健康・医療

《毎日の食事にもリスク》「薬×食べ物のNG組み合わせ」降圧剤の効果に影響を及ぼす柑橘類、抗凝固薬の作用を打ち消すビタミンKを含む食品

食事をする人
健康にいい食事も薬との相性によっては危険なことも(写真/PIXTA)
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「体のために」「栄養補給で」「老化予防に」――健康習慣のひとつに取り入れているサプリメント、病気の治療や予防のためにのんでいる薬、一歩間違えればあなたの体をよくするどころか命を蝕まれることになりかねない。実はNGだった薬と食べ物の組み合わせについて解説する。

健康にいいはずが組み合わせでNGに

「栄養を摂るならサプリよりも食事が大切。のみ合わせの危険とは無縁」――それは間違いかもしれない。神奈川県の主婦、Aさん(58才)が言う。

「アレルギー性鼻炎がひどく、花粉症の時期は症状が悪化するので、効果が強いものを処方してもらっていました。それでも全然効かなくて。薬の作用で眠気が出すぎて家事に支障が出て困りました」

Aさんは症状の改善を訴えて病院を受診。問診であることが判明した。

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コーヒーや紅茶など日常的な飲み物のNGも
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「健康のためと毎朝、果物を食べているのですが柑橘類が薬の効果を弱めている可能性があると言われました。血糖値を上げないようにとおやつに高カカオのチョコレートを食べたりもしていたのですがそれもよくなかったそう。驚きました」(Aさん)

“風邪薬にグレープフルーツを合わせてはいけない”とはよくいわれるが、柑橘類はさまざまな薬の効果に影響を与えてしまう。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんが言う。

「降圧剤とののみ合わせにも注意が必要です。グレープフルーツや文旦などに含まれる成分が小腸の上皮細胞に存在する酵素の働きを阻害し、本来ならば分解されるはずの薬の成分がそのまま体内に吸収されてしまう。通常の倍以上の薬をのんだような状態になってしまうため、血圧が下がりすぎて失神してしまうこともあります」

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さまざまな薬の効果に影響を与える柑橘類
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必要な栄養素が病気の要因になりうる

年を重ね、骨粗しょう症や骨折のリスクが高まると、ビタミンKの摂取が推奨されるが、これも薬との相互作用には気をつけたい。

「心臓や脳の血管病予防、治療で使用される抗凝固薬をのんでいる場合には、ビタミンKが多く含まれた食品の過剰摂取は控えて。ビタミンKは血液が固まるのを助ける作用があり、抗凝固薬の作用を打ち消してしまいます。薬の効果が弱まると、脳梗塞や心筋梗塞の発症、再発につながるリスクがあります」(薬剤師の三上彰貴子さん)

健康維持のために摂っている食品が“命取り”となりかねないのだ。

効果も副作用もわからなくなる

加齢に伴い危惧されるのは体の不調が増え、疾患にかかるリスクが高まること。それ以上に危険なのが、予防や治療のために“薬ののみすぎ”に陥ることだ。

「高齢者の多剤併用は深刻な問題です。複数種類の薬をのみ合わせることでの相互作用が起きたり、副作用のリスクが増加したりするなど健康を害し、認知症や寝たきりになってしまうこともあります」(長澤さん)

のみ合わせによっては機能障害を起こすこともある。

「降圧剤を服用している人がNSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛剤を併用することで、腎臓に流れる血液量が減少して腎障害になる可能性があります。風邪薬や関節痛の薬などはどれも解熱鎮痛成分が含まれていて併用すると過剰摂取となることがあります。市販薬も含めお薬手帳に記録して薬剤師に管理してもらうといいですね」(三上さん)

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複数の薬を服用している場合も注意が必要
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健康習慣や薬が体に思わぬ害を及ぼさないよう、その薬が本当に必要か考えることから始めよう。

監修/長澤育弘さん

※女性セブン2025年7月17日号