健康・医療

《1日3分、寝たままOKの”毒出し体操”》インナーマッスルに働きかけて、胃腸機能の低下や脂肪がたまる悪循環を改善

お腹を押さえている
便秘改善や腸活に効果的な「毒出し体操」(写真/Photo AC)
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年齢とともに代謝が低下し、なかなか落ちない脂肪や便秘に悩む女性は多い。シニア男女600人に実施した便通実態調査(「大腸劣化」対策委員会が60〜80代男女600人を対象に、2023年に実施した「シニアの便通実態調査」より)によると、約半数が「50代から便秘気味になった」という。腸活や運動をする前に、「体の部位」を見直してごっそり毒出しデトックス!

頑固な便秘や脂肪落ちない原因はアレ

「まず『足裏チェック』(別掲)をしてみてください。胃腸機能の低下や肥満の原因が隠れているかもしれません」と整体師のnobu先生は話す。

「母趾球と小趾球を押したときの痛み、どちらにも共通する原因が『姿勢の崩れ』です。『腸活をしているのに効果が出ない』『ウオーキングを頑張ってもなかなかやせない』という場合、姿勢の悪さが足を引っ張っている可能性が高いのです」(nobu先生・以下同)

母趾球が痛い人はO脚で骨盤が後傾し、猫背の傾向がある。一方、小趾球が痛い人は骨盤が前傾し、お腹を突き出すような反り腰の姿勢になりやすいという。

「『猫背で反り腰』という複合タイプもいますが、日本人は骨格的に『母趾球・猫背タイプ』が多いと感じます」

それが便秘や、やせにくさにつながるのはなぜか。

「姿勢が正しければ、体内の臓器も正しい位置におさまり、全身に血液やリンパ液が行き渡って代謝のいい体を維持できます。しかし、猫背になると胃腸が押しつぶされた状態になり、反り腰は胃腸が下垂する。どちらも臓器の位置がずれてしまうため血流が滞り、腸のぜん動運動も鈍くなって便の排出が困難になります」

便がたまって腸内環境が悪化すると、わずかな栄養も吸収し脂肪として蓄える日和見菌(通称“デブ菌”)が増えると考えられている。さらに、たんぱく質の合成や栄養素の貯蔵、解毒作用などを担う肝臓の機能も低下するため、ますます老廃物や毒素を体にためこむことに―

「『悪い姿勢』は、体の中も悪くします。姿勢を改善するカギは“ズボラ筋”という眠っている筋肉にあります。つらい運動や無理なダイエットをするより、ズボラ筋を呼び覚ます方が、確実に胃腸の毒出しや脂肪燃焼への近道です」

Q.足の裏、手で押してみて痛いのはどっち?

【母趾球(ぼしきゅう)】

足の親指のつけ根にあるふくらみ部分

【小趾球(しょうしきゅう)】

足の小指のつけ根にあるふくらみ部分

足の裏のイラスト
「足裏チェック」
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母趾球が痛い

【体の特徴】O脚またはガニ股気味、猫背、骨盤が後傾している

【起こりやすい不調】便秘、自律神経の乱れ、浅い呼吸、ひざの内側痛、変形性膝関節症

小趾球が痛い

【体の特徴】X脚気味、反り腰、お腹がぽっこり出ている

【起こりやすい不調】内臓下垂、自律神経の乱れ、ひざの上または外側痛、外反母趾

ズボラ筋とは何か?

私たちの体は、関節を動かして自由な動作を行っている。その関節を動かしているのが、全身に600以上あるとされる筋肉だ。

本来、これらの筋肉をまんべんなく動かせば姿勢が整い、代謝のいい状態が維持されるが、日常動作のくせや生活習慣で、使う筋肉が偏ってしまう。働き者の一部の筋肉に甘えて、サボり続けているのが「ズボラ筋」の正体だ。

「ズボラ筋とは、体の奥にある深層筋、いわゆるインナーマッスルです。目に見えず、意識しないと動かせないため軽視しがちですが、姿勢を整え、関節を安定させ、内臓や呼吸を支える重要な筋肉群です。スマホの見すぎや座り時間が長い現代人のほとんどは、ズボラ筋を動かせていません。さらに加齢で筋力が衰えると、ますますズボラ筋が“増殖”することになる。

