健康・医療

【放っておくと危ない病気の予兆「首・胸・肩」「背中・腰」編】胸の痛みが5分続けば狭心症、30分なら心筋梗塞の可能性 大腸がんの進行で腰痛になることも 

よくある不調は大きな病気の予兆かもしれない(写真/PIXTA)
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 こんなことで病院に行くべきではないかも──そう悩んでいる間に、病気は静かに進行しているかもしれない。今回は専門家に、頭から足先まで「放っておくと危ない痛みと違和感」を部位別に取材した。【全3回の第2回。第1回から読む

「首・胸・肩」がまんできる痛みでも病気の可能性

 胸が痛いときにまず疑うべきは心臓の病気だ。きくち総合診療クリニック理事長の菊池大和さんが指摘する。

「胸が痛い、息苦しいという症状が約5分間続けば狭心症の疑いがある。狭心症では血管が収縮と拡張を繰り返し、一時的に血流が途絶えるので痛みが生じます。痛みが30分間続くなら、心筋梗塞の可能性が高い。胸のあたりが締め付けられるような苦しさと痛みが特徴です」

 心臓の病気では、胸以外の部位が痛むこともあると東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信さんは指摘する。

「狭心症では『放散痛』といって、胸の痛みとともに肩や歯の痛みが出ることがある。肩の痛みは肩こりと間違うこともあります。がまんできる痛みでも狭心症や心筋梗塞ということはあるので、3分以上15分以内の痛みや違和感を覚えたらすぐに受診してください」

 冬の寒い朝は血管が収縮しやすく、心筋梗塞の発症リスクが高まる。神奈川県在住のBさん(56才)は夫を亡くしたときのことを後悔している。

「夫は数日前から肩が重いと言っていたのですが、私も本人もデスクワークのせいだと考えて、そのままにしていました。

 でも突然、出勤前に強い背中の痛みに襲われ、倒れ込んでしまった。救急車を呼びましたが、結局、心筋梗塞で亡くなりました。肩の重みが気になった時点で病院に行っていれば、助かったのかもしれません」

首・胸・肩に出る「予兆と病気」
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 肩や首のこりといった症状はセルフケアで対処してしまうことが多いが、いつもと違う感覚があれば見逃してはいけない。菅原脳神経外科クリニック院長の菅原道仁さんが語る。

「血管が裂ける『椎骨(ついこつ)動脈解離』は、後頭部の痛みが特徴です。首や肩のこりからくる痛みだと思っていたら、血管が裂けていたということがある。突然の痛みは血管系の疾患であることが多いです」

 がんの発見は検診を定期的に受けるのが大前提だが、ちょっとした違和感から気づけることもある。東京大学医学部附属病院の放射線科特任教授・中川恵一さんが指摘する。

「がんは症状が出た段階では進行している可能性が高いですが、のどのがんは他部位に比べて初期状態で症状が出やすい。声がかすれるときは、喉頭がんの可能性がある。肺がんも首のリンパ節に転移すると、声がかすれることがあります。

 ものを飲み込むときにつかえる感じがあれば、食道がんが疑われる。胸に触れたことのないしこりを感じたときは、乳がんかもしれないのですぐに病院に行くべきです」

「背中・腰」いつの間にか骨折している場合も

 背中や腰の痛みは、よくある不調だと見逃しやすい。菊池さんは、何より怖いのは大動脈解離だと話す。

「痛みが一点にとどまらず、背中から腰、胸へと動いていくような感覚があったらかなりの確率で大動脈解離です。血管が裂け、壁が薄くなり、放置すると破裂して命を落とす危険が高い」

 命を失う危険は少なくても、様子を見ているうちに悪化してしまう病気もある。

背中・腰に出る「予兆と病気」
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「胸や背中の片側だけにピリピリするような痛みを感じたら、おそらく帯状疱疹(たいじょうほうしん)です。神経節に潜んでいるウイルスが暴れ出して痛む病気なので、薬をのめば1週間ぐらいで治ります。早めに内服すれば痛みの後遺症も防げる。

 尿路結石になると腰痛を訴える人がいます。特に朝に腰が痛むケースが多い印象です」(菊池さん)

 早期発見が難しいとされるすい臓がんは、背中や腰に鈍い痛みが起こることがあるという。

「背中の真ん中あたりが痛いときは、すい臓がんが疑われます。顔が黄色い、便が白くなるのもすい臓がんの症状です」(中川さん)

 医療経済ジャーナリストの室井一辰さんは、腰痛とがんの関係を指摘する。

「大腸がんが進行すると、腫瘍が周囲の神経を圧迫するので腰痛を引き起こすことがあります。

 腰痛の原因が骨粗しょう症ということも珍しくありません。背骨を支えている椎体は折れても“いつの間にか骨折”といわれるくらい自覚症状がない。ただし、進行すると腰のあたりに痛みが出てきます」

頭・顔に出る「予兆と病気」
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(第3回に続く)

女性セブン2025124日号