
きらびやかなダイヤモンドやパールがちりばめられたティアラは、100年以上前の明治時代から、女性皇族を華やかに彩ってきた。しかし、日を追うごとに存在感を増す愛子さまが、“借りもの”の輝きを貫かれるのには、過剰なまでの配慮があった。
淡いブルーグレーのセレモニースーツに身を包んだ愛子さまは、天皇皇后両陛下とともに深々とお辞儀をされた──10月23日、東京大空襲の犠牲者を祀る東京都慰霊堂に初めて足を運び、戦争で亡くなった人々を慰霊し、平和を祈念された愛子さま。
この11月には初の海外公式訪問でラオスを訪れる予定で、成年皇族としてますます公務の幅を広げられている。
「そんな愛子さまを支える体制を拡充するため、専任職員の増員も計画されています。今夏に発表された来年度予算の概算要求で明らかになったものですが、一方で、やっぱり今回もティアラの製作費用は計上されませんでした。これで6度目の辞退となりますが、いまだかつてない状況です」(皇室記者)
女性皇族には、成年に際し、新年祝賀の儀や宮中晩餐会といった公的行事で着用されるティアラを新調する習わしがある。しかし、2021年12月に成年を迎えた愛子さまは、これまで一貫してティアラの製作を辞退されてきた。
「当時はコロナ禍の影響が色濃く残っており、未知のウイルスが国民を襲った厳しい状況に、愛子さまも大変心を痛められていました。国民生活や経済にさまざまな影響が出ている社会情勢を考慮し、両陛下とご相談の上、当面の間は新調しないと決断されたのです。
コロナ禍が収束した2023年にも、宮内庁は“物価高にあって国民感情と両陛下のお気持ちに配慮した”と理由を説明。以降も愛子さまのティアラは作られていません」(前出・皇室記者)

愛子さまの頭上で輝くティアラは、現在叔母である黒田清子さんのものを借り受けて使用されている。
「清子さんは成年を迎えた1989年にティアラを製作し、2005年に結婚した後も私物として所有していました。
成年にあたって愛子さまからティアラについて相談を受け、清子さんは貸し出しを快諾したそうです。皇籍を離れた後は使用する機会もなく、自分と同じく“天皇家の娘”として成年を迎えた姪をサポートしたいという思いがあったのでしょう」(宮内庁関係者)
費用高騰も「世間は賛同」
愛子さまが借りられているティアラはジュエリーブランド「ミキモト」のもの。製作費は公表されていない。一方、秋篠宮家の長女・眞子さんのティアラは2856万円、次女・佳子さまのものは2793万円の製作費がかかった。
「天皇家の内親王である愛子さまのティアラは、眞子さんや佳子さまより高い品格のものが求められます。昨今の物価上昇を考慮すれば、製作費用は3000万円をゆうに超えるはずです。
成年皇族として真摯に公務に励まれている愛子さまの姿は、国民から多くの支持を受けていますから、それなりのお金がかかっても世間からの賛同は得られるはずです」(前出・宮内庁関係者)

11月に控えるラオス訪問は、愛子さまのお立場の重要性を如実に表している。
「11月17~22日の6日間にわたってラオスを訪問されます。現地では、『国家元首に準ずる接遇を行う』として、歓迎行事や晩餐会など手厚いもてなしが準備されているそうです。
今回のご訪問をきっかけに、今後は海外での公務も増えていくはずですので、愛子さまの国際的な存在感はさらに高まっていくことでしょう。海外王室の方々を国賓として歓待する宮中晩餐会でもお召しになるティアラは、女性皇族の象徴です。愛子さまが“海外デビュー”を果たされた後なら、ティアラを製作するいいタイミングだと思うのですが……」(前出・宮内庁関係者)
不確かな女性皇族の未来
だが、前述の通り、2026年度もティアラは作られない。背景には、愛子さまが両陛下から受け継がれる“質素倹約の精神”がある。
「両陛下は、華美な生活ではなく、慎ましやかな暮らしを大事にされてきました。お召し物やお住まいの調度品も、手直ししながら長く使うことを意識されています。そうしたご両親の背中を見て育った愛子さまにも、その姿勢は受け継がれています。
長引く物価高や円安で苦しむ国民がいる状況下で、“おさがり”が使える環境にもかかわらず、大金を投じて新調するのは控えるべきとのお考えなのでしょう」(前出・宮内庁関係者)

さらに、解決の道筋が見えない女性皇族をめぐる議論も影響を及ぼしているという。
「愛子さまが成年されて約4年が経過し、ご結婚は決して遠い未来のことではありません。女性皇族が結婚後も皇室に残る案が現実的になりつつありますが、まだ議論は続いています。愛子さまも自身の不確かな未来を見据えて葛藤されているはずです。このタイミングでティアラを製作されれば“愛子さまは長らくこのティアラをつけられるお気持ちがある。結婚後も皇室に残られたいのではないか”と、議論と結びつけた受け取られ方をされかねません。
ティアラの新調を“辞退”し続けるのは、女性皇族の将来を決定づける議論に、いらぬ臆測を呼ぶことは避けたいという思いの表れなのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)
“ティアラを持たないプリンセス”は、揺れ動く未来にも動じず、ひたむきに公務に励まれる。
※女性セブン2025年11月13・20日号