ウオーキングでは鍛えられないため、自力で動かさないことには、姿勢や便秘、肥満の抜本的な改善は難しいのです」

ズボラ筋を放っておく弊害は、姿勢や内臓機能の低下にとどまらない。

「ズボラ筋に代わって頑張るほかの筋肉への負荷が大きくなり、併せて関節の柔軟性も失われるため、首・肩や腰、ひざに痛みが生じます。やがて脊柱管狭窄症や五十肩、変形性膝関節症などにつながります」

メンタルへの影響も大きい。背骨は自律神経の通り道であるため、ズボラ筋によって背骨のカーブが崩れると自律神経も乱れて呼吸が浅くなり、ストレスや睡眠障害を招くのだ。

真っ直ぐ立っている女性のイラスト
ズボラ筋の部位をチェック
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ズボラ筋を鍛えれば美容面の効果も!

ズボラ筋になりやすい深層筋は、全身に16ほどある。

「なかでも、胃腸の健康や脂肪燃焼にかかわるのが『腹横筋』『腸腰筋』『内転筋』『内側ハムストリングス』です。

下半身には全体の6〜7割を占める大きな筋肉が集まっているため、ここのズボラ筋を鍛えれば、効率よく脂肪を燃焼させられます。血液やリンパの流れもよくなって老廃物が排出され、胃腸や肝臓もデトックスされて元気になる。

それだけではありません。体の隅々にまで栄養が行き渡れば、髪や肌のハリ・ツヤがアップし、むくみも改善。『アンチエイジング効果』も期待できます」

下半身のズボラ筋を目覚めさせるために重要なのが、4つの“毒出し体操”だ。

「狙ったズボラ筋だけをピンポイントで鍛えられます。ハードで大きな動きはないので、運動習慣や体力がなくても行えます。ただし、『目標のズボラ筋に効いているか』を意識し、正しい形で行うことが重要です」

ズボラ筋をサボらせないためには、毎日、4つをまんべんなく行う必要がある。

「トータルで3分ほどの体操です。いつ行ってもいいのですが、朝に行えば硬くなった筋肉や関節がゆるみ、一日の活動量が増えて代謝が上昇。就寝前に行えば、自律神経が整って眠りの質が上がります。ウオーキングなどの前に行うと、パフォーマンスの向上にも役立ちます」

体操中、動かした部位がつるのは、狙ったズボラ筋が働いている証拠だが、痛みが増すときは無理をせず、少しずつ頑張ろう。

胃腸デトックスに必要な4つのズボラ筋

しっかり動いていれば姿勢を安定させ、立ち座りをスムーズにし、全身の血行促進に寄与する重要な筋肉だが、悪い姿勢や動作のくせ、運動不足などで“ズボラ化”しやすい。

腹横筋(ふくおうきん)

側腹のもっとも深い層にあるインナーマッスル。内臓や骨盤の位置を安定させ、腹圧を高める働きがある。

腸腰筋(ちょうようきん)

腰から足のつけ根に位置する、上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉群。姿勢の維持や歩行の安定性にかかわる重要なインナーマッスル。

内転筋(ないてんきん)

太ももの内側にある筋肉群で、歩行を安定させ、ひざを支えて転倒を防ぐなどの働きがある。

内側(ないそく)・ハムストリングス(裏側)

太もも裏の内側にある筋肉群。ひざの曲げ伸ばしに大きくかかわるほか、すねを内側に動かすなどの働きがある。

【4つのズボラ筋を刺激して代謝アップ】1回30秒・どこでもできる“毒出し体操”で老廃物をデトックス

さっそく、ベッドの上でもできる毒出し体操を実践してみよう。ズボラ筋同士は連動しているので、4つセットで行うとより効果が得られる。自己流ではなく、指示通りに行うのが◎。「ここに力が入ればOK」の部分に効いていれば、ズボラ筋に正しくアプローチできている証拠。自然な呼吸を止めないように注意を。

