
「元気に長生きするには、筋肉、骨、血管、脳、腸の力を高めるべき」というのが、鎌田實さんが50年の医師人生で辿り着いた結論だ。そのためにおすすめなのが、医師・鎌田實さん考案の「かまた式長生き体操」。鎌田さんは「老後に必要なのは貯金より「貯筋」。がんばりすぎずに続けよう!」と。どうやるか、何に効くか、徹底解説する!
快便、快眠…1か月で体が変わる
喜寿を過ぎてなお、仕事に趣味のスキーにとパワフルな日々を送る医師の鎌田實さん。元気の秘訣は自ら考案した「かまた式長生き体操」にあるという。

「人生100年時代のいま、大切なのは自分の足で歩ける力をキープすること。貯めるべきはお金よりも筋肉です」(鎌田さん・以下同)
そう話す鎌田さんだが、自らも不調に悩んだ時期があった。60代半ばのことだ。多忙で不摂生が続き、体重は80㎏を超え、少し歩くだけで息切れ。高血圧気味で血糖値も高めだったという。
そこで一念発起。スクワットとランジ(下半身の筋肉を鍛えるエクササイズ)、幅広歩行などを3か月続け、検査値を改善。そのとき改めて、運動の大切さを実感したと振り返る。その後、自らの体験を踏まえ、健康運動指導士たちの協力のもと、効率的に体を鍛えられる「かまた式長生き体操」を考案した。
「この体操の特徴は、筋肉、骨、血管、脳、腸の力を高められることにあります。筋肉の衰えは心身の働きが弱まる原因になりますし、骨が弱ると骨折や骨粗しょう症を発症しかねません。血管がもろくなれば動脈硬化になりやすく、脳の衰えは認知機能を低下させます。そして腸の乱れはさまざまな病気を招く原因に。ですから健康長寿のためには、これらのどの力が欠けてもだめなのです」
男性に比べて筋肉量が少なく、骨粗しょう症になりやすい女性こそ毎日続けてほしいと鎌田さんは言う。
「朝、昼、夜の1日3回、各1分間、6種類の決まった体操をするだけですから、無理なく続けられると思います。年齢を重ね、筋肉量や骨密度が下がった状態でハードな運動をすると、かえって体に負担をかけ、トラブルの原因に。短時間の軽い運動でも毎日続ければ、約1か月で便通がよくなり、睡眠の質が向上するのを実感できると思います」
さっそく始めよう。
毎日続ければ100才まで元気!《朝・昼・夜各2種の体操》
「朝は体を目覚めさせ、昼は体を刺激、夜は体を整える体操になっています」(鎌田さん)。多忙でできないときは、できるときに回数を増やせばOK! 不調のときは無理せず、がんばりすぎず、臨機応変に続けよう。
朝の1分体操
※《》の中の筋は筋肉、骨は骨、血は血管、脳は脳、腸は腸の力を高める体操を表す。
《筋・血・腸》呼吸が深くなり、腸が目覚めて活性化する「体側伸ばし&腰ひねり」
【1】肺を膨らませるイメージで息を吸う

足を肩幅より広めに開いて立ち、つま先は少し外側に向くようにする。胸を張り、頭の上で両手をひねるようにして組んで大きく息を吸う。
【2】体側(体の側面)と足の内ももを伸ばす

ゆっくり息を吐きながら体を横に倒して、倒した側の足(右に倒したら右足)の内ももをしっかり伸ばす。息を吸いながら体を元の位置に戻す。反対側も同様に行う。
【3】背中を伸ばしてお腹をひねる

ゆっくり息を吐きながらお腹をひねる。勢いはつけず、下半身を動かさないように行う。「背中が丸まると効果が落ちるので注意」(鎌田さん・以下同)。息を吸いながら体を正面に戻し、反対側も同様に行う。1~3の動きを30秒続ける。
《筋・血・脳》体重が減って、お腹まわりもスッキリ「バンザイスクワット」
【1】バンザイのポーズで体を伸ばす

足を肩幅に開き、まっすぐ立って両手を上げたら大きく息を吸って準備。
「つま先を少し外側に向けると楽です」。
【2】背中が丸まらないようゆっくりひざを曲げる

息を吐きながら腕をゆっくり前に下ろすと同時に、お尻を突き出しながらひざを曲げる。
「背中が丸まらないように胸を張ること。つま先よりひざが前に出ないようにすると、ひざへの負担が軽減できます」。
【3】ひざの角度は90度を目指して曲げる

腕を背中側、腰の上あたりまで回す。このときのひざの角度は45度くらいで息は吐き切った状態。
「ひざの角度は少しずつ深くしていきましょう。90度くらいになると、血圧や血糖値が下がりやすい体に」。
ゆっくり息を吸いながら1の姿勢に戻る。【1】~【3】を6回、30秒を目安に行う。慣れてきたら回数を増やそう。目標は50回。
昼の1分体操
《筋・血・脳》下半身を鍛えつつ、脳も刺激する「脳トレランジ」
【1】胸の前で手を組んで立つ

足を肩幅に開き、つま先をやや外側に向けて立つ。胸の前で両手を組み、大きく息を吸って準備する。「ふらつく場合は壁に手を添えてもOK」。
【2】息を吐きながら右足を一歩後ろへ

息を吐きつつ右足を一歩後ろへ引き、左足のひざを直角になるまで曲げる。息を吐き切ったら、右足を元の位置に戻す。反対も同様に1〜4を行う(全部で30秒)。
【3】息を吸いながら元の状態に戻る

