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3日間かけてショーのような生前葬を行ったWAHAHA本舗主宰・喰始さんが実感したこと「生前葬は別れの場でもあり“始まりの場”でもある」

3日間かけて生前葬を行ったWAHAHA本舗主宰・喰始さん
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「ワッショイワッショイ」と“亡き骸”をみこしのように担いで、短パン姿の参列者が一列に並んでコーラスラインを踊る──。2007年12月に開催されたWAHAHA本舗主宰・喰始さん(77才)の生前葬は、久本雅美(67才)、柴田理恵(66才)らが参加する壮大な「ショー」だった。

「もともとテレビ局に企画書を出すほど生前葬に興味があり、WAHAHAの舞台で3日間かけてやってみました。ただこのときは“まな板の上の鯉”状態だったから、次はぜひ自分が進行役の生前葬をやってみたい」(喰始さん・以下同)

それほどまでに思い入れがあるのは、生前葬では自分が「主役」になれるから。

「誕生会も結婚式も自分が主役なのに、葬儀だけは本人が不在でしょ。だから生前葬では自分が主役になって思う存分、悔いがないように集まった人と一緒に盛り上がりたい。

これまでの人生でかかわった人だけでなく、面識はないけど会いたい人や話したい人を集めて関係性を築く。そんなことができる生前葬は、同じ時代を生きる人が集まる“人生の同窓会”になると思います。そこで喜んでいる人たちの顔を見るのが何よりうれしいし、本当にいい思い出になるはずです」

喰始さんの生前葬は、1日目はお笑い葬(写真提供/WAHAHA本舗)
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3年前、喰始さんの友人が白血病で余命宣告を受けた。生前葬をすすめたが、友人は「辛気臭いのは嫌」と断り、間もなく亡くなった。この件が喰始さんの心に残っている。

「亡くなってから彼のお別れの会を開いて思い出をみんなで語り合ったけど、おれはやっぱり生前葬をやってあげたかった。みんなが彼のことを感謝して慕っていることを生きているうちに聞かせてあげれば、本人にとって大切な思い出になったと思うんです」

生前葬はお別れの場でもあり、「始まり」の場でもあると喰始さんは語る。

「自分で企画して生前葬をやることで、“ああ、おれはこんなことに興味があったんだ”と気づくことができる。生前葬は楽しく、元気になれて次にやりたいことが見える場でもあるんです。だから病気になってからではなく、元気なうちに自分のためにやることがおすすめ。

それによく言われるけど生前葬をやった人は長生きします。生前葬をすることで、ただ死ぬのを待つのではなく、元気を取り戻すことができるのでしょう」

【プロフィール】
喰始(たべはじめ)/WAHAHA本舗主宰・代表取締役・演出家・放送作家。1984年、私財を投じてWAHAHA本舗を結成し、全作品の作・演出を手掛ける。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)などテレビ番組の構成も多数担当。

※女性セブン2025年9月25日・10月2日号

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