【所要時間30秒】腸腰筋に効く「足裏プッシュ」

「腸腰筋を鍛えることで股関節を矯正し、リンパの流れもよくなります。足がしっかり上がるようになるので、転倒予防や走力向上のためにも鍛えておきましょう」(nobu先生・以下同)

【1】仰向けに寝て両足を曲げ、股関節を軽く開く。かかとが床から浮かないようにしながら、左右の足の裏を合わせる。両手はお腹の上に置く。

左右の足裏を合わせている
左右の足裏を合わせる (イラスト/細川夏子)
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【2】足先をできるだけ天井に向け、かかとを床につけたまま、両足裏を押し合う。「4秒押して1秒休む」を6回繰り返す。

左右の足裏を合わせている
股関節周りに力が入ればOK(イラスト/細川夏子)
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【所要時間30秒×2】腹横筋に効く「寝たまま浮遊」

「お腹の最深部の左右を覆う腹横筋は、骨盤を引き上げ、お腹を引っ込める働きがあります。鍛えればぽっこりお腹が引き締まるほか、内臓脂肪を減らし、股関節の痛みを軽減する効果もあります」

【1】横向きに寝て、ひじを床について頭を手で支える。股関節とひざを曲げる。上になっている方の手のひらを天井に向け、胸を張る。

横向きに寝ている人
横向きに寝て、ひじを床について頭を手で支える(イラスト/細川夏子)
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【2】両足の先と頭を1秒間ほど浮かせたら、ゆっくり元の位置に戻す。この上げ下げを30秒間行う。次に、反対向きの体勢になって、同様に30秒間行う。

横向きに寝ている人
脇腹に力が入ればOK(イラスト/細川夏子)
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【所要時間30秒】内転筋に効く「ブリッジ体操」

「内転筋を刺激すると股関節がゆるみ、足のつけ根のリンパが流れるほか、ひざの内側の痛みやO脚、ガニ股の予防・改善にもなります。足がつる人は、お尻を上げた状態をキープせず、お尻の上げ下げを10秒間繰り返すだけでもOKです」

【1】仰向けに寝て両ひざを立てる。両ひざの間はこぶし1つ分あけ、足先は内側に向ける。手のひらは顔の方に向け、ひじを床につける。

ひざを立てて仰向けに寝ている
内股にするのがコツ(イラスト/細川夏子)
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【2】ひじで体重を支えながら腰を浮かせる。この状態を10秒間キープしたらゆっくりと腰を落とし、【1】の位置に戻る。これを3セット行う。

ひざを立てて仰向けに寝ている
太ももの内側に力が入ればOK(イラスト/細川夏子)
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【所要時間30秒】内側ハムストリングスに効く「寝たまま両足踏み」

「骨盤まわりをゆるめ、腹部のリンパの流れを促進させる体操です。内側ハムストリングスを鍛えると、ひざの前や外側の痛み、X脚の改善に。この筋肉は腸腰筋と密接な関係があり、ズボラ化すると、反り腰や腰中央部の痛みが起こることも」

【1】仰向けに寝て両ひざを90度くらいに曲げる。両ひざの間はこぶし1つ分あけ、足先を内側に向ける。この状態で、足先を床から10cmほど浮かせる。

ひざを立てて仰向けに寝ている
足先を10cmほど浮かせる(イラスト/細川夏子)
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【2】【1】の状態から両足をゆっくり下ろし、かかとを床に押しつけるように力を入れる。お尻を浮かせないように、【1】と【2】をゆっくり30秒間繰り返す。難しい場合は、片足ずつ交互に行ってもOK。

ひざを立てて仰向けに寝ている
太ももの内側に力が入ればOK(イラスト/細川夏子)
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◆教えてくれたのは:整体師・セルフケア教室nobu先生

鍼灸師、柔道整復師。149万人超えのYouTube「セルフケア教室nobu先生/格闘家整体師」で多彩なケア方法を発信中。近著に『「筋肉のつながり」を意識して痛みと不調を解消 10秒ズボラ筋体操』(KADOKAWA)。

取材・文/佐藤有栄

※女性セブン2026年5月21・28日号