――抗がん剤以外の薬の副作用にも苦しめられたそうですね。
「抗がん剤の影響で高血圧になるので、血圧を下げるために降圧剤を服用していました。あるとき歯がグラグラする感覚があって、慌ててかかりつけの歯医者に行くと歯茎に異常はないと。そこでお医者さんから“降圧剤飲んでませんか?”って。どうやら、のんでいた降圧剤にそういった副作用があったようでした。
それから、急にドンと体の内側から心臓を殴られるような苦しさ、呼吸ができなくなるような感覚があったことがありました。これも抗がん剤の副作用ではなく、抗がん剤で白血球が減少してしまって風邪などの他の病気に感染しやすくなるため、白血球を増やす薬の副作用だったみたいです」
――子宮を全摘出した影響もあったと聞きました。
「全摘出の後遺症として、排尿、排便障害や腸閉そく、リンパ浮腫があります。当時は正直がんのことで頭がいっぱいで後遺症はどこか他人事な感じもあったんですが、実際に子宮を全摘出したあとに私も左脚にリンパ浮腫が出ました。息子から“左脚どうしたの!?すごく腫れているよ”って言われて。いまでも、いつも弾性ストッキングを履いているんですけど、左脚がちょっと浮腫んでいるんです。
脚が浮腫むと仕事に影響があるので、脚を組んだり正座をしたりしない、長時間同じ姿勢でいない、マッサージでリンパの流れを良くして、寝るときは脚を高くするといったことをして、予防には取り組んでいたんですけど、結局リンパ浮腫は出ました。
リンパ浮腫の治療もずっと続けています。弾性包帯を使った圧迫療法をしていたときには、浮腫んでいる脚に包帯を何本も巻くので靴が入らなくなるんです。右は自分の靴、左は4cmも大きい息子の靴を履いて生活していた時期もあります。リンパ浮腫は完治が難しくて、これ以上悪くならないようにケアをしながら付き合っていく病気です。がんよりつらいという人もいます。冬の寒さや気圧の変化でひどく浮腫むし、夏は弾性ストッキングが蒸れてその対策も必要。着る服も靴も選びますし、女性にとってはすごく厄介な病気です」
がん闘病は、肉体的にはもちろん、精神的な負担も大きい。それでも古村が闘い続けられるのは、3人の息子たちの存在があるからだ――。
【全3回の最終回】へ続く
取材・文/伏見 友里 撮影/横田 紋子