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《人生を変える“すごい幸せ習慣”》心理学者が解説「人間関係がうまくいく」「ネガティブ思考を変える」ためには?やる気が出ないときに気持ち切り替えたい心身整えメソッドも

タブレットとスマホを使ってミーティングをする2人の日本人女性・ビジネスウーマン 
「人間関係が上手くいく習慣」は一緒に〇〇すること!?(写真/イメージマート)
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新年を迎え「今年こそは!」と目標を掲げる人は多いだろう。しかし「5kgやせる」「英語が話せるようになる」と希望を持っても、数か月後に「やっぱり続かなかった」と挫折してしまうまでが“ルーティン”という人も。お金・ダイエット・人間関係・ネガティブ思考・習い事…頑張っているのにうまくいかない─―それ、頑張り方が間違っているのかも!? 人間関係・ネガティブ思考などに着目。科学的に正しく、無理なく幸せになれる習慣を、ポジティブ心理学者の松村亜里さんが解説します。

幸せは環境でなく、習慣で決まる

「ハーバード大学の心理学講座でも話題となった『ハピネスアドバンテージ』という理論があります。『幸せな人は後で成功する可能性が高い』というもので、研究の結果、幸せを感じている人は免疫力が高まり、人間関係や仕事でも成果を上げ収入も高いなど、あらゆる面でうまくいくことが証明されています。

さらに、カリフォルニア大学などが行った調査によると、幸せの要因は、生まれ持った気質が40%以下、環境は約10%、残りの約50%は日々の行動や習慣だという結論が(※心理学者のソニア・リュボミアスキーらが数年にわたり研究を続けたデータ結果による。内容は著書『幸せがずっと続く12の行動習慣』に詳しい)。つまり、どんな人でも日々の行動や習慣づけで、幸せは創り出せるということです」(松村さん・以下同)

「自分がダメだから」とあきらめる前に、自分が幸せになる習慣をつくることだ。

「無理に幸せを感じようとすると、かえって逆効果になるという研究もある。あくまで自分が心地よく、楽しくあることが重要です。

人間に備わる思考・感情・行動のうち、感情はコントロールできませんが、思考と行動は変えられ、それによって感情は変わります。幸せを感じられるかは、自分の思考や行動次第です」

習い事が続く習慣→「習得した後の自分の姿」を想像する

最初は楽しくて仕方がなかった習い事なのに、気がつけば惰性に…。

「本当に自分がやりたいことではなく、周りの人がやっているから、友達に誘われたからなど、他人基準で始めると続かないことが多いです。

もう少し頑張れるなら、『海外の友人と会話を楽しむ私』など、習い事を習得した後の自分を思い描くと、モチベーションの維持になります。達成した自分を想像しつつ、プロセスを楽しめるといいですね」

「マスターしたら世界が大きく広がる!」と、ワクワクしながら理想を描く
「マスターしたら世界が大きく広がる!」と、ワクワクしながら理想を描く(イラスト/かたおか朋子)
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やりたいことの見つけ方

「飽きていても、一度始めたからには何とか続けなきゃ」と思う人もいるだろう。

「そういう謎のルールに縛られず、飽きたら次のことをやればいいんです。母子家庭で育ち、中卒で何をしたらいいかわからなかった私は、母から言われるままに准看護学校に入りました。看護の勉強には興味が持てなかったものの、英語と数学の授業に夢中になり、後に留学をして現在の職業に就きました。

心理学では、ゴールありきでなく、予期せぬ偶然から自分に合ったキャリアに出合うことを『計画的偶発性理論』といいますが、私の場合もまさにそれ。いろいろトライする中で『自分のやりたいことはこれだった!』と発見することも大いにあるのです」

次々に新しいことを始めるのは「飽きっぽい」とネガティブに感じそうだが、惰性で長く続けるよりずっと自分のためになっているのだそう。

「その体験一つひとつにも価値があります。『飽きている自分がダメ』と考えず、どうしたらまたワクワクできるかを考えましょう」

人間関係がうまくいく習慣→相手の「よかったこと」を一緒に喜ぶ

悲しいときに力を貸してくれたことで人との絆が深まると思いがちだが、「研究では、『いいニュースを一緒に喜んでくれる人との間にいい人間関係が生まれる』ことがわかっています(※心理学の「積極的建設的反応(ACR)」という手法で、相手のいいニュースをポジティブに反応すると、人間関係が深まるとされている)。その人間関係が、つらいときにも役立つのです」。

相手の強みを見つけて伝えると、さらに深い信頼関係を築くことができるとも。

一緒に喜び合えるのがいい仲間
一緒に喜び合えるのがいい仲間(イラスト/かたおか朋子)
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「実際に、お互いの強みを認め合う夫婦はいい関係性が長く続き、自分の強みを見てくれる上司の部下は仕事を楽しみ、問題行動がほぼないという研究結果(※米国ギャラップ社の調査による)も出ています」

