《家事や仕事の間に物件が収入を上げてくれる》女性投資家・五十嵐未帆さんが確立した不動産投資のスタイル「自宅近くの新築にこだわる」「満足度の高い物件に仕上げる」

少額の元手からでも始められるiDeCo、NISA、株式投資などと比べると、難易度が高いと思われがちな不動産投資。簡単に言えば、土地や物件を購入し、それを売ったり貸したりすることでリターンを得るものだが、近年では、誰も住まなくなった実家をリノベーションして売りに出したり、貸し出して賃料を得ている人も増え、不動産投資も多様化している。そこで、不動産投資で豊かな人生を手に入れた女性投資家のアドバイスに耳を傾ける。
父親から古びたアパート1棟を相続したことがきっかけ
圧倒的に男性が多い不動産投資の世界において女性不動産投資家の存在感を飛躍的に高めた五十嵐未帆さんは、女性不動産投資家・女性大家の集い「エレガントオーナーズ」を立ち上げ、100人もの女性会員を抱える。
不動産投資の世界に入ったきっかけは、結婚後、コンサルタント会社で働いていたときに父親が事故で亡くなり、古びた鉄骨造アパート1棟を相続したことだという。
「3人の子供を育てながら働いていましたが、オンボロアパートの家賃収入と仕事の給料がほとんど変わらないことに驚きました」(五十嵐さん・以下同)
転機が訪れたのは、2011年に発生した東日本大震災だった。
「会社で仕事をしていて、電車が動かず、保育園に預けた子供を迎えに行けたのは日付が変わった午前2時。申し訳ない気持ちで涙があふれました。人生何が起きるかわからない中で、家族を大事にするために働く時間や場所に縛られず自分の力で自由に稼げるようになりたいと考え、その年のうちに独立、資産管理法人を設立して本格的に不動産投資を開始しました」
“自宅から近い新築物件”にこだわるスタイル
いまでは税引き前の年間キャッシュフロー(入ってくる収入)が約2100万円あるという五十嵐さんも、はじめは手痛い失敗を経験した。関西にある“隣地の所有者が訳あり”の中古物件を購入したものの収支は想定の半分しか手に入らず、遠方中古物件の管理の難しさを思い知らされたという。その教訓から、“自宅から近い新築物件”にこだわる投資スタイルを確立した。

「不動産投資を始めるなら、最初に購入する物件は、『自宅から車で30分以内の距離』だと、目が届きやすいのでおすすめです。中古物件は大がかりな修繕が必要になったりと、善しあしの見極めが難しい。そこで、私は管理がしやすい新築アパートに特化し、収益性にこだわり、間取りは単身者向けの1Kが多いです」
この言葉通り、大家歴19年、投資家歴13年になる五十嵐さんが購入してきた合計11棟のうち、10棟が新築である。これまでの投資総額は約10億円で、神奈川県では横浜市のほかに川崎市、埼玉県内などに売却を経て合計8棟72室を所有する。五十嵐さんが常に心がけているのは、住み心地がよく、住人の満足度が高い物件に仕上げることだ。
「住人がずっと住み続けたいと思えば退去率が低くなり、募集のコストや原状回復費がかかりません。また、退去後も原状回復費を上手に使ってリフォームを行います。壁紙をおしゃれなデザインにしたり、収納スペースやハンガーパイプをつけて利便性を高めるなど、物件の価値を上げる努力をしています」
不動産投資は女性の方が向いている
細かい心配りができる点で、不動産投資は女性の方が向いている面があると、五十嵐さんは語る。また、時間に縛られない面でも女性におすすめできるという。
「株式投資は、本格的にやろうと思えば朝から昼過ぎまでパソコンの画面を見続けるため、家事の時間を奪われてしまいます。不動産投資は、家事や仕事の間も物件たちが一生懸命働いて家賃収入を上げてくれますから、自分の時間を手に入れられるのが大きなメリットです」

金額が大きい一棟物件を購入する際には銀行からの融資が必須だが、土地と建物を担保にお金を借りるので、万が一のことがあっても売却して返済できる。さらに、土地建物は現物資産なので株や仮想通貨のように紙切れになるリスクがない。家賃収入で借金を返しながら、自分の資産にしていくことができる不動産投資は、子育て中の女性やシニア女性でも取り組みやすいのだ。
「不動産投資は、10人の大家がいれば10通りの手法があると言われます。夫婦で収入があれば、融資を受ける際に物件価格の満額である“フルローン”に近い額の融資を組むこともできますから、夫婦二人三脚で取り組むかたもいます」
団塊世代が全員75才以上になり、超高齢社会に突入する2025年は地方都市の空き家問題が深刻になると予想される。また、すべての新築物件に建築物省エネ法の適合が義務づけられることで、コスト増を避けた中古物件の投資が活発になる可能性があると五十嵐さんは続ける。
「そんな時代に“新人大家さん”におすすめしたいのが、不動産投資サイト『楽待』の『賃貸経営マップ』。将来的な人口予測データやハザードマップ、物件の取引価格なども見ることができます。どのエリアに将来性があるかを見極めるために活用していただきたいですね。
50代以上の大家さんは、子育てもひと段落して大家という立場に楽しさや生きがいを感じている人もたくさんいます。自分のペースで無理せず取り組んでほしいです」
【プロフィール】
五十嵐未帆さん/大家歴19年。これまで新築を主に11棟を購入し、投資総額約10億円。3人の子供を育てながら規模を拡大してきた経験から女性不動産投資家への啓蒙活動を展開。女性不動産投資家・女性大家の集い「エレガントオーナーズ」を主宰。著書に『買うだけ、かんたん!主婦の私でも出来た 月収130万円「新築アパート」投資法』。
※女性セブン2025年1月30日号