
すっかり季節は夏。夏休みの旅行の計画のひとつに、一度は見ておきたい絶景が望める旅に出てみませんか?人気の絶景写真集『ゆる鉄絶景100』(小学館)から、大人が楽しめる鉄道絶景を厳選。鉄道写真家の中井精也さんが”夏に映える”5つの路線を紹介。日本全国47都道府県から選りすぐりの鉄道の名風景について、それぞれの魅力を中井さんが語った。
入道雲映る雨晴海岸の夏
氷見線 越中国分~雨晴(富山県)

雨晴海岸は立山連峰を背景に列車を撮るのがおなじみだが、あえての逆向き、能登半島を望む景色で撮影。
「日本海の水鏡に映る入道雲と、ローカル線。ジブリ作品を思わせるノスタルジックな世界観は、僕の鉄道写真の中でもベスト2の人気を誇ります。
列車は国鉄型気動車「キハ40」。鉄ちゃんの間では「タラコ色」と呼ぶ、国鉄カラーです。先日2028年度頃までに引退することが発表され、この姿が拝めるのもあとわずか……。最後の走りをぜひ目に焼き付けてください。氷見線は工場地帯を走り、海が望めるのは越中国分駅~雨晴駅のみ。それでいて列車と灯台が連なる風景など1日撮影が楽しめる、“奇跡の1区間”です」
ひまわりと列車が織りなす夏の絶景
姫新線 三日月~播磨徳久(兵庫県)

夏の風物詩・ひまわりを壮観するなら外せないのが、7月中旬に数十万本のひまわりが咲く姫新線沿線の兵庫県・佐用町。
「一面に広がるひまわり畑は圧巻の風景! ただし連作が難しく、その年に線路脇のどこに咲くかはひまわり次第。カメラのレンズ向きに咲くのか、そっぽを向いて咲くのかも、ひまわり次第。運任せでハードルが高いだけに、ひまわり×列車の絶景が撮れた時は別格の喜びが味わえます。姫新線の黄色とオレンジのラインカラーとひまわりの組み合わせも、色がマッチしてかわいらしいですね」

プロフィール
中井精也
“ゆる鉄”など鉄道写真の新たなジャンルを開拓し、ブログ『1日1鉄!』には20年以上、毎日鉄道写真をアップし続けている。日本全国を回りながら自らの作品を販売するギャラリー&ショップ『ゆる鉄画廊NOMAD』が名古屋市中区栄の書泉ギャラリーで7月17~22日まで開催(入場無料)。
取材・文/渡部美也