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《生命保険の見直し》「はじめる」「やめる」「かえる」…思わぬトラブルを避けるために必要な「家族会議」の開き方と「取捨のポイント」

生命保険でのトラブルを避けるために家族会議をする必要がある(写真/PIXTA)
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老後資産を洗い出すうえで、意外と知らないのが「家族が加入している生命保険」。命や健康に関するデリケートなことであるがゆえに、タブーというほどではないにしても、なかなか家族で話し合いのきっかけをつかみにくいのが実情かもしれない。だが、しっかり話し合って内容を確認していないと思わぬトラブルのタネになり得る。

家族会議で“保険の見直し”を

不慮のけがや事故、予期せぬ病など、万が一の事態に備え加入する生命保険。ところが、家族間どころか夫婦間であっても、相手がどんな保険に入っているのかを完璧に把握できているケースは少ないのではないだろうか。実際、加入している保険を家族が知らなかったり、保険証券を紛失したせいで、加入者の死後に受給できなくなるなどさまざまなトラブルが起こっている。大手生命保険会社と代理店で勤務経験がある評論家の後田亨さんは、こう指摘する。

家族会議を開き保険の見直しを考えことが重要になる(写真/PIXTA)
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「夫や親の契約の存在を知らないことで、給付金の請求ができず、家族が困ってしまうことは珍しくありません。

したがって、どの会社のどのような保険に加入しているのかという情報共有や、保険証券の保管場所の確認などは、家族会議を開いて話し合っておくべきでしょう」

生命保険について思わぬ事態が襲いかかるのは、加入情報の有無だけではない。高齢の両親が時代にそぐわない保障内容の保険に入ったまま毎月多額の保険料を支払い、家計の負担になっていることもある。ある日、娘が保険を見直したところ、保険料が数万円も安くなったという例も少なくない。長引く物価高で家計の負担が膨らんでいるいまこそ、家族会議を開き、“保険の見直し”を考える絶好のタイミングなのだ。

「古い保険」「無駄な保険」を洗い出す

後田さんは、家族会議を行うにあたり、配偶者と子供の両方が揃った場で話し合うことが望ましいと話す。

「生命保険の場合、子供を保険金の受取人に設定しているケースが珍しくないため、加入している当人やその夫や妻だけでなく子供も交えた方がいいでしょう。出席者は親戚まで広げる必要はありませんが、まずは家族間で情報共有し、加入している保険の洗い出しから始めることが大切です」

家族会議のポイント4選
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会議で話し合う内容は家庭の事情によって千差万別だが、まずは保険の内容がそれぞれに見合うものなのか、保険料を払いすぎていないか、といった基本事項の確認から始めたい。そのうえで、年齢や状況に合った保険をパンフレットなどで比較しつつ考えるべきだと指摘するのは、ファイナンシャルプランナーの飯田道子さんだ。

「50代以上の女性の場合、20~30代で加入した保険の見直しをせずに、加入し続けているケースが多く見られます。20年前と比べると、現在では入院日数の平均は短くなり、医療費も高額になっている。医療技術の進歩に伴い、現代の医学と保障内容にずれが生じていることもあります。現代に見合った保障内容かどうか、見直しは必須といえるでしょう。

また、病気や事故を心配しすぎるあまり必要以上に保険に加入していたり、反対に、現在の健康状態に対して保障が不足している場合も見直しが必要といえます」

ただし、加入内容について疑問が生じても、指摘の仕方によっては諍いが生じてしまうこともある。家族会議をスムーズに進める方法はあるのだろうか。飯田さんがこうアドバイスする。

「保険に対する思いや考えには、夫婦でも親子間でも違いがあって当然ですから、相手の考えを否定したり、無理強いすることだけは避けなければなりません。特に、子供が親の保険内容について強く詰問したり、新たな保険加入を強要するのは避けるべきです」

ライフステージに合わせ10年に一度は見直しを

家族会議を開くタイミングは思い立ったときが最適といえるが、基本的には配偶者の定年や再雇用、子供の就学や就職、結婚や出産などは見直しにちょうどいい機会だ。特に手厚い保障内容を「やめる」のは、子供の成長に伴う。ファイナンシャルプランナーの横川由理さんが言う。

「多くの人にとって、見直しのきっかけになるのが子供の成長です。子供が就職するまでには20年ほどかかりますが、その間、配偶者とは10年に一度くらいのタイミングで見直しの機会を設けるべきでしょう。私は、子供が成長するにつれて段階的に死亡保障の額を少しずつ減らしてもいいと思います。そして、子供が就職したら、大きな死亡保障がある生命保険は解約してしまっても問題ありません」

保険の見直しをする際に、素人だけでは判断できかねると、専門家の意見を聞きたいという人もいるだろう。近年では、そうした需要に応えるかのように「保険の見直し」をうたう相談窓口も多い。また、いま加入している保険会社の営業マンに相談する人も少なくない。しかし、そこにも思わぬ落とし穴がある。

営業マンにすすめられたものをうのみにするのではなく自ら調べることが大切(写真/PIXTA)
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「保険ショップはあくまでも保険会社の代理店ですし、銀行や郵便局の職員も営業担当者と同じだと考えてください。保険は自身や家族にかかわってくる問題ですから、すすめられたものをうのみにするのではなく、自ら調べることが大切です。自力で理解できない契約は見送るか、保険販売にかかわっていない複数の専門家に相談料を払って、判断を仰ぐのが無難でしょう。ファイナンシャルプランナーであっても、代理店を兼務している人などは要注意です」(後田さん)

加入している保険を精査するうえで注意したいのは、あえて見直す必要がない保険も存在することだ。それは、バブル期から2000年頃まで販売されていた運用利率が高い保険である。しばしば“お宝保険”と呼ばれることがある保険の長所を、飯田さんが解説する。

「この時代に販売されていた一部の保険は貯蓄性に優れており、保険料から手数料を引いた予定利率が現在の保険では考えられないほど高いものがあります。バブル期の高金利が満期まで続いているため、現在では0.5%ほどの予定利率が5%を超えるものもある。  お宝保険を簡単に調べる方法は、支払う保険料よりも満期で返ってくる保険金が多いかどうかを見てください。もし、入っている保険がその条件に該当するなら、そのまま持ち続けてもいいでしょう」

なお、保険業者の中には、こういったお宝保険を解約させて、運用利率が低い保険に言葉巧みに乗り換えさせようとする例もあるようだ。くれぐれも、見直しは慎重に進めたい。