっという間に消えると話題に。理学療法士の山内義弘さんは、「こりや痛みは揉んでも解消されません。その原因となっている部分の皮膚をわずかに引っ張ることで、関節や筋肉の働きを改善することができる」という。そこで、ばんそうこうを使った健康法を紹介。首・肩こり、ひじ、歩行時の痛み、ぽっこりお腹も便秘も解消するという貼り方とは?
なぜばんそうこうを貼るだけで痛みが改善される?
関節を覆っている関節包という膜の中にあるセンサーが、体をどう動かすかなどの指令を脳に送っていて、このセンサーの動きが悪いと痛みが生じるが、わずかな刺激を与えることで正常な働きに戻すことができる。

山内さんいわく「改善したい筋肉や関節の動きを正常に戻すのに、ばんそうこうが持つほんのわずかな伸び具合がぴったりでした」という。
一度正しい情報が伝われば、何度も刺激する必要はなく、関節の場合は1分、筋肉なら5分で充分だそう。それだけで効果はしばらく持続し、貼る位置は多少ずれても問題ないそう。
「ただ、貼る方向が正しくないと、刺激を与えるはずが、逆に緩めることになってしまうので気をつけましょう」(山内さん)
ばんそうこうの選び方
100円ショップや、コンビニのPB商品など、どのメーカーのばんそうこうでもOK。ただし、テーピング用のテープなど伸縮性がありすぎるものは不向き。サイズも決まりはないが、20×70mmのものや細長い形状のものが貼りやすい。

ばんそうこうを貼るときの共通ポイント
・貼る方向を確認して始点を決める。そこにばんそうこうの片側を貼り、手指で押さえて、別の手指で反対側を軽く引っ張りながら終点まで貼る。

・ 関節にアプローチ する貼り方の場合は1分貼る
・ 筋肉にアプローチする貼り方の場合は5分貼る
ここからは痛みの部位ごとにばんそうこうの貼り方を紹介する。
首・肩こり
デスクワークやスマホの見すぎなどで同じ姿勢をとり続けると、体が内巻きになり、首や肩こりの原因に。巻き肩や猫背の“震源地”は薬指だという。

【ばんそうこうの貼り方】
手のひらを自分の方に向けて薬指の先端に、ばんそうこうを外向きに巻くように貼っていく。こっている方の薬指に巻くので、両方こっている場合は両手の薬指に巻こう。起床時に肩がこっている場合は、夜貼って寝るのもおすすめだ。薬指にばんそうこうを貼って刺激を与えることで、自然と肩や胸が開き、体が外巻きになってくる。

・腕の骨にアプローチ
腕をひねる起点の軸は、前腕の内側にある細い骨・尺骨の延長線上にある手の薬指にある。ここに刺激を与えれば痛みは改善できる。

ひじの痛み
運動時や荷物を持ったとき、タオルを絞る動作などをしたときに感じるひじの痛みは、ひじの外側の筋肉の働き不足によるもの。テニス肘とも呼ばれる。

【ばんそうこうの貼り方】
【1】腕の前側、力こぶの外側あたりを始点として、手の方に向かって貼る。これでまず、ひじを曲げる筋肉を緩める。

【2】次にひじを軽く曲げたときに最も出っぱる骨の、指2本分上側を始点にして肩の方に向かって貼り、肘筋に刺激を与える。

・肘筋にアプローチ
ひじの骨の外側にある肘筋の働きをよくすることで痛みが軽減する。腕を伸ばしたときに、ひじに痛みがあるかを確認しよう。

歩行時の痛み
土踏まずのない扁平足や甲が高いハイアーチの人は、足が傾いていることが多く、すねやかかとの痛みや外反母趾などを引き起こすため、歩行時に痛みが生じる。

【ばんそうこうの貼り方】
ひざの外側にある出っ張った骨(腓骨)を始点として、真上に向かって貼る。

・長腓骨筋にアプローチ
ひざ下の外側にある細い骨に沿って付いている筋肉が長腓骨筋。足の裏までつながっていて、足裏のアーチをコントロールしている。

お正月明けで食べすぎた&運動不足の人に!お腹のプニョ肉
年とともに代謝が悪くなり骨盤の位置がゆがむことで、ぽっこり出てくるお腹。お腹まわりの筋肉を正しく働かせて、下がった内臓を正しい位置に戻そう。

【ばんそうこうの貼り方】
【1】腰を触って、骨盤の突起の少し内側のお腹を始点として、骨盤をまたぎ真横に貼る。
【2】【1】より少し下のお腹を始点として、骨盤の突起に向かって斜め上に貼る。
【3】【1】の上、肋骨の少し下を始点として、骨盤の突起に向かって斜め下に貼る。左右同じように【1】〜【3】貼る。

・腹横筋にアプローチ
お腹の最も深層にある腹横筋は、お腹の周りに腹巻のようにぐるっと付いている。ここを動かせることで内臓の働きがよくなり、ダイエット効果が期待できる。

お正月明けで食べすぎた&運動不足の人に!便秘改善
便秘の原因の1つに、排便時の前傾不足がある。前傾姿勢をとるようにすることで直腸の筋肉が緩み、排便しやすくなる。

【ばんそうこうの貼り方】
足三里のツボが中心になるように左足に4枚のばんそうこうを貼る。貼り方はひざと同じ貼り方【関連記事】。右足も同じように貼る。

・足三里のツボと前脛骨筋にアプローチ
便秘のツボとしても知られる足三里の位置には、前傾をするために必要な前脛骨筋がある。そのためツボと筋肉の両方を一緒に刺激しよう。

◆教えてくれたのは:理学療法士・山内義弘
山梨県のAKA専門病院で修業し、その後、会得した技術を進化・改良した山内流を開発。YouTubeチャンネル「腰痛・肩こり駆け込み寺【山内義弘】」の登録数は93万人超。最新著書は『絆創膏を貼るだけ整体』(KADOKAWA)。
取材・文/苗代みほ
※女性セブン2025年1月16・23日号