
「大きな声が出しづらい」「声がかすれる」「言葉が聞き取りにくいと言われる」―これらは声の老化のサイン。加齢で足腰の筋肉が衰え、肌に弾力がなくなるように、声も老いるのだ。とはいえ、ちょっとした習慣を意識したり、トレーニングをしたりするだけで、何才からでもハリのある声はキープできるという。そこで、ボイストレーナーが伝授する1日5分のボイストレーニングにトライしてみよう。
ボイストレーニングで声も体も健康に!
「口(舌)や声帯、胸の周りにある呼吸筋などは何才からでも鍛えられます。その方法は簡単。私が主宰するボイストレーニングのサークルには、姿勢を正して、体を楽器のようにして声を響かせるという感覚を意識するだけで美しい声に変化したシニア女性もいます」
とは、ボイストレーナーの川島ゆみさん(「」内、以下同)。声を出すには、のど周辺の筋肉や呼吸をするための筋肉が必要なので、そのあたりの筋肉をつけることで、健康になったという声もあるという。
「のどや横隔膜などが鍛えられることで、声や飲み込む力を支える筋肉がしっかり働くようになります。高齢になると誤嚥性肺炎のリスクが高まりますが、私が紹介するトレーニングなら、その予防も期待できます」(川島さん・以下同)
トレーニングは3ステップで1日5分。健康のためにも続けよう。
【ボイストレーナーが伝授】1日5分!簡単ボイストレーニング
3ステップで口やのどが効率よく鍛えられ、若々しい声に!
多くのシニアの声の悩みに寄り添ってきた川島さんが、自宅でできる簡単な鍛え方を教えてくれた。
《ステップ1》体をほぐして姿勢を整える
体がこわばっていると筋肉を動かしづらいので、まずは緊張を解くことが大切。
【1】両腕を真上に伸ばしバンザイのポーズ

肩幅に足を広げて立つ。鼻から息を吸いながら両腕を上げ、両腕を横に広げつつ口から息を吐く。これを2回繰り返す。
【2】首を左右に伸ばす

肩の力を抜き、右手を左の側頭部に添えて右に頭を倒して首の筋肉を伸ばす。反対側も同様に。各10秒ずつ×2回。
【3】首を大きく回す

首を前に倒してから時計回りに大きくゆっくり回したら、次は反時計回りにゆっくり回す。これを2回繰り返す。
《ステップ2》呼吸筋を動かすストレッチ
息を「吐く」「吸う」をしっかりと意識し、横隔膜などの呼吸筋を鍛える。
【1】口から息を吸い口から息を3回吐く

口を大きく開けて息を吸ったら、口から息を「ハッ、ハッ、ハッ」と言いながら3回吐く。
【2】口から息を3回吸う

【1】と同じリズムで、口から大きく息を「ハッ、ハッ、ハッ」と3回吸う。
【3】口から息を7回吐く
【1】【2】と同じリズムで、「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」と口から息を7回吐く。【1】~【3】を約3分繰り返す。
《ステップ3》声帯や舌のストレッチ
この中から好きなストレッチを1つ選び、1分間を目安に行おう。
「ハミング&リップロール」
【1】鼻から「ん~」と声を出す

口を閉じ、鼻から息を吸ったら、鼻から「ん~」と声を出してハミング。
「のどに力を入れないようにして、口の奥と鼻に振動を感じてください」
【2】口を閉じたままくちびるを震わせる

くちびるを軽く閉じて「ブルルル~」と震わせる。「口角をしっかり上げましょう」。
《ワンポイントアドバイス》
リップロールができないなら口角を押さえる
【2】のリップロールができない人は、指で口角を押さえて上げ、アヒル口のようにするとやりやすい。
「ホッホッホ体操」
【1】ほうれい線に手を添える
ほうれい線に沿って両手を添える。
「『ヤッホー』と叫ぶときのような手の形にしてください」。
【2】「ホッ、ホッ、ホッ」と3回声を出す
口をすぼめつつもできるだけ縦に大きく開け、「ホッ、ホッ、ホッ」と声を出す。

「アニマルボイス」
動物の鳴き声に近いリアルな声を出す。
猫や犬の怒りの鳴き声などを真似て発声する。
「動物の声を真似るように行う声帯のストレッチです。のどを鳴らす感じで、リアルな鳴き声を表現しましょう。ただし声帯に少し負担がかかるので1分程度にして、やりすぎないこと」

「らりるれらりるれろ体操」
【1】ほほ骨の下に握りこぶしを当てる
グーにしたこぶしのとがった部分(指の関節)をほほ骨の下にくるように当てたら、ほほ骨を支えるように力を入れる。
【2】口を大きく開いて発声を繰り返す
大きく口を開けて「らりるれらりるれろ」と続けて発声。
「ほほを上げ、表情筋を引き上げることで口腔内が広がり、通る声が出しやすくなることを実感できると思います」

「アエアエ体操」
【1】舌の先を下の前歯の裏に当てる
「きれいな声を出すには、滑らかな舌の動きも大切」
少し上を向き、舌の先を下の前歯の裏に当てる。

【2】【1】の状態のまま「アエアエ」と繰り返す
舌の根元が動くよう意識しつつ「アエアエ…」と繰り返す。
「『ア』のときは舌が平らな状態になり、『エ』では舌の中央がせりあがります。最初はゆっくりと、少しずつスピードをあげましょう」
◆教えてくれたのは:ボイストレーナー・川島ゆみさん
ソプラノ歌手。音楽療法士。初心者からプロまで3万人以上を指導。YouTubeチャンネル「40代からの美ボイスレッスン室 ゆみ先生」の登録者数は11万人を超え、声の専門家として幅広い世代から支持を集める。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2026年4月30日号