
穏やかな日差しが春の訪れを予感させた3月14日の午後、天皇皇后両陛下は2024年11月に亡くなられた三笠宮妃百合子さまが眠る豊島岡墓地を訪問された。
「この日は、上皇ご夫妻も拝礼予定でしたが、美智子さまの兄である正田巌さんが3月5日に93才で亡くなり、美智子さまが5日から30日間、服喪中のため、この日の拝礼は取りやめになりました。
両陛下は、玉串を捧げて深々と拝礼され、百合子さまを偲ばれました。この場を訪れることができなかった上皇ご夫妻の分まで、という思いがあったのかもしれません」(皇室記者)
雅子さまは、ブラックのジャケットとスカートをお召しになり、パンプスや帽子といった小物もブラックで統一された装いだった。

「特に、『ジェット』と呼ばれる、樹木の化石から作られた漆黒の宝石を用いたと見られる大ぶりのイヤリングが存在感を放っていました。一般国民は葬儀の際に白いパールを着用することが多いのですが、皇室ではジェットを身につけるとされているのです。
シャープなデザインを好まれる美智子さまとは対照的に、雅子さまは丸い碁石のようなデザインのイヤリングを選ばれており、より柔らかな雰囲気を醸し出されていました」(前出・皇室記者)
また、別の皇室記者はこの日の雅子さまの装いについて、「五連のボタンがかっちりとした印象を与えるジャケットに、波のような動きのあるブローチを合わせられたことにも意味があるのではないか」と推測する。
「このジャケットとブローチの組み合わせは、2012年6月に、百合子さまの夫である三笠宮寛仁さまの葬儀にあたる『斂葬の儀』に参列されたときと同じものでした。2022年にイギリスのエリザベス女王の国葬に参列された際は、異なるジャケットをお召しになっていましたから、喪服にもいくつかパターンがあるのでしょう。

今回は三笠宮妃であった百合子さまの墓所を参拝されるということで、あえて2012年のときと同じコーディネートを選ばれたのかもしれません」(別の皇室記者)

百合子さまが20年にわたり記録した育児日記の一部が収録された伝記『高円宮憲仁親王』(2005年刊・読売新聞社/中央公論新社)は、雅子さまの元にも届けられ、愛子さまの子育ての参考にされていたという。
積み重ねてこられた百合子さまとの思い出や敬意を胸に、静かに哀悼の意を捧げられた。



