
「上司にしたい女性有名人」の代名詞である天海祐希(57才)が座長を務める人気作。シリーズ開始から10年以上が経過した彼女の代表作だが、近年はテロや出演陣の逮捕など、予期せぬ不運に見舞われてきた。しかしこの夏、因縁を断ち切り、ついに集大成へ向けた再出発を迎えるという──。
「台本はまだ制作中で、クランクインは8月頃になる見込み。数々の困難を乗り越えてスタートする新シリーズに、キャストやスタッフも張り切っています」(テレビ朝日関係者)
劇場版の“再始動”宣言から約1年。天海祐希がプロの取調官として活躍する人気ドラマ『緊急取調室』(テレビ朝日系)の新シリーズが、映画の公開に先がけて10月期のドラマ枠で放送されることが内定した。
可視化された取調室を舞台に、容疑者と対峙する捜査一課の専門チーム、通称「キントリ」の活躍を描く同ドラマ。天海演じる叩き上げの取調官・真壁有希子が心理戦による駆け引きで被疑者を“丸裸”にする痛快なストーリーが人気を博し、2014年から2022年にかけてシーズン4までの連続ドラマと2本のスペシャルドラマが制作された。
「約10年前の第1弾の撮影中から、手応えを感じた共演者の間でシリーズ化を希望する声が高まり、次々に続編のアイディアが寄せられていたそうです。毎回、被疑者を演じるクセ者揃いのゲストも話題を呼び、これまでに斉藤由貴さんや浅野温子さん、松本まりかさんらが出演し、ドラマを大いに盛り上げました」(前出・テレビ朝日関係者)

2021年7月期に放送されたシーズン4では、桃井かおりがゲスト出演。初回の世帯平均視聴率が14.7%を記録し、同クールの1位を獲得した。
「これまでに20作以上の連続ドラマに出演してきた天海さんにとっても、10年以上続く『キントリ』は最大の当たり役。クランクインが近づくと毎回、髪をバッサリ切ってショートカットに“変身”し、真壁有希子になりきって気合を入れるのが恒例になっているそうです。
現場では、長丁場の撮影でも決して座らず、共演者やスタッフたちと演技について語り合ったり、エキストラにねぎらいの言葉をかけることも。“座らない女優”として知られる吉永小百合さんから影響を受けているそうです」(芸能関係者)
自分の演技だけでなく、現場の雰囲気作りや人間関係にも気を配る天海には、田中哲司や小日向文世、速水もこみちら共演陣も絶大な信頼を寄せている。天海の呼びかけでプライベートで共演者が集まり、食事をすることもあるという。
「SNSを一切使わない天海さんに代わって、招集をかけるのは田中さんの役割。出演者同士のグループLINEを作って天海さんからのメッセージを伝えたり、ドラマのことを相談し合うこともあるそうです」(前出・テレビ朝日関係者)
今度は「大麻」で逮捕された
2022年1月には菜々緒をゲストに迎えたスペシャルドラマが放送され、翌2023年、放送開始から9年目にしてシリーズ完結編となる劇場版『緊急取調室 THE FINAL』が公開される予定だった。映画化が決まった際、天海は「ラストを映画で飾れるなんて夢みたい」と歓喜していたのだが──。
「撮影は順調に進み、2022年の前半までにはオールアップを迎えていました。ところが、その後、映画は2度にわたって公開延期を余儀なくされ、3年近く企画がストップしてしまったのです。天海さんは待っている間に“年を取ってしまう”と冗談を言いながらもショックを隠せずにいました」(前出・テレビ朝日関係者)
1度目の挫折は2022年7月、安倍晋三元首相が銃撃に斃れたことが原因だった。
「偶然にも、劇場版のストーリーで内閣総理大臣が襲撃される場面が描かれていたため、やむなく翌年の6月まで公開を延期することになったのです。ところが、ようやく公開日が決まり、天海さんたちがプロモーション活動を行っていた最中に再び“待った”がかかった。劇場版で主要な役どころを演じていた市川猿之助さん(49才)が騒動を起こしてしまったのです」(前出・テレビ朝日関係者)

歌舞伎俳優の猿之助が、自身の濃厚セクハラなど、ハラスメント疑惑報道に思いつめ、父親の市川段四郎さんと母親の3人で一家心中を図ったのは2023年5月。向精神薬を大量に服用した両親は死去し、猿之助は自殺ほう助の罪で逮捕された。
「裁判で懲役3年、執行猶予5年の有罪判決が下されました。検察官が読み上げた供述調書で《許されるのであれば、舞台に立ちたい。迷惑をかけた関係者に、歌舞伎で償っていきたい》という猿之助さんの心境が明かされましたが、現在も復帰のめどは立っていません」(前出・芸能関係者)
天海は騒動前に「物語の中の内閣総理大臣と歌舞伎界を担っていくポジションがリンクするところがあって、手を上げるだけの所作でも総理でした」と猿之助の演技を絶賛。一方の猿之助も、天海の包容力を称え、「心地よく撮影に臨むことができた」と振り返り、互いに認め合っていただけに、彼の起こした騒動は痛恨の極みだった。
「不運は重なるもので、映画の公開に合わせて放送されるはずだったスペシャルドラマも、ゲスト出演していた永山絢斗さんが大麻の所持容疑で逮捕されたことでお蔵入りしています。劇場版に関しては準主役級の扱いだった猿之助さんの出演シーンをカットすることができず、一時は公開を中止することも議論されていたそうです」(前出・芸能関係者)
再びプロジェクトが動き出したのは2024年6月。劇場版の公式ホームページ上で約2年ぶりの“再始動”が告知され、「いろいろなことをバネにして、さらにパワーアップしたキントリの最後を飾るにふさわしい“ベストの作品”をお届けする」という天海の力強いメッセージも伝えられた。
「天海さんは《面白くなってきたじゃない!》と劇中の決めゼリフでリスタートのコメントを締めくくっていました。新たなキャストに石丸幹二さんを迎え、昨年冬頃にほぼ全編を撮り直すためのロケが都内や茨城県などで行われたそうです」(前出・テレビ朝日関係者)
映画の公開日はまだ告知されていないが、劇場版が完結編となるため、ドラマ版の新シリーズの放送後になる可能性が高いという。数々の危機を乗り越えていよいよ再始動するキントリ。天海はこれまでの騒動を“丸裸に”する覚悟で座長としての意欲をみなぎらせているという。
※女性セブン2025年7月31日・8月7日号