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《内側から肌を育てる”肌育”》洗顔・入浴・スキンケア・美容注入…「自然な美しさ」をコツコツ育む方法を美の賢者が伝授

内側から肌を育てる「肌育」とは?(写真/PIXTA)
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健康寿命が延びる昨今、せっかくなら健康であるだけでなく、若々しくいたいもの。でも、目元の小じわやほうれい線、たるみやくすみに開いた毛穴…加齢とともに肌の悩みは増すばかり。化粧や美容医療で外側をカバーするのもいいが、いまのトレンドは内側から肌を育てる「肌育」。子育て、孫育てよりも肌育て、始めませんか?

ターンオーバーは年齢+28日

年齢とともに加速していく体の衰え。体力の低下から、関節の痛みとともに切実なのが、鏡を見るたびに痛感するしわやたるみ、くすみといった肌の悩みだ。あきこクリニック院長の田中亜希子さんが肌の老化について、こう指摘する。

「加齢によって、体には萎縮、下垂、拘縮(関節などのこわばり)という3つの変化が同時に起きてきます。皮膚では20代後半をピークに肌のハリや弾力を保つコラーゲンと、コラーゲンを支えるエラスチンが年々減少していき、萎縮や下垂、いわゆるしわやたるみを招きます。また、更年期以降は女性ホルモンの減少によって、コラーゲンが作られにくくなってしまいます」

肌の細胞は「28日で生まれ変わる(ターンオーバー)」とされる。しかし「このサイクルは20代の話で、30代以降は“年齢プラス28日”くらいかかります」と田中さんは続ける。

「年齢とともに新陳代謝が低下し、いつまでも古い角質が表面に残ってしまうようになる。それによって皮膚のバリア機能や保水力が低下していきます」

そもそも皮膚は、乾燥や紫外線などの外部刺激から守る表皮、ハリや弾力を保つとともに表皮への栄養供給の役目もする真皮、そして皮下組織という3つの層からできている。表皮は厚さ約0.1~0.3㎜。真皮はその約10倍の約1~3mmの厚さがあり、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などを作り出す線維芽細胞で構成されている。

ターンオーバーで生まれ変わるのは表皮のみ。そこで近年注目されるのが、肌の表面ではなく、真皮や皮下組織といった深層にアプローチし、肌を根本から再生させて、長期的に若々しくいられる肌を育てる「肌育」だ。

肌の表面だけでなく真皮層までケアしよう
肌の表面だけでなく真皮層までケアしよう
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真冬でも水で洗顔

美容家や美容医療の専門医も注目し、推奨する「肌育」とはどのようなものか。

「化粧でしわやシミを隠したり、美容成分を補うスキンケアではなく、肌の土台から健康的な美しさを再構築するものです。保湿やUVケア、食事や運動習慣によって肌の内部、体の内側から肌本来の力を高めます」(田中さん・以下同)

まず日常で意識したいのは「洗顔」だ。

「肌を育てるためには、汚れを落とすことと同じくらい、肌に必要な皮脂を残すことが大切。そのためには体温よりも高いお湯で洗うのは、必要以上に皮脂を取り除くのでNGです。体温以下であればよいのですが、私は真冬でも水派。“水だと落ちない”と思っている人も多いですが、水でもちゃんと落ちますよ。

また、肌をこすってしまうと肌の再生機能やバリア機能が失われてしまうため絶対にやめてください。洗顔料をしっかり泡立てて、皮膚を動かさないようにやさしく洗うことを心がけましょう。洗顔料は成分よりも、とにかく泡。泡立てが苦手な人は、最初から泡で出てくる“泡タイプ”がおすすめです」

湯船につかることも肌を育てるためには欠かせない。

入浴
湯船につかることも肌を育てるためには欠かせない(写真/PIXTA)
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「シャワーだけでは、体を温めることができません。しっかりつかることで発汗を促し、発汗することで皮脂膜ができて、水分の蒸発を防ぐことができます」

これからの季節、どんどん強くなる紫外線は肌育の大敵。適切なケアをしたい。渋谷あおぞらクリニック美容外科・美容皮膚科院長の鶴田優希さんが言う。

「紫外線には皮膚の真皮層まで到達するA波(UV―A)と、肌表面の細胞を傷つけるB波(UV―B)の2種類があります。UV―Aはコラーゲンやヒアルロン酸を産生する細胞を破壊し、UV―Bはシミの原因になるなど、いずれも肌を老化させます。紫外線は春から夏にかけてピークを迎えますが、年間を通して降り注いでいるので常にケアを怠ってはいけません」

うっかり日焼けをしてしまったら、いつも以上に洗顔やスキンケアには気を配る必要がある。

「日焼けはやけどと同じで、肌に炎症が生じているので、適切にケアしないと肌トラブルが起こります。いつも以上に摩擦を避けることを心がけ、肌に刺激を与えるものは使わないようにしましょう。日焼けした肌は乾燥しているので、保湿はより丁寧に。時間をかけてパッティングすることも肌への刺激となって逆効果です」(鶴田さん)

保湿のしすぎは乾燥肌を加速

肌育の注目度が高まるとともに、スキンケアでも肌の奥まで美容成分が届くアイテムが人気だ。洗顔料や化粧水、美容液、クリームを選ぶ場合にはヒアルロン酸、セラミド、レチノール、ナイアシンアミドといった、真皮に働きかけ、肌再生をサポートする成分をチェックしよう。一方で、肌のためによかれと思って使っている基礎化粧品も、間違えると逆効果になりかねないと田中さんは指摘する。

