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《アンミカとの対談で本音炸裂》ジェーン・スーがプロレスの”推し活”語る「人間って一生懸命になるのをこんなに剝き出しにしてもいいんだと衝撃受けた」

ジェーン・スーさんとアンミカさん
ジェーン・スーさんとアンミカさん(撮影/田中智久)
写真3枚

モデル・俳優のアンミカさんが「ずっと会いたかった人」をゲストに招き、軽やかに奥深く人生を語らう連載「アンミカのカラフル幸福論」(女性セブン掲載)。今回は、3人目のゲストとなる、コラムニスト・ラジオパーソナリティのジェーン・スーさんと対談。同世代トークが炸裂した前編では、「夢がなくても人生は開ける」と肩の力を抜いて生きるヒントを語ったジェーン・スーさん。後編では、50代になって夢中になった「推し活」や父親の介護について語りながら、人生を無理なく充実させる考え方を教えてくれます。

自分が得意なことって意外と自分じゃよくわからない

アンミカ:スーさんがお書きになるエッセイは、等身大の話題を絶妙な表現で言語化してくれます。年を重ねるにつれて感じる不安や悩み、時に開き直りと、ご自身の経験をもとにリアルな視点で書かれるから、共感を覚える女性は私を含めてとっても多いですよね。

スー:そんなふうにほめていただいて、ありがとうございます。

アンミカ:鋭い視点や、ユーモアを交えた分析は、お母さまが映画雑誌の編集者をやられていたことの影響が少なからずあるのかしら。文章を書くことへの「原点」になにか心当たりはありますか?

スー:どうなんでしょう。子供の頃から本をたくさん読んできたんですか?と、よく聞かれるんですが、私、本をまったく読まない子供だったんですよ。

アンミカ:それは意外! じゃあ書く方はどうでしょう? 小中高生で何か書いていたりとかは?

スー:まったく書いていませんでした。自分が得意なことが、いつ、どうして得意になったのかということは、自分ではわからないと思っています。長嶋茂雄さんの野球に対する感覚と同じで、「バーンッて来てブワッとしたらヒュイッと打つんだよ」みたいな。自分がどうしてそれを得意とするようになったかは理論で説明できることじゃない。むしろ、やっているうちに「得意」が後づけされていくような気がします。

アンミカ:確かに、インタビューなどで自分自身についていろいろ聞かれて、答えを探そうとするけど、それって結局こじつけているだけで真実ではないんじゃないかなと思うことがあります。自分が得意なことって意外と自分じゃよくわからないものですね。

スー:アンミカさんを見ていると、“絶対に周りの人を楽しませたい”という強い思いの裏でされている相当な努力を感じるんです。それを損得勘定なくできることが素敵だと思うんですが、「どうしたらそうなれるんですか?」と聞かれても、理由を説明することってきっと難しいと思う。

アンミカ:そうですね。こじつけようとしたら、いくつもエピソードを披露できますけど(笑い)。

スー:少し話がずれてしまって申し訳ないですが、アンミカさんと話しているときと似ている感覚になる共通の知人を思い出しました。

アンミカ:もしかして…。

スー:はい、田中みな実です。彼女はもう、サービスがかなり過剰なんですが(笑い)。でも本当にそれをやりたくてやっているだけ。

アンミカ:彼女の魂が喜んでいるのがとっても見えますよね。

スー:そこに損得勘定がないから、表現やもてなしが過度でも嫌な感じが一切ない。2人に共通する「得意」だと思います。

たいていの悩みや風呂が解決してくれる

アンミカ:スーさんは、常に少し遠目から物事を俯瞰して見ていらっしゃる印象があるのですが、情熱に突き動かされたり興奮されたりすることはありますか。

スー:プロレスにドハマり中です。こんなに夢中になったのは生まれて初めて。かつてヨン様に50代の人たちが熱狂したように、情熱に突き動かされて物事に熱狂するのはやっぱりこの年齢なんだな、と実感しながらアクセル全開です。

アンミカ:プロレスにハマるきっかけは何かあったんですか。

スー:「ガンバレ☆プロレス」という小規模なプロレス団体との出会いがきっかけです。それまでプロレスって体が大きくて運動神経のいい、選ばれし強い人たちがやるものだという先入観がありました。でも全然違ったんです。われわれと同じように、仕事や学校へ通いながらトレーニングをしてリングへ上がる選手たちがいる。その生き様に、人間って一生懸命になるのをこんなに剝き出しにしてもいいんだと、衝撃を受けてドハマりです。

