健康・医療

介護や看取りにおいて重要な役割を果たす「かかりつけ医」 介護サービスを利用するための要介護認定にも影響、ケアマネや訪問看護師とスムーズに連携をとる医師が理想

かかりつけ医は、介護や看取りにおいて重要な役割を果たす(写真/PIXTA)
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 私たちの健康について、ささいなことから大きな不安まであらゆる相談に応じてくれて、介護や看取りまで面倒を見てくれる「かかりつけ医」。頼りになる存在がいるかいないかで、あなたや家族が安心して老後を暮らせるかどうかは大きく変わってくる。【全3回の第2回】

 人生100年時代のいま、かかりつけ医は、介護や看取りにおいても重要な役割を果たす。都内在住の会社員・Nさん(54才/女性)は、父の介護で思わぬ問題に直面したという。

「北海道で暮らす父の認知症がひどくなり、介護サービスを利用しようと会社を休んで北海道の市役所へ相談に行ったところ、『主治医は決まっていますか』と言われ……。実は、父が近所でお世話になっていた診療所の先生が引退して閉院してからは、主治医がいないまま過ごしていたんです」

 慌てて医師を探したものの、遠方に住んでいることもあって手間がかかった。

「一度東京に帰って日を改めることになり、最終的に意見書を書いてもらうまでに1か月もかかりました。その間は介護サービスも利用できず気が気じゃなかった。いざ介護が始まっても、これまでの父の状態をよく知らない医師から、いろいろな問い合わせがあったり、帰省して対応したりと本当に大変でした」(Nさん)

 元気なうちは意識する機会が少ないが、介護が必要になった途端、「主治医の有無」は大きな意味を持つ。介護アドバイザーの横井孝治さんは、Nさんのようなケースは珍しくないと指摘する。

「介護サービスを利用するには要介護認定が必要で、その際に主治医の意見書が求められます。実際、要介護認定を受けるために地域包括支援センターに行ったときに、主治医の有無を聞かれて戸惑う人は少なくありません。

 主治医が決まっていないと医師探しからスタートすることになるので、介護サービスの利用開始までに時間がかかる。当然、その間の介護にかかる金銭的・体力的負担が増えることになります」

在宅療養や看取りが必要になった場合にどうするのか、かかりつけ医と事前に相談しておくことが望ましい(写真/PIXTA)
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 さらに認定される要介護度の判定においても、かかりつけ医の意見書が影響を与える。千代田区医師会会長で、やじまクリニック院長の矢島俊巳さんは、こう話す。

「主治医による意見書が実態に配慮してしっかり書かれていれば、要介護度のランクが上がりやすくなります。私自身も要介護認定に携わっていますが、意見書に書かれた病歴や普段の様子、会話の内容などを踏まえて、要介護度が見直されるケースも少なくありません。そのため日頃から、体調や家族との関係など、話を聞いてくれる医師がいるといい」(矢島さん)

 介護サービスを受け始めた後も、かかりつけ医は本人や家族を支える大きな基盤となる。

「介護サービスの中でも訪問看護と訪問リハビリ、訪問入浴介護は主治医の許可があって初めて利用できるものです。ケアマネジャーから『主治医の許可をとりましたか』と確認されて、医師に書類を書いてもらう必要があります。そのため、ケアマネや訪問看護師とスムーズに連携をとってくれる医師が理想です」(横井さん・以下同)

 いずれやってくる看取りの場面でも、かかりつけ医の存在は欠かせない。

「かかりつけ医は地域のほかの医療機関や介護施設、在宅ケアサービスの懸け橋となる中心的な存在です。元気なうちから希望する延命治療や最期の迎え方について相談しておくことで、意思疎通が難しくなっても、本人が希望する医療を受けやすくなり、自分らしい最期を迎えられます」

 自宅で家族を看取ったときの対応にも、大きな違いが出てくる。かかりつけ医がいなければ原則として警察に連絡して、検視を受ける必要がある。一方、日頃から状態を知るかかりつけ医がいれば、医師の判断で死亡診断書の発行が可能となり、家族は慌てることなく送り出すことができるのだ。

不安のない最期のためのかかりつけ医の見極め方
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(第3回へ)

※女性セブン2026年7月2日号

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