
人生100年時代、100才まで生きることは珍しくなくなった。一方で平均寿命と、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる」健康寿命との開きは、女性の場合12年ほどで、その差は超高齢社会において「長生きリスク」として不安視されている。がんや生活習慣病といった病気、転倒など事故の後のリハビリ、認知症や介護など、“想定外”の事態で“貧乏老後”を招かないために、備えておきたい“得する生命保険”の活用術を徹底解説。今回は、「介護保険」に注目する。
介護費用はケースにより必要な金額が大きく変わる
加齢とともに現れるリスクは医療だけではない。介護も大きな「壁」となる。病気やけがの後遺症はもちろん、心身の衰えで特定の病気にかかっていなくても自立した生活が次第に困難になる人は多い。
介護費用は、平均的な介護期間の4年7か月で合計約580万円とされるが、「在宅か施設か」「どれくらいの要介護度か」などによって、必要な金額は大きく変わる。生命保険文化センターの調べによると、在宅介護では月平均5.3万円、施設介護では13.8万円と大きな差がある。要介護度別では、要介護1では月5.4万円なのに対し、要介護4ではもっともお金がかかり、月12.4万円にもなる。
介護の場合、当事者負担だけでなく、パートナーや子供など家族への肉体的、精神的、金銭的負担がかかるため、家族全員で備えておくことが求められる。
介護「する側」の負担も解消できる
これらはいずれも、公的介護保険サービスの自己負担額を含めた金額だ。公的介護保険は40才から加入し、65才以上は「第1号被保険者」となり、認知症などで要介護または要支援認定を受けると、要介護度や要支援度に応じた介護サービスを受けられる。

「一方、64才までの『第2号被保険者』の間は、若年性認知症など16種類の特定疾病が原因で要介護(要支援)状態になった場合に限り、介護保険サービスを利用できます」(ファイナンシャルプランナーの牧野寿和さん)
65才以上で要介護または要支援認定を受けたとしても、公的介護保険は基本的に“現物支給”。例えば、東京都では要支援1の場合は月5万320円分、いちばん重い要介護5の場合は月36万2170円分までのサービスが受けられる。これを超える分は利用者の自己負担となる。
また、要介護度や要支援度に応じたサービスがあるが、その中に自分が受けたいサービスがなく、使い勝手がよくないケースも少なくない。
長引くリハビリが想定外の負担に
病気の治療が終わってもリハビリのために入院が必要になったり、通院でリハビリを続けるケースも多い。入院治療に加え、リハビリも長期にわたるケースが多いのが脳血管疾患だ。
「リハビリは疾患ごとに単位が定められ、脳血管疾患の場合、1単位あたり735円(3割負担)。1日最大6単位まで算定でき、1日3単位のリハビリを行う場合、3割負担で約2200円が相場です。
また、60才以上の女性に多い関節リウマチや変形性膝関節症といった疾患だと、1単位550円(3割負担)で、それが1日最大6単位まで。それを20日間行った場合、3割負担で約6万6000円で、高額療養費が適用されると、所得に応じて月額3万5000〜8万円の自己負担です。さらに人工関節を入れるなどの手術を受ければ、3割負担で約60万円に。これは高額療養費の対象です」(ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん)
ただし介護は利用料だけでなく、「する側」の負担の問題もある。
「介護はされる側だけでなく、する側の負担も大きいもの。親が要介護状態になって子供が介護を担うとなると、肉体的、精神的、そして経済的な負担がかかります。介護離職や休職による収入減少は家計に大きな打撃を与える一方で、公的介護保険ではカバーできません。平均的な介護期間は4年7か月ですが、人によっては介護生活がいつ終わるかわからず、いわば〝無期限〟に、さまざまな負担がのしかかるのが介護です。民間の介護保険を賢く利用すれば、経済的負担を回避しつつ、そのお金で介護サービスを利用したり、息抜きをしたりして、肉体的、精神的にも負荷を減らせます」(松浦さん)
介護は「する」も「される」も負担がかかり続ける
民間の介護保険には、要介護認定された段階で一時金を受け取れて、その後10年にわたって年金がもらえるものがある。例えば、要介護2と認定された際に100万円の一時金を受け取り、その後は年150万円の年金を10年間受け取れる商品なら、合計は1600万円を超える。商品によっては要介護1でも50万円の一時金が出るものもあり、早い段階から介護サービスを受けることで、症状の進行をゆるやかにできる可能性もある。公的年金と組み合わせれば、さまざまな老後リスクに備えられる。
当然ながら、そのお金の使いみちは自由。受けたい介護サービスを利用するだけでなく、自宅のリフォームや交通費、外食など、何にでも使える。また多くが更新型なので、10年など定期的に保障を変更できるのも、大きなメリット。例えば定年退職によって収入が減ったタイミングなどに保障内容を引き下げるなど、家計や健康状態に合わせて自由に変えられるのだ。


取材/小山内麗香、三好洋輝
※女性セブン2026年1月8・15日号