息を吸いながら右足を元の位置へ。「息を吸う・吐くに迷ったらどちらでもOK。大切なのは腹式呼吸を続けること」。
【4】息を吐きながら右足を一歩前へ

息を吐きながら右足を一歩前に出し、右ひざを直角になるまで曲げる。「つらい場合は45度くらいでもOK。ひざをつま先より前に出さないこと」。
《筋・骨・血・脳・腸》5か所のパワーがすべてアップする「足踏みツイスト」
【1】足を肩幅に開き大きく息を吸う

つま先をやや外側に向けてまっすぐ立ち、息を大きく吸う。
【2】足をできるだけ高く上げる

息を吐きながら頭の中で「1、2、3、4」と数えながら、右足、左足の順に足を高く上げる。足を下ろす際、かかとを床に打ち付けると骨を刺激できる。
【3】カウント5で体をひねる

「5」と数えて右足を上げるときに、体を右にひねって右ひざと左ひじを近づける。「ひじとひざはつけなくてもOK。この動作が腸活と脳活になります」。
【4】左足から順に同様に行う

今度は左足から。息を吐きながら頭の中で「1、2、3、4」と数えながら、左足、右足、左足、右足の順に足を高く上げる。
【5】カウント5で体をひねる

「5」と数えて左足を上げるときに、体を左にひねって左ひざと右ひじを近づける。【2】~【5】を3回(30秒)行う。
夜の1分体操
《筋・血・脳・腸》かたまった内臓がほぐれて、血流が改善「内臓ほぐし」
【1】ひざを90度曲げて四つん這いに

肩の真下に両手が、股関節の真下にひざがくるよう四つん這いになったら息を吸う。
【2】息を吐きながらゆっくり背中を丸める

目線は足の間へと向ける。腹筋を縮めて肩甲骨を左右に開くイメージで行う。
【3】息を大きく吸って背中を反らせる

腹筋を伸ばして肩甲骨を真ん中に寄せる。首を痛めるのであごを上げすぎないこと。
【4】両ひざを支点にお尻を左右に回す

体を【1】に戻し、呼吸をしながらお尻を左右交互に2回ずつ回す。【1】~【4】を30秒行う。
上から見るとこう!

ひざを曲げてお尻を落とすようにしながら左右に大きく振って回す。
《筋・骨・血・脳・腸》背中の筋肉がほぐれて、睡眠の質が向上「肩甲骨はがし」
【1】両こぶしを鎖骨に当てる


足は肩幅に開いてつま先を少し外側に向けてまっすぐ立つ。曲げた両ひじは、できるだけ、肩より高く上げるようにする。
【2】両こぶしを肩までスライドさせる

息を吸いながらゆっくりと腕を後ろへ引き、肩甲骨を寄せるようなイメージでこぶしを肩へとスライドさせる。
【3】息を吸いながらかかとを上げる

【2】の姿勢のまま、かかとを上げる。「ゆっくり呼吸しながら行うと副交感神経が刺激され、血流がよくなります」。
【4】腕、肩甲骨とともにかかとを下ろす

息を大きくひと息で吐き出し、腕と肩甲骨を一気に下ろす。同時にかかとも勢いよく落とす。【1】~【4】を全部で6回(30秒)行う。
【まだある元気の体操習慣】悩める症状にダイレクトにアプローチするならこの体操を!かまた式「カラダ改善体操」厳選4つ
多くの人が抱える体のトラブルを解消する体操にも挑戦しよう。「基本の『長生き体操』に加え、週に4~5回を目標に続けるのがおすすめです」(鎌田さん・以下同)。
便秘解消「3分間大腸マッサージ」

●温めながら行うとさらに効果的!
仰向けに寝るなどして、楽な姿勢をとり、親指以外の両手指の腹で、図の(1)~(5)の順に腹部を押す。気持ちいいと思うくらいの強さがポイント。便がとどまりやすい(4)は特にていねいに押すこと。これを3分ほど行う。温めながら行うと腸がより活性化するため、入浴中にやるのもよい(食後1時間は避ける)。
つまずき予防「足首回し」

●左右の足首を回してほぐす
椅子に座って左足を右ひざにのせたら、右手の指を左足の指の間に入れて組み、足首を回す。時計回り、反時計回りそれぞれ10回ずつ。右足も同様に。「出かける前に行うと転倒リスクが下がります」。足首まわりの筋肉がほぐれて血行がよくなるので、冷えやむくみの予防にも効果的。
冷え・むくみ対策「かかと上げ下げ体操」

●かかとの上げ下げを10セット
椅子に浅く腰かけ、ひざを直角に曲げたら、両足のかかとは床につけた状態でつま先をゆっくり上げる。次につま先で床を踏み込むように両足のかかとをゆっくり上げる。「足の甲から足首までをまっすぐにし、足裏が伸びていることを実感しましょう」。これを10回繰り返す。
頭痛改善「血流解放ストレッチ」

●胸鎖乳突筋(※)を伸ばしてゆるめる
左手を右の鎖骨あたりに当てる。頭を左方向に傾け、そのまま後ろに倒して10秒間キープ。「鎖骨が上がらないように手で押さえて、しっかり首筋を伸ばしましょう」。反対側も同様に行う。
※耳の後ろから鎖骨に向かって伸びる筋肉。
◆医師・鎌田 實さん
1948年、東京都生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、内科医として諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となって減塩運動などに尽力し、長野県を長寿地域へと導いた。主な著書は『医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生きかまた体操』(アスコム)など多数。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2026年2月12日号