規則正しい生活をすることも重要(写真/PIXTA)
保湿のしすぎは要注意。「もちっ」とした肌の質感を意識(写真/PIXTA)
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「保湿のしすぎで肌のバリア機能が失われている人が少なくありません。保湿で重要なのは適切な成分が入ったものを適量使用し、余分な皮脂を抑えること。

化粧水はグリコール酸が入っていると、余分な皮脂を取り、次に入れる成分の入りをよくします。そしてクリームは少なめに。顔にたくさんのスキンケア成分を入れ込んでやりすぎないようにしましょう。本当に状態のよい肌というのは、自ら潤える肌なんです」(田中さん・以下同)

洗顔やケア同様、日焼け後に使用する成分も普段と違った目線を取り入れよう。

「日焼け後のケアは、ビタミンが含まれるものを使うのもおすすめです。抗酸化作用があり、肌の修復、再生を助けてくれます」

ビタミンは食事から摂取することも忘れずにいたい。肌に潤いをもたらすビタミンA、ターンオーバーを促すビタミンB群、抗酸化作用のあるビタミンEなど食品によって摂れるビタミンの種類は異なるが、満遍なく摂るようにしたい。ビタミンだけでなく、ミネラルやたんぱく質も肌には必須の栄養素。腸活や充分な睡眠、適度な運動で体の内側から整えることも肌育に必要な習慣だ。

注入治療は土壌への栄養

いまや美容医療は私たちにとって“身近な美容法”のひとつとなったが、肌育で見逃せないのが注入治療。銀座リシェスクリニック院長で美容皮膚外科医・外科医の平岡美樹子さんが言う。

肌育で見逃せないのが注入治療
肌育で見逃せないのが注入治療(写真/PIXTA)
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「これまでのメイン治療はレーザー治療やピーリングなど、あくまでも皮膚の表面に対する方法でした。加齢とともに表皮細胞が減ってバリア機能が失われ、メラニンが沈着してシミも増えてくるので、もちろん表皮への治療も有効です。

一方で、より大切なのが、土台になる真皮を元気にすることです。イメージでいうと、畑に肥料をまいてあげて、土壌を豊かに育てていく。それが注入治療です」

例えば線維芽細胞の働きを活性化させる薬剤を真皮に注入すると、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった肌を作る内部環境が整う。田中さんが言う。

「肌育注射は『スキンブースター』ともいわれています。それは線維芽細胞を活性化し、肌自身が再生する能力をブースト(加速)させるから。

最近では、肌が悪い状態でレーザーや糸リフトなどをするよりも、まず先に肌育をしてからという考え方に重きが置かれています」

そんな肌育注射は、さまざまな種類が登場している。鶴田さんがすすめるのは「プロファイロ」だ。

「非架橋(分子同士が化学結合されていない)のヒアルロン酸が主成分で、皮膚浅層に注射することで、コラーゲンやエラスチンの生成を促進。ボリュームを足しながら肌をきれいにしていく効果があります。年齢とともに肌がたるむことに加え、やせこけるせいで老けて見える人も多いので、肌のツヤを出しつつ、少しふっくらさせていくイメージです」

非架橋のヒアルロン酸は従来のヒアルロン酸に比べてさらりとしたテクスチャーで拡散性が高いとされる。皮膚の深いところから、肌そのものを再生させ、より自然な形での効果が期待できる。続いて鶴田さんが推すのは、「プルリアルデンシファイ」。目の周りの細かいしわや乾燥小じわ、毛穴の開きなどの解消に役立つとされる。

「サケ科魚類のDNAから抽出・精製された高分子化合物・ポリヌクレオチド(PN)に、保水力が高い非架橋のヒアルロン酸を加えたものです。ポリヌクレオチドは線維芽細胞を刺激し、コラーゲンやヒアルロン酸などの生成を促します」(鶴田さん)

田中さんが挙げるのは、非架橋のヒアルロン酸とポリヌクレオチドを主成分とする韓国RFBio社の「ユースフィルPN+」だ。

「ポリヌクレオチドが入っている製剤としては『リジュラン』が最も有名ですが、ユースフィルPN+はリジュランに比べて、ヒアルロン酸濃度もポリヌクレオチド濃度も高い。さらにリジュラン注射は痛いのが難点ですが、ユースフィルPN+には痛みを軽減するリドカインという成分が含まれています」(田中さん)

一方、平岡さんが推奨するのは「ジュベルック」という「ポリ乳酸」を使った製剤の肌育注射。

「ポリ乳酸は〝溶ける糸〟に使われている成分で、皮膚の線維芽細胞を刺激してコラーゲンの産生を促進。皮膚のハリ、毛穴の縮小、赤みの改善といった効果を生み出します。もともと韓国の製剤ですが、アメリカのFDA(食品医薬品局)の承認も取得しています」(平岡さん)

肌育注射は「肌の再生力を向上させる」美容法とされており即効性はないが、着実に肌が変わることを目的としている。

「ボトックスや従来のヒアルロン酸注射のように、1回の注射で見た目に大きな変化が起こるわけではありません。ですが、繰り返していくことで確実に肌の状態をよくしていくことが可能となります。

クリニックを選ぶなら、施術前にこうしたメリットやデメリットを丁寧に説明してくれる医師がいることが大前提です。そのうえで、なるべく経験が豊富な医師を選ぶこと。質問にきちんと答えてくれることも重要です」(鶴田さん)

若々しくて元気な肌を土台からつくる――そんな肌育を目指したい。

美のプロがおすすめする肌育注射
美のプロがおすすめする肌育注射
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※女性セブン2026年3月5日号