健康・医療

《食事と運動で体温を上げる》「色の濃い飲み物を飲む」「間食はドライフルーツ」「鍛えるならふくらはぎ・背中・太もも」など温活テク13

お茶を飲むシニア女性
体を温めることにはたくさんのメリットが(写真/Getty Images)
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肩こりや慢性疲労、肌のくすみ…。冬の不調のほとんどは、体の冷えが主な原因。体を温める「温活」は万能な予防療法で、「体温を1℃上げると、免疫力が約30%アップし、さまざまな不調を遠ざけます」と、温活ドクターの石原新菜さん。そこで、効率的に体を温めるため食事と運動を大紹介。すぐにまねできるものから始めてみて。

体を温めると代謝が13%アップ!

自分の平熱を把握しているだろうか。健康を維持するのに理想的な体温は、36.5~37℃だが、最近は、平熱が35℃台の人が増えているという。

「体が冷えると血流や代謝が悪くなり、内臓の動きが鈍くなります。それがさまざまな不調の原因に。体温を1℃上げると、免疫細胞が活性化し、免疫力が上がりますが、それだけでなく代謝も13%アップ。これは、体が温まることで血流が改善し、老廃物が排出されやすくなるから。代謝が上がればむくみが改善して肌がきれいになり、やせやすくなりますし、血流がよくなれば、肩こりが解消しやすくなります」(石原さん)

食事で温活

体温は食事から摂取したエネルギーを燃やすことで保たれる。しょうがや根菜、発酵食品などの“温活食品”を毎日摂取しよう。

とにかく「しょうが」!

「しょうがの辛み成分ジンゲロールには体を温める作用が。加熱するとショウガオールに変化してさらに温め作用がアップします」(石原さん)

すりおろしてラップの上に薄く伸ばし、冷凍すると長く保存できて便利。1日あたり約20gの摂取を目指して。

薬味をフル活用

「にら、にんにく、青ねぎ、大葉、玉ねぎ、長ねぎ、バジル、パクチー、みょうがなどの薬味には、血流促進や代謝アップなどの効能が。冷蔵庫に常備し、刻んでみそ汁やスープなどに入れれば、忙しくても手軽に取り入れられます」(石原さん)

にんじんりんごジュースを56℃未満に加熱

「にんじんのβ-カロテンとりんごのポリフェノールの抗酸化作用で免疫力アップ。56℃までならビタミンを損失せず、飲みやすい温度に」(石原さん)

ジューサーで搾るのがおすすめ。

れんこん湯で体の中から温まる

「番茶にすりおろしたれんこんと塩を入れた『れんこん湯』、熱湯に長ねぎのみじん切りとみそを入れた『ねぎ湯』は風邪のひきはじめにもおすすめ。どちらも東洋医学では体を温める作用がある“陽性”の食材とされています」(石原さん)

発酵食品で腸を活性化

「腸の働きがよくなると内臓全体の血流が改善し、体の内から温まります。発酵食品を摂り、腸内の善玉菌を増やして腸を元気にしましょう」(温活士・有賀久美さん)

塩を塩麹に、しょうゆをしょうゆ麹に変えるだけで無理なく腸活と温活ができる。

細身で冷え症なら天然塩を

「東洋医学では、色白で細身の人は体が冷えやすい“陰性体質”。塩分が不足しやすい体質なので、ミネラル豊富な天然塩を摂取すると体が温まり、体質改善に」(石原さん)

色の濃い飲み物を選ぶ

「東洋医学では、緑茶を発酵させたウーロン茶、紅茶、プーアール茶など色の濃いお茶が体を温めるとされています。血流促進効果のある酵素SODを含むルイボスティーや、血管拡張効果のあるイソフラボンを含む黒豆茶も◎」(石原さん)

間食はドライフルーツ

「おやつには、体を温める作用のある“陽性食品”のドライフルーツ、血行促進効果のあるナッツ類や豆類がおすすめ」(石原さん)

洋菓子よりあんこの入った和菓子が温活には◎。

根菜、赤身の肉、魚、黒い食材で温まる

「赤身の肉、魚、貝類には体を温めるヘム鉄が豊富。貧血の人は体が冷えやすいため、鉄分が豊富な黒ごま、のり、ひじき、黒豆などの黒い食材を摂りましょう」(石原さん)

野菜なら、水分が多くて体を冷やす葉物より、体を温める陽性食品の根菜を。

運動で温活

体の熱の約40%は筋肉から生み出されるため、下半身や肩まわりなどの大きな筋肉を鍛えると、効率的に体温が上げられる。

第二の心臓「ふくらはぎ」を刺激

血液を全身に循環させるポンプの役割を担うふくらはぎ。

ふくらはぎを揉む女性
足首からひざへ向かってもみほぐす(イラスト/やまなかゆうこ)
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「両手でつかんで足首からひざへ向かってもみほぐすと血流が促進され、むくみの解消にも」(石原さん)

つま先立ちしている女性
かかとを床につけずにゆっくり上げ下げ(イラスト/やまなかゆうこ)
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「足の指の付け根が曲がるよう背伸びをし、かかとを床につけずにゆっくり上げ下げ。繰り返すことでふくらはぎの筋肉が鍛えられ、血流アップ」(有賀さん)

ボールでコロコロマッサージ

ボールでコロコロマッサージ
腰や背中にボールをあて、体重をかけてマッサージ(イラスト/やまなかゆうこ)
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「腰や背中にボールをあて、気持ちよいと感じる程度に体重をかけてマッサージ。背中のコリがほぐれて血流が改善」(有賀さん)

首元にボールをあてている人
胸鎖乳突筋をボールでほぐす(イラスト/やまなかゆうこ)
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「耳の後ろから鎖骨にかけて斜めに走る胸鎖乳突筋にボールをあて、上下に転がして血流アップ」(有賀さん)

座ったまま大きな筋肉を鍛える

【肩甲骨をほぐす】

「いすに浅く座って背中で手を組み、組んだ手を上げて肩甲骨を引き寄せます。このとき胸を張って顔は上向きに」(有賀さん)

いすに座る女性
いすに浅く座り、背中で組んだ手を上げて肩甲骨を引き寄せる(イラスト/やまなかゆうこ)
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背中と胸の筋肉をほぐすと血流アップ。

【前ももと腹筋を鍛える】

片方の足首を90度に曲げたまま、ひざを曲げ伸ばす。足は床につかない、すれすれに下ろす。これを30回繰り返す。反対の足も同様に。

いすに座る女性
いすに座り、片ひざを90度に、もう片足はひざを曲げ伸ばす(イラスト/やまなかゆうこ)
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「腰から太ももの大きな筋肉を鍛えられる」(有賀さん)

ダイナミックフラミンゴ

背筋を伸ばして1分、片足立ちをする。壁に手をついてもよい。

片足立ちをする女性
背筋を伸ばして片足立ちを1分(イラスト/やまなかゆうこ)
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「これは53分間のウオーキングと同様の負荷が足にかかります」(石原さん)

◆教えてくれたのは:内科医・石原新菜さん

イシハラクリニック副院長。“温活ドクター”としても知られる。漢方医学、自然療法、食事療法をもとに診療を行う。『カラダを温めて冷えをとる! 温活365日』(内外出版社)など著書多数。

◆教えてくれたのは:温活士・有賀久美さん

温活講座を開催する「ウーマン・ラボ」代表。温活セミナーなども行う。温活情報をSNSや公式LINEにて配信中。

取材・文/植木淳子

※女性セブン2025年12月25日・2026年1月1日号

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