接種3日後に心機能不全に
2021年2月に医療従事者から接種が始まった新型コロナワクチン。Aさんのように、いまも接種後の体調不良に悩まされ続けている人がいる。それいゆ会こだま病院理事長の児玉慎一郎さんが証言する
「コロナワクチンで体調不良になったと訴える人を累計約300人診療し、現在も外来や往診で180人ほど診ています。慢性的な疲労、労作後の体力消耗、体の痛み、すぐ風邪をひく、食欲不振、認知障害、不眠など、人によっていちばん強い症状は異なりますが、『ME/CSF(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)』の診断基準によく当てはまるのが共通しています。
しかし、通常の検査では異常が見つからない。そのため、医師から『心の問題』で片づけられることが多いのです。でも、経過を見る限り、全員が心の問題であるはずがない。ワクチン以外に原因を考えにくい人が多いのです」
児玉さんが憂いているのは、症状に苦しむだけでなく、多くの人生が変わってしまったことだ。
「学長のすすめで接種したら、その日から寝たきりになり通えなくなった女子大学生や、接種直後に倒れて以降、食欲不振に陥ってやせ細り、長期入院を強いられている10代の少女もいます。被害者を置き去りにしないためにも、国や医学界は接種後の症候群を認め、メディアも被害を周知すべきです」(児玉さん)
家族を亡くした人もいる。栃木県の影山均さんもそのひとりだ。製薬会社に勤めていた息子の晃大さんは2回目の接種後、副反応とみられる発熱で静養していたが、3日後に息絶えた姿で発見された。死亡診断は「心機能不全」。26才だった。
「気持ちの変化はまったくありません。むしろ、時間が経てば経つだけ悔しさが増しています。なぜあのとき、国やマスコミの言うことをうのみにしてしまったのか。生きていれば31才。同じ年頃の人たちを見ると、息子もバリバリ仕事して、家族と休日を楽しんでいたんだろうなと思ってしまうんです」

しかし、いま世の中を見渡すと、大規模接種会場を設置してまで日本中がコロナワクチンの接種に邁進したことなど、忘れ去っているように見える。
「体調不良に陥ったり、家族を失ったりして、いまも苦しんでいる人たちがいる。なのにどうして、その事実から目をそらしたままなのか。被害があったことを忘れさせようとしているのではないか。そのように思えてなりません」(影山さん)
医師や製薬会社から報告されたコロナワクチンの副反応疑いの件数は、2024年7月29日までの集計で3万7091件、うち重篤報告例は9014件、死亡報告例は2204件に上る。また、国に補償を求め予防接種健康被害救済制度を申請した数は、2026年6月18日までに1万5421件あり、うち認定件数は9483件、死亡にかかわる認定(死亡一時金・葬祭料)に限ると1073件に上っている。これは、過去45年間の全ワクチンの認定件数の約2.7倍、死亡認定は約7.1倍にもなる規模だ。
救済認定のデータをグラフ等にまとめSNSで発信し続けている東京理科大学客員研究員で臨床薬学博士の上島有加里さんは、この事実を無視してはならないと指摘する。
「副反応疑いと救済認定の件数が過去と比較して極めて多いのは、重く受け止めるべきです。もちろん、これらだけでコロナワクチンと接種後の体調不良や死亡との因果関係は証明できません。副反応疑いの死亡事例の因果関係は専門家2名によって審査されていますが、99%以上が『情報不足等により評価不能』とされています。しかし、それは『因果関係がない』と判断されたことを意味するわけではありません。
救済制度で認定された症例も、接種から発症までの時間的密接性やほかの原因が考えられるかなど、医学的・薬学的な一定の基準に基づいて判断されています。ですから、リスクを知らせる『安全性アラート』としての意味はないと切り捨てるのではなく、データの特徴を分析して、より精度の高い調査や疫学研究につなげるべきです」
一方で、これらの数字がただちに危険性を示しているわけではないとする意見も根強い。SNSを通じてワクチン接種が重症化や死亡のリスクを下げると、有効性を発信してきた医療社団法人悠翔会理事長の佐々木淳さんが話す。
「副反応疑いの件数は確かに重く受け止めるべきです。ただ、前提として理解すべきは、これは接種後に起きた有害事象を幅広く集めるための仕組みだということ。日本人は1日平均4400人が亡くなります。1日に100万人も接種すれば、その中に数日、あるいは数週間以内に心筋梗塞、脳卒中、老衰などで亡くなる人が一定数いる。接種日との密接性だけで、ワクチンが原因とは断定できません。
救済制度にしても、予防接種に協力した人に健康被害が生じた場合、因果関係を検証していると時間がかかるので、とにかく速やかに救済するのが目的です。被害を訴える人が実際にいて、救済が必要なケースがあるのも事実ですが、ワクチンによって具合が悪くなった人とは限らないことを理解すべきだと思います」
(後編につづく)
※女性セブン2026年7月9・16日号