認められなかった「自分なりの生き方」
2025年末にはフランスでの調査で、コロナワクチンによって全死亡率が25%低下したという論文が報告された。ワクチンのメリットがリスク(害)を上回るのは明らかとの意見もあるが、そう判断するのは早計だと東京理科大学客員研究員で臨床薬学博士の上島有加里さんは指摘する。
「この論文はフランスの全国規模の医療データや接種記録、死亡情報を用いた大規模研究で、重要な情報を提供しています。
しかし、接種者と非接種者とで、社会経済的背景、医療アクセス、健康行動が異なり、統計的に調整しきれない背景差(バイアス)が残っています。コロナワクチンの真価を知るのに今後必要なのは、有効性だけでなくリスクも同じ水準で検証することです」
コロナワクチンをめぐっては、見解の違いから平行線の主張が続いている。批判者を「反ワクチン」「陰謀論」とレッテルを張る人もいる。精神科医の立場から、コロナの感染対策やワクチン問題を批評してきた高木俊介さんが話す。

「反・反ワクチンの人たちの本や記事を読みましたが、国内外の一部にあるカルト的集団のイメージにとらわれすぎて被害の実態を見ておらず、データや論文も批判的に吟味できていません。ワクチンを頭からいいものと思い込むことも、ワクチンを頭から否定するカルト的集団と同類の態度であることを知るべきです。
特に医師は最前線で闘った意識が強く、その武器だったワクチンを批判されると、医療自体が否定されたと感じるのでしょう。感染へのおびえもあって反ワクと非難したのだと思いますが、自分で調べて考えた結果、打たない選択をした自分なりの生き方が許されない世の中になっていいのか、考えてみてほしいのです」
5回目の接種の後、高熱が出て立てなくなり、車椅子生活になった元看護師の倉田麻比子さんも、「被害の実態を知ってほしい」と訴える。
「昨年8月26日の『薬害根絶デー』の日、厚労省に向かって『被害の本当の実態を把握してほしい』とマイクで呼びかけました。でも、厚労省の人が被害者の元へ実態調査に来ることはありません。
なぜ社会のために感染対策に協力したかたがたが、接種前に説明されていない健康被害を訴えた途端、『うそつき』や『心の病気』だと決めつけられ、突き放されなければならなかったのでしょうか。私はいまも国を信じています。困って傷ついている国民を見て見ぬふりをする国ではない。娘たちに安心して大人になって、この国で生きていって大丈夫だよ、と言いたいです」
接種費用に総額4兆円以上が費やされ、8億8200万回分が購入されたにもかかわらず、2024年には有効期限が切れた2億4000万回分が使われずに破棄された。その血税の使われ方が妥当だったかどうかも、ほとんど追及されていない。5年という年月が流れたが、未解決の問題が山積みであることを、国民は決して忘れるべきではないだろう。

※女性セブン2026年7月9・16日号