他人をうらやむ自分を変える秘策

友人関係など他者との関係では、なにかと嫉妬する気持ちが出てしまうこともある。

「嫉妬を感じるのは、自分がしたいことを相手がしているから。つまり『自分が本当に望んでいるもの』に気づいたサインです。嫉妬するかわりに、その人の真似をしたり、話しかけたりして、学びの対象にしてみましょう」

常に自分軸を保つことも大切だ。

「自分の幸せは自分で責任を持つことです。無意識でも、他人に『幸せにしてもらいたい』と思っていると、人に好かれたいと願うようになり、人をうらやんでしまいます。自分の幸せは自分で創り出すもの。嫌なことは嫌と言い、幸せをシェアできる人とつきあうことが自分軸の幸せにつながります」

ネガティブ思考を変える習慣→幸せな未来を妄想し、「可視化」する

「老後が不安」「病気になったらどうしよう」など年齢を重ねるとともに、漠然とした不安が積み重なっていく。

「人間の脳は普通にしているとネガティブなことを考えてしまいます。だから、あえて『私の将来はいいことがある』と“思い込み”ましょう。実際、いいこと、悪いことが起こる確率はわからないし、何かが起こるその日まで心配し続けても意味がない。悪いことが起きたらそのときに考えることにして、それまでは幸せを感じて過ごすことです。

ネガティブ思考は生まれつきではなく、環境が大きいといわれていますから、思考と行動の習慣で変えていきましょう」

自分の理想を形にする「ビジョンボード」

もし老後に不安を抱えているなら、“幸せな老後を妄想する”方法を試してみよう。

「描いた未来を可視化する『ビジョンボード』を作ってみてください。これで目標が叶ったという例もあります。『お金もあって話し合える友人がいる』『海の近くに住む』など、あなたが憧れる未来を思い描き、それに近い画像や言葉を雑誌などから切り抜き、画用紙やコルクボードに貼り付けたものがビジョンボードです。それを部屋に置いて眺めながら、未来の物語を妄想するとワクワクしてきますよ」

「ハツラツとした未来の私」をイメージしたビジョンボード
「ハツラツとした未来の私」をイメージしたビジョンボード(イラスト/かたおか朋子)
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脳は、ネガティブなことのみならず「目に留まるもの」に注目する機能がある。ビジョンボードはこれを利用したもので、夢のゴールを目指したポジティブな心と行動の後押しになるとして、ビジネスやスポーツ界(大谷翔平選手のマンダラチャートも同様のもの)でも実践されている。「こんな私だったら楽しいな」を具現化すると、未来の自分に期待が持てそうだ。

挫折しそう…やる気が出ない!後ろ向きな気持ちを切り替えたいときの心身整えメソッド

「考えが煮詰まったり、落ち込んだりしたときは、体を動かすのがいちばん効果的。おすすめは『ジャンプ』です。上下運動を繰り返すことで脳の前頭前野(額の後ろにあり、思考や創造性を担う部位)を落ち着かせ、集中状態をつくり出すほか、自律神経を整える効果があります」(松村さん・以下同)

リンパの流れを促し、幸せホルモン(エンドルフィン)を分泌するなど、さまざまな効能がわかっている。

「最初は1分から始め、少しずつ延ばしていきましょう。体力がある人は『ジャンピングジャック』(下図)を」

立ち姿勢から、両手を上げながら両足を広げてジャンプする「ジャンピングジャック」
立ち姿勢から、両手を上げながら両足を広げてジャンプする「ジャンピングジャック」(イラスト/かたおか朋子)
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乱れた心を落ち着かせたいときは、自分の呼吸に意識を向ける瞑想が効果的だ。

「慣れていない人がいきなりやるのは難しいので、言葉を唱える『思いやりの瞑想』から始めましょう」

やり方は以下の通り。

【1】静かな場所に背筋を伸ばして座る(椅子でもOK)。

【2】目を閉じて口角を少し上げ、心臓から吸って吐くイメージで深い呼吸をする。

【3】大好きな存在(家族やペットなど)を思い浮かべながら次の言葉をゆっくりと唱える。

「安全で守られますように」

「健康でありますように」

「気持ちが安定しますように」

「夢が叶いますように」

「幸せでありますように」

【4】次に、友人などを思い浮かべ、同様に唱える。最後に自分に向けて唱える。【1】~【4】を合計20分行う。

心と体の両輪で、幸せ習慣を身につけよう。

◆医学博士・ポジティブ心理学者・松村亜里さん

ニューヨークライフバランス研究所代表。各国で心理学講座を開催。最新のエビデンスを日常に取り入れやすい形で提供し、好評を博す。新著に『ハーバード・コロンビア大が証明する 幸せが増える習慣』(すばる舎)。

取材・文/佐藤有栄

※女性セブン2026年1月22日号

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