
梅雨が明け、夏が近づくこの時季は、「なんだか体が重い」「だるくて何もはかどらない」という声が多く聞こえてくる。薬草研究家で『4日で若返る「毒出し」のトリセツ』(すばる舎)などの著書を持ち、「毒出し先生」と呼ばれる織田剛さんは、それを「巡りが滞っているサイン」だと解説する。一橋大学の大学院で哲学を専攻し、留学先のフランス・パリでは薬草に魅せられた織田さん。現地の薬局のなかには、棚の半分をハーブが占め、ハーブを使ったファスティング(プチ断食)が流行している場所も少なくないという。
■「毒が溜まる」のではなく、「出す力」が衰えている
「体内に毒が溜まる、とよく言われますが、私の考えは少し違います」と織田さんは切り出す。
「加齢や不摂生、食べ過ぎや疲れで代謝が落ちると、カスや埃のようなものが体に溜まり、排泄が追いつかなくなる。つまり毒が増えるのではなく、“出す力”のほうが衰えているんです。その巡りを良くするのが、私の言う『毒出し』。これがいちばん無理のない言い方だと思っています」(織田さん・以下同)
体の重さは、気分の重さにもつながりやすいという。だるくて気力が湧かない──そんな実感の裏にも、この「出す力」の衰えが潜んでいるのかもしれない、と織田さんは語る。もともと哲学の研究者を志していた織田さんが、この発想に出会ったのはフランス留学中のことだった。当時は体が重く、勉強もはかどらない日々を送っていた。
「指導教授に『ファスティングをした方がいい』と勧められたのが、すべての始まりでした」
そこで気づいたのが、日本とフランスの「巡り」への意識の違いだ。
「日本でファスティングというと、ジュースや酵素を使うものが多いですが、フランスではそうではなくて、『ドレナージュ』という発想をもとにファスティングをする。排泄、流れ、つまりリンパや静脈の巡りを整えるという発想ですね。デトックスというより、ドレナージュ。考え方の出発点が違うんです」
背景にあるのは、フランスのハーブ文化だという。
「フランスでは季節の変わり目に、ハーブティーを飲む習慣があります。例えば春ならセイヨウタンポポやアーティチョーク、白樺のエキスなど、『芽吹きのエネルギーを取り入れる』という発想で、植物のエキスを取り入れる。また、『肝臓用』『腎臓用』など内臓別のブレンドティーが並んでいる薬局もあります。漢方に近い感覚で生活に溶け込んでいるのです」
■体を「掃除」してから、「洗剤」を使う
本格的なエルボリストリー(伝統的なハーブショップ)では、ハーブの専門家が対面で相談に応じ、体質に合わせて独自のブレンドを作ってくれる。織田さんは「あなたは熱しやすいが、足は冷えている」と言い当てられたことがあったという。
では、ハーブティーを飲めばそれで整うのか。織田さんは、そうではないと考えている。
「ハーブティーだけで治る、とは私は思っていません。ファスティングが『掃除』、目的の部位に合うハーブが『洗剤』と考えると、しっくり来る。いい洗剤を買っても、掃除をしなければ意味がない。台所には台所洗剤、クーラーにはクーラーの洗剤を使うのと同じで、まず掃除をしてから洗剤を使う。この順番が大事なんですね」
また、「休ませる」という発想も重視されている。これには古い裏づけがあるという。
「16世紀ヨーロッパの内科医は、『ハーブティーを出して、あとは食べないで寝ていなさい』という診察をしていた。休ませることこそ内科医の仕事だ、という考えです。いまの私たちは飽食で食べ過ぎていて、体に負担がかかっている。固形物を避けると消化器や臓器を休められる。だるさや重さは、体が休息を求めている合図なのかもしれません」
とはいえ、いきなり何日も跨ぐファスティングとなると不安が先に立つ。そこで織田さんが勧めるのが、段階的な導入だ。
「まずは1日からでいい。固形物をずっと食べ続けるのを止めるだけでも、ずいぶん楽になる。慣れたら2日、3日と延ばしていく。私自身の基本は4日間ですが、1日でも『楽になった』という感覚はちゃんとあります」
フランスに根付く、ハーブファスティングという習慣。体と向き合うための施策として、知っておくのもよさそうだ。
※本記事は特定の効果・効能を保証するものではなく、医療行為に代わるものではありません。持病のある方、服薬中・通院中の方、妊娠中の方、高齢の方や体力に不安のある方は、自己判断で行わず、必ず医師に相談のうえ、無理のない範囲で行ってください。