ジェーン・スー
ジェーン・スー(撮影/田中智久)
写真3枚

アンミカ:私もきょうだいの影響もあってプロレスが好きなんです。ただ負かすのではなく、お互いを引き立て合う総合芸術ですし、興行もあの手この手で趣向を凝らして楽しませてくれて。

スー:そうなんですよ。単に強さを競って誇るのではなく、リングの上で自分をどう表現しているかに懸けている。それを見るのが楽しくてしょうがないんです。会場へ行くと仕事のスイッチがオフになって、ウワーッとストレスを発散してスッキリして。会場を出ると、仕事のスイッチがバチンッとオンになる。それがだいたい2時間半でできちゃう。プロレスは私の生活の調整弁であり、整いになっています。

アンミカ:推し活は絶好の気分転換ですよね。熱狂するのとは逆に、心を静かに落ち着かせられる場所はありますか。

スー:子供の頃からお風呂です。あったかい湯船につかると、疲れもネガティブな思いも汗と一緒に流れ出てくれる気がして。よく人にも、うまくいかなくて落ち込んだらまずお風呂に入れって言うんです。いい香りのオイルでも、塩でも、酒でも、なんか入れてつかれば気分がアガるから。お風呂がだいたいの悩みを解決しますよ。

アンミカ:気持ちのスイッチを切り替えたり、洗い流すのにいいですよね。「今の心」と書いて「念」と読みますが、私たちは人とともに生きていくなかで、たくさんの感情=念が交錯する環境に身を置いています。誰かに妙に好かれることもあれば、知らずに誰かを傷つけて悪意を向けられたりもする。そうした目に見えない澱は、お風呂が流してくれますよね。

スー:アンミカさんは、テレビにラジオに講演やモデル活動など、いま日本でいちばんなんじゃないかというくらい人前に出てお仕事をされているから、なおさらでしょうね。思うに、不特定多数の人の念を感じやすいのは、芸能人というお仕事が「人」と「商品」の間にあるからだと思うんです。

アンミカ:強く共感します。

スー:かくいう私もレコード会社でアーティストを売り込む仕事をしていたので、人を商品として扱った“前科”があるんですよ。そのときはわからなかったけど、人から見られる仕事をするようになって、ぶしつけな目線や感情を向けられたり、日常を詮索されることで自分が「商品」になっていると感じることが増えました。いろいろな人の念がどんどんたまってしまいます。

アンミカ:有名税という一言で片づけられがちですが、誰かに見られている意識は常にありますよね。

スー:はい。電車にすっぴんで乗りたいとかあるじゃないですか。匿名性がいちばん買い戻せない価値だと思っているので、本名で活動してなくてよかったなと。ただ、いまの髪形にしてからは「バレたくない人の髪形じゃないよ」って周りに言われています。

アンミカ 本当にそう!(笑い)

スー:でも詮索とか他人の目って、芸能人や著名人だけじゃなくて、どの世界にもあります。ママ友の世界でも「あのママがすごく干渉してくる」「マウントをとってくる」なんて悩みは誰しも共通なんでしょうね。だからまずお風呂ですよ。お風呂に入ればだいたい解決します。

思い詰める介護はNO!リモート介護で軽やかに

アンミカ:ラジオ番組『生活は踊る』(TBSラジオ)の相談コーナーなどを通じて、たくさんのかたの悩みを受け止めてきたスーさんですが、ご自身の苦しかった時期となると、いつでしょうか。

スー:母の死を経験したときですね。私は一人っ子で、母が41才で産んだ子供なので当時で考えるとかなり遅く生まれたんですよ。母は私が23才のときに、64才で亡くなってしまって。

アンミカ:それは早いお別れでしたね…。

スー:父がまず病気になって、ほどなくして父の看病をしている母が倒れて、ふたり同時に別々の病院に入院することになりました。

アンミカ:それは精神的にも物理的にもつらいですね。

スー:半年間の介護休職を取りましたけど、しんどかったですね。ふたを開けてみたら父より母の方が病状が悪く、すい臓がんでした。1年半の闘病生活を送ったのちに母が亡くなったときには、私の人生どうなっちゃうの?という不安がありました。

アンミカさん
アンミカさん(撮影/田中智久)
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アンミカ:まだ社会に出たばっかりですもんね。神様は時に残酷ですし、本当に予想もしないことが起こるのが人生ですね。意味があるとしたら、ご自身の経験をいまたくさんのかたに伝えることかもしれません。スーさんとお父さまの「リモート介護」も介護疲れで苦しまれているかたの光になると思っています。介護はそばにずっと居て献身的にしなければ、と思い詰めてしまいがちだから。

スー:女性として社会に育てられたことで、「早めにこれやった方がいいよ」とか「今日はここに行く日だよ」とか先回りして気がつきがちなんですよね。その感覚を介護に持ち込みすぎないために、アウトソーシングがものすごく大事です。

アンミカ:具体的にはどういうことをされているんですか?

