《“愛の証”発掘秘話》高倉健さん、養女が知らない「幻のポルシェ」の存在 ダッシュボードに刻まれた“薔薇の刺繍”と元妻・江利チエミさんとの関係 親族や関係者が明かす愛車に関するエピソード
健さんの薔薇好きはチエミさん譲り
奇しくも今回の911カレラの発見と時を同じくし、真っ赤な356カブリオレも話題になった。かつて江利チエミにプレゼントされた中古のポルシェだ。お笑いタレントの井戸田潤が、ポルシェの展示場訪問記をYouTubeに投稿して注目されたのである。
《高倉健さんが購入し所有してきたそうで、歴代オーナーによって大切に引き継がれ、保存されてきた……》
井戸田のガイドをしたモータージャーナリストの藤原よしおは、こう話す。
「健さんは行きつけの青山のカフェにも356に乗って来ていたそうです。ポルシェの愛好家のあいだでは、東京の輸入商が健さんから356を譲り受けた、とされていますが、直接譲り受けたわけではないと思います」
この車には当人のイニシャルや姓名がないので、高倉健の愛車だったかどうかについては不明だ。高倉事務所の元関係者に聞いても、356カブリオレの行方はわからないと説明する。
「健さんの愛車話は都市伝説のようになっていて、時折出てきます。356は古すぎて見たこともありません。個人名義の3台のうち911カレラは、健さんが亡くなって10年近く経った3年ほど前、ポルシェ好きのかた(戸倉)に譲っていますから、ホンモノです。けれど、ジャガーとベンツの2台は、もうこの世に存在しないと思います」

気になるのはポルシェのダッシュボードにある薔薇の刺繍である。高倉健の4つ違いの実妹、森敏子に心当たりがないか、尋ねた。
「お兄さんは親戚皆に車をプレゼントしてくれました。私は外車が嫌だと言うと、トヨタの新車。私の姉の旦那さんには、お兄さんが使っていたベンツ、私の長女にもイタリア製のマセラティを贈ってきました。本家の長男である甥にもベンツを贈っていましたけれど、私のトヨタ車といっしょで新車だから、薔薇の刺繍はありません。要はお兄さんのおさがりの車には、たいてい薔薇の刺繍があったということです」
実の妹だけでなく甥や姪にまで高級車をプレゼントするとは驚きだが、肝心の薔薇の刺繍は何を意味するのか。『海峡』や『南極物語』など数々の高倉健主演映画のプロデューサーを務めてきた田中寿一はこう打ち明ける。
「実のところ健さんの薔薇好きは、江利チエミさん譲りなんです。チエミさんが赤い薔薇が好みだったので、別れたあとも健さんは彼女のことをずっと思って、自分の乗る車のダッシュボードに赤い薔薇の刺繍を貼り付けるようになったのです」
高倉健は江利チエミと暮らした思い出とともにお気に入りのポルシェを走らせてきたのかもしれない。40億円といわれる名優の遺産を相続した養女は、高倉健が江利チエミと暮らした豪邸を壊して建て直し、彼女とのあいだに身ごもった水子の墓まで撤去して更地にした。はからずも十三回忌に発見された愛車の存在にも、気づいていない。養女が修羅を燃やす悋気の余地などなかった。
【プロフィール】
森功(もり・いさお)/1961年、福岡県生まれ。岡山大学卒業後、伊勢新聞社、『週刊新潮』編集部などを経て、2003年に独立。著書多数。Netflixドラマの参考文献となった『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』がベストセラーとなり、現在、その続編『地面師vs.地面師 詐欺師たちの騙し合い』が好評発売中。
※女性セブン2026年6月18日号