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《発掘秘話》高倉健さんが残した「幻のポルシェ」の存在 親族が明かした愛車に刻まれた“薔薇の刺繍【現在の持ち主は「どうぞ乗ってください」】

2014年10月に亡くなった名優・高倉健さん
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 名優・高倉健さん(享年84)が2014年10月に亡くなってから、もうすぐ12年となる。健さんはポルシェを愛し、死の直前まで車への情熱を失わなかった。彼が人知れず愛車に刻んだ“愛の証”と幻の1台の数奇な運命を、ノンフィクション作家の森功氏が徹底取材した。6月4日発売の『女性セブン』から一部抜粋して紹介する。

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 流線型のボディーのみならず、タイヤのホイールまでモスグリーンという見たことのないポルシェが、駐車場前の坂に止まっていた。フロントフェンダーにある給油口下には、Ken Takakuraのローマ字が筆記体で刻まれている。高倉健の乗っていた1987年型の911カレラに間違いない。

「どうぞ、乗ってください」

 持ち主の戸倉紀夫(仮名)に笑顔で手招きされ、革張りの助手席に身をゆだねた。40年近く前の名車は、むろんマニュアルだ。

「まだオートマがない時代の製造ですからね。でも乗り心地はいいんですよ」

 戸倉がそう言いながら、ギアをローに入れて発進した。ヴォーンというマニュアル車独特の重厚な声をあげ、カレラが走り出した。怖くなるほど加速がいい。中原街道を旗の台方面に向かい、前方の車を次々と追い抜いていく。戸倉が操るシフトレバーにはKTの文字があった。念を押すまでもなく、高倉健の頭文字である。

 ダッシュボードは光沢のあるウッド仕様で、ふとそこに目をやると、小さな薔薇の刺繍が貼り付けてあった。

「健さんが乗っていた車だということは確かなのですが、なぜ薔薇の刺繍なのか、ぼくにはその意味がずっとわかりませんでした」

タイヤホイールまでモスグリーンで統一したこだわりのポルシェ
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 高倉健は多いときで20台の外車を持っていたという。本人の死を受けて遺産を相続した養女が、すべてをスクラップにしたと伝えられてきた。その“健さんの愛車”が見つかったと評判になったきっかけは、3月29日のタレント・テリー伊藤によるインスタグラムへの投稿だった。

「さすが健さん、車に後光がさしていました。高倉健さんのポルシェが実在するなんて国宝級です」

 大袈裟にそう書かれた投稿がネットニュースやスポーツ紙に転載され、高倉健の関係者が騒ぎ始めたのだ。高倉健は男2人、女2人の4人きょうだいの次男として福岡県中間市に生まれている。2人の妹がおり、末っ子の妹の長女からすぐに連絡があった。

「あの記事は本当かもしれません。親戚のあいだで話題になっています」

 いまも北九州市に住む姪の一人である。プレゼント魔として知られる高倉健は、きょうだいだけでなく、九州の甥や姪にまで気前よく車を譲ってきたという。連絡してきた北九州市の姪はこうも聞いてきた。

「伯父からもらった車には、薔薇の刺繍がありました。ネットに書かれていたポルシェにもあったのでしょうか。あれば本物かも」

 そこから取材を始め、持ち主に頼んで乗せてもらったのが、冒頭のシーンにほかならない。ポルシェ911カレラはひと月ほどかけ、修理に出したばかりだという。乗車体験はわずか20分ほどしかなかったが、風を切って大都会を軽やかに走る名車の乗り心地は抜群だった。(敬称略)

6月4日発売の『女性セブン』では、健さんの外車コレクションの行方、そして今回見つかったポルシェ911カレラが残されていた事情、さらにはかつて結婚していた江利チエミさんが健さんにプレゼントしたポルシェ356カブリオレの“その後”などについて親族や関係者の証言を元に詳報している。

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