スー:AIアシスタントやスマホアプリを駆使して、父との接点を減らしています。結局、心配して父に連絡をしてしまうことがけんかの発端になるわけですから。

アンミカ:心配だからけんかをするというのはわかる気がします。

スー:AI搭載のスマートスピーカーを使って、父の予定を事前に入れておくと、毎朝父が起きると今日の予定を父に教えてくれる設定にしています。それだけで「今日ヘルパーさんが来るって言ってたのに来ないじゃないか」というけんかがなくなる! 仮に忘れても、スピーカーに聞けば、「16時にヘルパーさんが来る予定が入っていますよ」と、私より優しく父に教えてくれるんです(笑い)。

通院でタクシーを使う際も、スマホの配車アプリがおすすめです。私のスマホで父がいつどこで乗って降りたかがわかるし、会計はスマホ決済だから車内では不要。これで、「ちゃんと病院行った?」「会計できた?」というけんかがなくなる。リモート介護万歳ですよ。

アンミカ:そばに居られないという罪悪感を手放すことが大事ですね。自分で全部やらないと、非情なんじゃないかと悩むかたが多いと思います。

スー:経済的な状況と相談しつつ、ヘルパーさんにお願いをするなどして、お互いの依存度を低くしていくように心がけていきましょう。

「私たち、風神と雷神の対談みたいになってきましたね」「スーさんのパワフルなエネルギーが心地いいです!」

アンミカ:50代というのは介護含めて、立ち止まりそうになる年代でもあると思います。年を重ねて一歩目の動きが鈍くなってしまうかたへの、スーさんからのアドバイスをください!

スー:“どうせ私なんか”と、断ったり諦めたりして自分で可能性を潰すと、すごく損をすると心にとどめておいてほしいです。

アンミカ:どうせ、と身を引くのはもったいない。

スー:自分を信じられるようになるためにも、何度も失敗することは大事だと思います。そして失敗ではなく、立ち上がったことにスポットを当てる。落胆してしわくちゃになっちゃった気持ちを“でも私は立ち上がった”と上書きしていく。

アンミカ:失敗すると人の痛みもわかって、素直に人をほめられるようになるし、卑屈にもならない。さらに前に一歩踏み出す勇気を持てます。未来を変えるためには、自分から行動しないと!

スー:私たち、ちょっと圧が強いな(笑い)。風神と雷神の対談みたいになってきましたね。今日までお会いする機会がなかったのも、50代じゃないとエネルギー調整ができなかったからかもしれない。

アンミカ:でもそのパワフルなエネルギーが心地よく、スーさんの考え方がたくさん胸に響きました。

スー:こちらこそです。ここまで頑張ってきましたよね、私たち。

アンミカ:頑張ってきました。この先も頑張っていきましょう!

ジェーン・スーさんのHLLSPD

ジェーン・スーさんに、Happy、Lucky、Love、Smile、Peace、Dreamについて答えてもらいました。今回はSmile、Peace、Dreamについて直撃!

Smile:あなたを笑顔にする宝物は?

香水を少しずつ集めています。

Peace:心が穏やかになる趣味や場所は?

子供の頃から、ずっとお風呂。

Dream:子供の頃の夢や、これからの目標は?

小さな頃から、夢やなりたいものがほとんどない子供でした。いまもありません。

モデル・俳優・アン ミカ

アンミカ/1972年生まれ。1993年パリコレ初参加。モデル業以外にもテレビ・ラジオMC、俳優、歌手、テレビCM出演と多彩に活躍。「日本化粧品検定1級」など20個以上の資格を生かし、化粧品、洋服、ジュエリーなどをプロデュース。

コラムニスト・ラジオパーソナリティ・ジェーン・スー

ジェーン・スー/1973年生まれ。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』やTBSポッドキャスト『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』などのパーソナリティを務める。『介護未満の父に起きたこと』(新潮社)、『ねえ、ろうそく多すぎて誕生日ケーキ燃えてるんだけど』(光文社)など著書多数。

 構成:渡部美也 衣装:ファージレ/ラクア タイ付きブラウス/ヴィゴロ ピアス/グロッセ・ジャパン(アンミカさん)、カーディガン、パンツ/ともにDoCLASSE それ以外はスタイリスト私物(ジェーン・スーさん)

※女性セブン2026年3月5日号