《女性の糖尿病》年齢を重ねるほど罹患率アップ 閉経が近づくとエストロゲン分泌量が低下し、血糖値が上昇しやすくなる 「目」「腎臓」「神経」への三大合併症の恐ろしさ

自分は太っていないから糖尿病とは無縁……そう思っている人は多いのではないだろうか。実は日本人は「やせているのに糖尿病」である人が少なくない。また、40代になると女性は糖尿病になるリスクが急増するという事実もある。気づいたら深刻な糖尿病になっていた──そのようなことがないよう、ひっそりと体を蝕む糖尿病について理解し、きちんとした予防をしよう。【前後編の前編】
生活習慣病のひとつで、罹患者の増加から「現代の国民病」ともいわれる糖尿病。放置しているとさまざまな合併症を引き起こし、失明や腎不全による人工透析、足の切断など深刻な状況を招く恐ろしい病気だ。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2024年)の推計によると、「糖尿病が強く疑われる者」は約1100万人、「糖尿病の可能性を否定できない者」も約700万人。実に「6人に1人」が患者か“予備群”ということになる。
都内在住のAさん(51才)が嘆く。
「毎食後、特に昼食の後、仕事に集中できないほどの眠気やだるさに襲われるようになりました。怖くなり病院で採血した結果、血糖値が高めで糖尿病予備群だと判明しました。
特に太っているわけでも、甘い物をたくさん食べているわけでもないので病名を聞き、驚きましした」
糖尿病には「男性の病気」のイメージがあるが、実際には女性の糖尿病患者も多い。しかも、女性患者の6割ほどを占めるのは40代以上で、年齢を重ねるほどに女性の糖尿病罹患率はあがっていく。岡本内科クリニック院長で、『女性なら知っておきたい“女性の糖尿病”』の著者である糖尿病専門医の岡本亜紀さんが更年期世代の女性に警鐘を鳴らす。

「女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、血糖値を調整するインスリンの働きをサポートする役割を担っています。月経がある間はしっかり分泌されるため、血糖値があがりにくく、糖尿病リスクは低い。ところが40代以降、閉経が近づくにつれエストロゲンの分泌量の低下に伴い、血糖値があがりやすくなり、閉経後には糖尿病になるリスクがぐっとあがってしまうのです」(岡本さん)
糖尿病とは、インスリンの働きが低下し、血糖値(血液中のブドウ糖の量)が通常よりも高い状態が続く疾患を指す。
通常、食事やおやつ、飲み物などから糖分を摂取し、血液中のブドウ糖の量が増えると、すい臓からインスリンが分泌されて、それを細胞に取り込むことで血糖値の上昇を抑えている。
ところが糖分を摂りすぎるとインスリンの分泌が追いつかなくなって、血糖値が上昇。それを下げるためにすい臓がインスリンの分泌を続けていると、やがて充分に分泌できなくなったり、働きが悪くなったりする。こうして血糖値が高い状態が続いてしまうのが糖尿病だ。
糖尿病の怖さは深刻な合併症
四谷内科・内視鏡クリニック医師で糖尿病専門医の高木知子さんが言う。
「健康診断の検査では、過去1〜2か月間の血糖の平均値を示すヘモグロビンA1c(HbA1c)と血糖値を確認します。一般的には6.5%以上、空腹時の血糖値が126mg/dL以上が糖尿病の目安とされています。血糖値が高い状態が続くと、血管がもろく、傷つきやすくなり、全身にさまざまな合併症を引き起こします」
高木さんがこう指摘する通り、糖尿病の恐ろしさは深刻な合併症を招くところにもある。
eatLIFEクリニック院長で糖尿病専門医の市原由美江さんが続ける。
「高血糖は体の至る所にさまざまなダメージを与えます。“三大合併症”といわれるのが、目、腎臓、神経です。まずは目について、網膜の毛細血管が傷つくことで視力が低下し、最終的には失明に至る『糖尿病網膜症』を引き起こします。血液をろ過する腎臓の糸球体という毛細血管のかたまりが傷ついて腎機能が低下し、腎不全となるのが『糖尿病性腎症』。そして末梢神経がダメージを受け手足にしびれや痛みが生じる『糖尿病性神経障害』です」
腎症では人工透析が必要な状態になり、神経障害では足が壊疽(えそ)して切断を余儀なくされるケースもある。また、血管に慢性的な炎症を引き起こし、動脈硬化の進行を早め、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高める。
(後編に続く)
※女性セブン2026年3月12日号