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《脳年齢の最新研究》”32才から66才”は大人モードの安定期 伸びる機能と落ちる機能が混在 語彙力は67才まで向上、集中力は43才、共感力は48〜49才から下落 

人間の脳には4つの重要なターニングポイントがある(写真/イメージマート)
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 人間の脳には4つの大きな転換点がある──そんな衝撃的な研究結果を英ケンブリッジ大学が発表した。昨年11月、学術誌『Nature Communications』に掲載された論文によると、人間の脳には生涯を通じて「幼少期」「思春期」「安定した成人期」「前期老化」「後期老化」という5つの段階があり、そこには「9才」「32才」「66才」「83才」という4つの重要なターニングポイントがあるという。0才から32才までの脳について紹介した第1回につづき、第2回では32才以降について解説する。【全4回の第2回。第1回から読む】 

32才から66才は低下する「やる気」を取り戻すことが肝要 

 脳にとって「最大の転換点」とされるのが32才。ここから66才にかけて「安定した成人期」が訪れる。『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』の著者で、脳科学者の西剛志さんが指摘する。 

「32才から66才にかけて神経回路の効率化が落ち着き、脳は急激な成長から“大人モード”と呼ばれる安定期に移行します、この時期、脳内では落ちる機能と伸びる機能が混在します。 

 例えば語彙力は67才まで伸び続けますが、集中力は43才くらい、共感力は48〜49才まで伸びてから次第に落ちていきます」(西さん・以下同) 

 長い目で見ると、32才は下り坂に向かう曲がり角にもなる。長い時間をかけて認知機能が徐々に衰えるこの時期、脳の老化に備えて諸々の準備を始めたい。 

 西さんがもっとも大切であると強調するのは「ストレスを減らすこと」だ。 

「認知症の根幹的なリスク要因はストレスです。ストレス度が高いと緊張状態になり、血圧が上がって脳内に小さな血栓ができます。この“隠れ脳梗塞”が壊死してどんどんたまると認知症になりやすいので、まずは良質な睡眠と適度な運動でストレスを減らすことが大切です」 

 32才から66才は仕事でもプライベートでも人生の中核となるライフイベントが続き、心身ともに大きく揺れ動き疲弊しがち。できる限り規則正しい生活を心がけてストレスを軽減したい。 

人間の脳は5つのステージに分かれている
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 金町駅前脳神経内科院長で脳神経内科医の内野勝行さんは、趣味を持つのが大事とアドバイスする。 

「若いうちはなかなか忙しいでしょうが、夢中になって集中できることや現実逃避できることを見つけておくべきです。心身を落ち着かせるには瞑想がおすすめですが、ひとりカラオケもいいでしょう。老後に備えてリアルの人間関係を作っておくことも大切です」 

「日記」をつけて頭をリフレッシュすることも有効だと内野さんが続ける。 

「人間は生き延びるために記憶を利用して危険を乗り越えようとするので、過去に生じたネガティブな思い出をなかなか忘れられずストレスが生じます。有効なのは、嫌な記憶を日記に書きだして忘れる習慣をつけること。これが成功すれば、嫌なことをアウトプットして空いた脳の領域に、新しい記憶をインプットできます。年齢を重ねると記憶力が弱まって覚えられることに限りが生じるので、日記に書いて記憶を消去する方法がおすすめです」 

 記憶力とともに低下していく「やる気」を取り戻すことも肝要だ。 

「年齢を重ねるとやる気を生む神経伝達物質のドーパミンの分泌量が減ります。すると認知機能が低下して老化が進んでしまう。これを防ぐには、新しいことに興味を持つことが必要です。外食ではたまに違うものを頼む、スマホを買い替える、ファッションやメイクに気を使うなどの心がけが求められます」(西さん) 

(第3回に続く) 

※女性セブン2026年3月19日号