
どんな家庭にもきっとある『ばんそうこう』。傷を治すものと思いきや、貼るだけで体の痛みやこりがあっという間に消えると話題になっている。さっそく取材に出かけてみたら、記者の五十肩も一瞬で改善! 驚きの健康法を紹介する。皮膚をわずかに伸ばして刺激を与えることで、関節や筋肉の働きが改善。そんな魔法のアイテム「ばんそうこう」のポイントを押さえて、痛みから解放されよう。
なぜばんそうこうを貼るだけで痛みが改善されるのか?
「こりや痛みは揉んでも解消されません。その原因となっている部分の皮膚をわずかに引っ張ることで、関節や筋肉の働きを改善することができるのです」
そう語るのは、これまで2万5000症例、7万5000回以上の治療を行ってきた理学療法士の山内義弘さん。

「正常な人の筋肉は動き始めにわずかに伸張(※伸びて広がること)するのですが、痛みやこりが生じているときはこれがうまくできていない。この動きに戻すための施術を自宅で行えないかと模索する中、思いついたアイテムが、ばんそうこうだったんです」
そう言って、山内さんは五十肩で右腕が上がらないという記者Nを問診すると、ばんそうこうを1枚取り出して記者の右の鎖骨に貼る。待つこと1分。なんと、その場で腕が上がるようになってしまった。痛みもなくなっている。
「関節を覆っている関節包という膜の中にあるセンサーが、体をどう動かすかなどの指令を脳に送っています。このセンサーの動きが悪いと痛みが生じるのですが、わずかな刺激を与えることで正常な働きに戻すことができる。改善したい筋肉や関節の動きを正常に戻すのに、ばんそうこうが持つほんのわずかな伸び具合がぴったりでした」(山内さん・以下同)
一度正しい情報が伝われば、何度も刺激する必要はない。
「関節の場合は1分、筋肉なら5分で充分です。それだけで効果はしばらく持続します。貼る位置は多少ずれても問題ありません。
ただ、貼る方向が正しくないと、刺激を与えるはずが、逆に緩めることになってしまうので気をつけましょう」
五十肩以外にも効果はさまざま。部位別の貼り方を見てみよう。
ばんそうこうの選び方

100円ショップや、コンビニのPB商品など、どのメーカーのばんそうこうでもOK。ただし、テーピング用のテープなど伸縮性がありすぎるものは不向き。サイズも決まりはないが、20×70mmのものや細長い形状のものが貼りやすい。
ばんそうこうを貼るときの共通ポイント
・貼る方向を確認して始点を決める。そこにばんそうこうの片側を貼り、手指で押さえて、別の手指で反対側を軽く引っ張りながら終点まで貼る。

・ 関節にアプローチ する貼り方の場合は1分貼る
・ 筋肉にアプローチする貼り方の場合は5分貼る
ここからは痛みの部位ごとにばんそうこうの貼り方を紹介する。
ひざの痛み
加齢や肥満によって、ひざに負担がかかることでお皿(膝蓋骨)の動きが悪くなってくると、痛みが生じる。ばんそうこうでひざのお皿を正しく動かす筋肉のスイッチをオン!

・こんな痛みがある人におすすめ!
普段の歩行中に足を踏み込むと、ひざの皿部分に痛みがある。ひざが痛くて長い距離を歩けない。

【ばんそうこうの貼り方】
ひざを伸ばした状態で、ひざの皿の中心にばんそうこうの中心がくるように、左図の順番で4枚のばんそうこうを重ねて貼る。

【1】皿の上部を始点とし、真下へ向けて貼る。

【2】皿の内側上部を始点とし、外側下部へ斜めに貼る。

【3】皿の外側上部を始点とし、内側下部へ斜めに貼る。

【4】皿の内側を始点とし、外側へ真横に貼る。

・大腿四頭筋の3つの筋肉にアプローチ
太もものインナーマッスルである中間広筋、外側広筋、内側広筋がひざの皿を正しく動かす筋肉。歩く際にひざにばんそうこうを貼ることで、この3つの筋肉をバランスよく刺激できる。

腰の痛み
ひとくちに腰痛といっても、どんなふうに痛むのかによってアプローチする場所は分かれる。まずは自分の痛みを確認し、症状に合うものを試してみよう。

・あなたの痛みのタイプはどっち?
立ったまま上半身だけ後ろを向いて腰をひねると痛い→【A】へ

立ち上がったときや、お辞儀をしたときに痛みを感じる→【B】へ

【ばんそうこうの貼り方】
【A】腰をひねったときに右側が痛む場合、背骨の中央から右に約3㎝の位置を始点として、真下に向かって貼る。左側が痛い場合は左側を同様に貼る。
【B】腰からお尻にかけての痛みには、下半身へのアプローチが必要。お尻にある尾骨を始点として、真上に向かって貼る。

【A】は肋骨の下部分にアプローチ
腰痛の原因になっているのが肋椎関節。そこをばんそうこうで引き下げることで活性化する。

【B】は仙骨にアプローチ
仙腸関節の働きが悪いと仙骨がうまく動かないので、ばんそうこうでお尻の皮膚を引き上げてサポート。

股関節の痛み
加齢によって骨や軟骨に不具合が起きて生じることが多い股関節の痛み。歩行の要となる股関節の筋肉をしっかり働かせて、痛みを改善しよう。

・こんな痛みがある人におすすめ!
一歩足を踏み込んで体重をかけたときに、股関節や下半身に痛みが走る。

【ばんそうこうの貼り方】
左側の腰に手を当て、骨盤の最も高い突起を確認。ここを始点とし、骨をまたいでやや斜め上に向かって貼る。右側が痛い場合は同じように、右側の腰に貼る。

・臀部の筋肉にアプローチ
股関節の奥にある小臀筋、中臀筋の働きが悪いと、体重をかけたときに股関節が正しい位置におさまらず、痛みが生じる原因になる。ばんそうこうを臀部の筋肉の延長線上に貼って上に引っ張ることで、股関節の動きをスムーズにしてくれる。

◆教えてくれたのは:理学療法士・山内義弘さん
山梨県のAKA専門病院で修業し、その後、会得した技術を進化・改良した山内流を開発。YouTubeチャンネル「腰痛・肩こり駆け込み寺【山内義弘】」の登録数は93万人超。最新著書は『絆創膏を貼るだけ整体』(KADOKAWA)。
取材・文/苗代みほ
※女性セブン2025年1月16・23日号