
子育てと野球の両立に挑むメジャーリーガーと還暦を間近に輝きを増す大女優。スターたちの活躍を陰で支えているのは、地球上でもっとも小さく、もっとも軽い“元素”だった―いま注目を集める健康療法の実態とは。
流線形のデザインが近未来を思わせる最新鋭ベッドに横たわり、鼻にチューブを装着して目を閉じる大谷翔平(31才)。ベッドの脇に置かれた装置から“ある気体”が流れると、全身を巡る血流が改善され、体がフッと軽くなるのを実感するのだった──。
10月10日(日本時間)、白いビニールシートに覆われた室内練習用のケージが歓喜に包まれた。
「この日の試合でドジャースはリーグ優勝決定シリーズの進出を決め、今シーズン3度目のシャンパンファイトが行われました。大谷選手も大はしゃぎで、山本由伸選手(27才)の頭上からシャンパンをかけて喜んでいましたよ(笑い)」(在米ジャーナリスト)
エンゼルス時代には味わうことのできなかった“ヒリヒリする10月”を2年連続で満喫する大谷にとって、今年は私生活で大きな変化があった1年だった。
「今年4月に第1子となる女の子が誕生。7月のオールスター前日会見では娘について『顔を見るだけでうれしい』と相好を崩して語り、家庭内では“お風呂担当”だと明かしました。二刀流も復活し、公私ともに大きな節目となっただけに世界一への思いは昨年以上かもしれません」(前出・在米ジャーナリスト)
子育てと野球を両立する初めてのシーズンとなった今季、大谷の偉業を支えた“秘密兵器”が、7月26日に放送された『タモリステーション 帰ってきた二刀流・大谷翔平 ワールドシリーズ連覇への道』(テレビ朝日系)で明らかとなった。それが冒頭の“水素ベッド”だ。
「今年スタジアム内にある選手専用の仮眠室に、1台約2400万円の超高額ベッドが導入されたのです。透明で近未来的なデザインのベッドには筋肉や関節などを温める赤外線ライトが搭載され、質の高い睡眠をサポートしてくれます。さらにベッドにはチューブが備えられており、横たわって鼻に装着すると睡眠中に特別な装置から水素を吸入することができるのです。このベッドで30分程度の仮眠をとるだけで、筋肉の炎症が抑えられリカバリー時間が短縮できると好評で、選手同士で取り合いになるほど人気なのだとか。大谷選手も愛用しており、主力選手の中には自宅用に自腹で購入した人もいるほどです」(現地特派員)
芸能界にも水素ファン
体が資本のアスリートをとりこにする水素の力。しかし、水素吸入を取り入れているのはメジャーリーガーだけではない。
《リラックスする時間にやっていることは、体のケア。水素を吸入するのと、乳酸菌、免疫ケアは欠かしません》
10月7日に公開されたウェブサイト『大人のおしゃれ手帖web』のインタビューで、水素吸入について語ったのは女優の天海祐希(58才)だ。
「天海さんが主演を務める大人気ドラマシリーズ『緊急取調室』(テレビ朝日系)の新シーズンが10月16日から放送されます。最近は、ドラマのPRでバラエティー番組に出演したり、映画の舞台挨拶に登壇したりと超多忙な日々です。それでも現場では共演者やスタッフとのコミュニケーションを欠かさず、疲れた姿を見せることは一切ないといいます」(芸能関係者)
そんな天海が健康維持に人一倍気を使うのには、ある理由がある。
「天海さんは2013年に心筋梗塞を発症しました。軽度だったこともあり、後遺症もなく約1か月で仕事に復帰しましたが、主演舞台『おのれナポレオン』は公演途中で降板。ストイックな性格の彼女は、舞台に穴をあけてしまったことに大きなショックを受け、『自分が情けない』と猛省していました。以降は発酵食品を取り入れた食事や免疫ケア、入浴時のストレッチ、ウエイトトレーニングなど、日々の健康管理を徹底しています。そんな彼女が還暦を前に新たに取り入れた健康法が水素吸入のようですね」(前出・芸能関係者)

実は天海以外にも芸能界には“水素ファン”が多く存在する。
「人間国宝の歌舞伎役者・坂東玉三郎さん(75才)は水素吸入や水素サプリメントで健康になったと語っています。嵐の松本潤さん(42才)も自宅に水素水サーバーを常備していて、朝起きて最初に水素水を飲むと番組で明かしたことがありました」(前出・芸能関係者)
多くのスターを魅了する水素、一体どのようなメカニズムで効能を発揮しているのか。一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介さんが解説する。
「われわれは呼吸をすることで体内に酸素を取り込み、エネルギーに変換することで生命を維持しています。しかし、その過程では細胞や遺伝子を酸化させ、老化や病気の原因になる悪玉活性酸素が発生します。水素は、そうした悪玉活性酸素を中和して水に変え、除去する抗酸化作用を持っているのです。
水素のそうした作用は老化防止や疲労回復といった効果が期待されており、鼻から水素ガスを吸入したり、水素水を飲用したりといった“水素療法”を取り入れるアスリートや芸能人のかたも多くいます」
アンチエイジングや疲労回復に利用されることが多い水素療法だが、近年はがん治療への活用も注目されているという。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが解説する。
「水素療法はまだ検証の途中段階ですが、人のがんを対象にして治療の効果を確かめるための臨床試験が行われています。例えば、肝臓のがんの放射線治療中に水素水を6週間飲む試験では、疲れやすさなどQOLの改善と酸化ストレス指標の低下が報告されています。水素を吸入することによるがん治療のサポート効果を検証する試験もあり、そこでは安全性も確認されています。ただし、がんの進行を遅らせたり生存率を改善したりすることまでを明確に示す大規模な試験はまだ限られ、結論はこれからです」
多様な健康効果が明らかになった水素療法。2400万円のベッドを買わずともその効果を体験できる。
「水素吸入装置を導入する医療機関は徐々に増えています。短時間の吸入は30分で2000〜3000円程度の設定が多く、家庭向けレンタル(例:月4万〜7万円)を用意するメーカーもあります。水素水やサプリは手軽ですが、製品ごとの濃度・流量・品質管理に差があるため、医師の意見を聞いたり、第三者の声を聞いてみたりして、信用できるものかを慎重に確認して見極めることが大切です。気持ちが楽になったと感じられるようなQOLや症状緩和を支えるサポートの効果を期待して、標準治療の代わりではなく補完するものとして選択するのが妥当だと考えます」(室井さん)
まだまだ研究途上の水素療法。その可能性に期待は高まるばかりだ。
※女性セブン2025年10月30日号
