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《生命保険の活用術》高額療養費制度や公的保険だけでは得られない“万が一への備え”…がんや生活習慣病など病気になったときの「医療保険」の役割

入院する女性
がんや生活習慣病などで入院しても「医療保険」が生活にゆとりをもたらす!? (写真/イメージマート)
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人生100年時代、100才まで生きることは珍しくなくなった。一方で平均寿命と、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる」健康寿命との開きは、女性の場合12年ほどで、その差は超高齢社会において「長生きリスク」として不安視されている。がんや生活習慣病といった病気、転倒など事故の後のリハビリ、認知症や介護など、“想定外”の事態で“貧乏老後”を招かないために、備えておきたい“得する生命保険”の活用術を徹底解説。今回は、「医療保険」に注目する。

保険の種類
(イラスト/香川尚子)
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入院差額ベッド代や通院費ほか「長引く予後」の不安を解消

加齢とともに抗えなくなるのが心身の衰えと、それに伴う病気。国民皆保険で、公的医療保険制度が充実している日本では、医療費は3割負担(75才以上の場合、収入によっては1~3割)で、たとえ治療費がかさんでも「高額療養費制度」を使えばいい、と考える人も多いだろう。

だが、老後の暮らしにかかるお金は医療費だけではない。特に高齢女性には、生活に苦しんでいる人が少なくないのが現状だ。ファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが言う。

「65才以上の単身世帯の生活費の平均は約15〜16万円。しかし、そのうち住居費は1万円台となっています。都内で賃貸暮らしを想定すると、住居費だけで7万~8万円はかかります。そこに急な病気やけがでまとまった医療費がかかったり、要介護状態になったりすれば、とても生活していくことはできません。

働いて収入を得ようにも、女性はパートや非正規雇用が多く、60代なら平均年収は200万円台と男性の半分ほど。いまは暮らしていくことができていてもいつ夫と死別したり、自分が病気になるかわからない以上、女性こそ『老後リスク』への備えが必要なのです」

老後の暮らしにはいくらかかる? ※総務省「家計調査報告書」(2024年)をもとに女性セブン作成
老後の暮らしにはいくらかかる? ※総務省「家計調査報告書」(2024年)をもとに女性セブン作成
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飯村さんは「病院でかかったお金の中にも、公的医療保険の対象外のものは少なくない」と指摘する。

「もっとも顕著なのは、入院したとき。差額ベッド代や食事代、パジャマ代のほか、お見舞いの交通費やお返しなど、さまざまな出費がかさみ、これらはどれも全額自己負担です。

高齢者に多い歯科のインプラントや白内障手術の際に目に入れるレンズも一部は対象外。女性特有の病気の場合、たとえば乳がんだと、保険適用される乳房再建費の差額や、ウィッグ代の自己負担が必要になる場合もあります」

公的医療保険が使えるもの・使えないもの
公的医療保険が使えるもの・使えないもの
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高額療養費適用でも「想定外の出費」がある

2025年12月2日以降、マイナ保険証(未登録の場合は資格確認書)を提示すれば、窓口で支払う段階で、高額療養費適用後の金額が請求されるようになり、治療費がかさんでも、70才未満で一般的な所得なら自己負担は10万円以下ですむようになった。だが入退院のタイミングによっては、自身での“持ち出し”が出ることもあるという。ファイナンシャルプランナーの牧野寿和さんが言う。

「高額療養費は1か月ごとに請求されるため、入院日と退院日が同じ月のうちなら一度の請求ですみますが、月末に入院して月初に退院するなどで月をまたぐと“2か月分”として扱われてしまい、1か月あたりの金額が少なくなります。そうして、高額療養費が適用される金額を満たせなければ、合計金額は高額なのに、高額療養費が適用されないケースも発生します。

しかも、申請から給付までは数か月など一定の期間を要すこともあり、生活に窮してしまう人もいます」

そして、入院やリハビリが長引けば、その分医療費もどんどん増えていく。ファイナンシャルプランナーの松浦建二さんはこう懸念する。

「医療の進展で入院が長引く治療は減っているとはいえ、やはり高齢になると長引きやすい。特に骨折や血管系疾患などは入院が長い傾向にあります」

こうした公的医療保険ではカバーできない出費を補うのが民間医療保険なのだ。

治療前からまとまったお金がもらえる

公的医療保険が適用になると、実際に病気になってから、通院や入院にかかった金額の負担額が減らされるだけ。一方、民間の医療保険なら、たとえば「がん」と診断された時点で、治療を受ける前から、診断給付金を一時金として受け取ることができる。

「一時金は、3大疾病と診断された場合に受け取れるもののほか、手術を受けたときや、1日以上入院したときなど、さまざまな場合で受け取れるものがあります。また“入院給付金1日5000円”の医療保険に加入していると、1か月の入院で15万円+手術一時金で10万円の合計25万円が受け取れるものもあり、実際にかかった治療費よりも多くなることも。

その分を差額ベッド代にあてれば、個室で快適な入院生活が送れますし、高齢の家族や、小さな子供がいてもタクシー代をためらわずにお見舞いができます」(松浦さん)

入院する女性のイラスト
民間の医療保険で入院も快適に(イラスト/香川尚子)
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特約をつければ「在宅医療」への備えに

民間の医療保険のメリットは、「特約」で自分に必要な保障をカスタマイズできることにもある。

近年はがん治療でも入院ではなく通院で対応できるケースが増えているため、通院だけの治療でも給付金が受け取れる「通院特約」や、在宅医療中の収入減少に備えられる「収入保障特約」、重粒子線治療など、数百万円以上の自己負担が必要な最新のがん治療に対応した「先進医療特約」などをつけておくと、安心度がさらに高まるだろう。

取材/小山内麗香、三好洋輝

※女性セブン2026年1月8・15日号

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