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映画『FUJIKO』偏見の中で昭和の時代をたくましく生きるシングルマザーの主人公に集まる共感 主演・片山友希「富士子の抱える苦しさは、現代にも共通している」

映画『FUJIKO』で、シングルマザーを演じる片山友希(配給:(c)2026 FUJIKO Film Partners)
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 昭和の価値観が顕著に残る1970〜1980年代の静岡を舞台に、シングルマザーが懸命に人生を切り開いていく姿を描いた映画『FUJIKO』が、大きな話題を呼んでいる。国内のみならず、海外でも高い評価を受けている同作に込めた思い、描かれたメッセージをひもとく。【前後編の後編。前編を読む

「親がかわいそうや」と何度も言われた

 主人公の富士子(片山友希)は昔から強い女性だったわけではない。ある日、デモで「女性解放」を叫ぶ女性たちの熱気に触れ、「動かないと何も変わらない」と前に進むことを決意する。しかし、当時の日本社会は、男尊女卑の古い価値観が色濃く、女性が自分の意思で生きていくことは容易ではなかった。信州大学特任教授で子を持つ母でもある山口真由さんが指摘する。

「映画の舞台である1970〜1980年代は、結婚すれば寿退社が一般的で、離婚してシングルマザーで子育てすることへの偏見は強かった。保育園に預けるのが難しいだけでなく、さまざまなところで目に見える形で差別がありました」

 時代は流れ、働く女性や男性の育休取得が増えた。独身を謳歌する女性も増え、女性の生き方は昭和の頃に比べて確実に多様化したように見える。一方で、女性の負担は形を変えて存在しているという。 

「仕事を含めて女性の選択肢は確実に増え、シングルマザーで子育てすることへの理解も深まりました。しかし、“子供と一緒にいる時間”が評価されない社会になり、子供を保育園に預けて男性並みに働きつつ、家事や育児もこなす “生産性”が求められるようになりました。家事や育児を夫婦で分担していても、実際は母親側の負担が大きい家庭が多いと思います」(山口さん)

映画『FUJIKO』(配給:(c)2026 FUJIKO Film Partners)
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 片山も、富士子を“昔の女性”として演じていたわけではない。

「役作りの際に“昔の女性はこうだった”と、特別な存在として考えることはありませんでした。富士子の抱える苦しさは、現代にも共通していると感じたし、“シングルマザーがよくない”と決断を責められるシーンは、いまと大きく変わらない気がしています」(片山・以下同)

 片山自身も、似たような経験がある。

「高校卒業後に2年間、俳優を目指して地元でフリーターをしていました。親は事情を知っているので何も言いませんでしたが、初めて会う人や事情を知らない人から“親がかわいそうや”と何度も言われました。シングルマザーとは違いますが、相手の事情を知らないのに頭ごなしに否定する人はいまもいるし、これから先もいると思っています」

“見えにくい偏見”はいまも社会に残っていると山口さんは言う。

「政府や民間企業が年金や保険のモデルにする“標準世帯”は、 “会社員と専業主婦の妻”や“夫婦と子供2人”が前提になっていることがほとんどです。女性ひとりで生きていくこともあるのに、です。また、女性は働いていてもまだ能力を評価される機会が少なく、自分に自信を持てていない人が多いのが問題です」

 映画『FUJIKO』は自分をあきらめず強く生きる女性の姿が時代を超えて私たちの琴線に触れるのだろう。それはどんな境遇であれ、「自分で決めた道をまっすぐ進んでいく」という強さと勇気をもたらしてくれる。

「今年30才になるので、地元の友人たちは結婚や出産の第一次ピークを迎えています。焦っているわけではありませんが、どこか気にかかっていました。でも富士子を演じたことでパワーをもらい、“まだまだ私にはやることがある”と感じるようになった。既存の価値観に縛られず、自分らしく生きていきたいと改めて思っています」(片山)

 時代が変わっても女性たちはいまなお、「こうあるべき」という枠組みの中で生きている。だからこそ、富士子の姿は令和を生きる女性たちの胸に強く響くのだ。

(前編を読む)

※女性セブン2026年6月25日号

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