
シミ、しわなど外形的なアンチエイジングを意識する人は多いが、目に見えない臓器もまた、老化することを忘れてはならない。人生100年時代のいま、必要なのは脳や腸、骨をメンテナンスし、いつまでも若々しい体を手に入れること。第3回では、骨のエイジングケア方法を解説する。【全3回の第3回。第1回から読む】
長持ちする骨をつくるには「骨強度」が大切
脳と腸に加えて、いつまでも歩くことができるような骨をつくることも欠かせない。光伸メディカルクリニック院長の中村光伸さんが指摘する。
「棒のようなイメージがある骨ですが、実は肝臓や腎臓などと同じ臓器のひとつ。しかも骨からはホルモンが分泌されて脳に刺激を与えるなど、『骨脳連関』があることも知られています。
年齢を重ねて骨がもろくなり、転倒・骨折で寝たきりになると5年生存率は50%を切ってしまう。これはがんや脳卒中より低い数字です。そうした面からも丈夫な骨をつくることが必須です」
いつまでも健康に歩き続けるために必要な骨は、ほかの細胞と同様に常に新陳代謝が行われている。
戸田整形外科リウマチ科クリニック院長の戸田佳孝さんが言う。
「全身の骨は、古い骨を壊す破骨細胞と新しい骨をつくる骨芽細胞の働きによって、数か月から数年の周期で入れ替わっています。この代謝を促進することは健康な骨質を保ち、骨の若さや骨年齢を維持することに深く関係します」
骨の丈夫さを示す単位は骨に含まれるカルシウムやリンなどミネラルの量を示す「骨密度」が有名だが、長持ちする骨をつくるには「骨強度」が大切になる。
「骨強度は骨密度が約7割、骨のしなやかさや構造を示す骨質が約3割の割合で決定されます。骨密度がいくら高くてもしなやかさがないと硬くてもろい骨となり、骨折リスクが高まります。骨密度の検査が正常であっても“骨は折れない”と思い込んではいけません」(戸田さん)
中高年女性は閉経や更年期障害によって骨密度が急減し、骨が弱くなって骨折リスクが増す骨粗しょう症になりやすい。直接的な原因となって命を落とすことはないものの、早めに手を打つべしと中村さんは指摘する。

「骨粗しょう症になるのは骨の代謝が低下するからで、年を取って顔にしわができるようなものです。ただし、中高年は骨折してしまうと寝たきりになる危険性が一気に高まるので、骨粗しょう症対策としては、40才を過ぎたら骨密度チェックする習慣をつけ、骨が弱くなってきたら早めに治療をすることが大事。現在の医療レベルなら、早い段階から治療を始めれば骨折リスクを下げられます」
女性の大敵である骨粗しょう症を防ぎ、長持ちする骨をつくるには骨に刺激を与えることが有効だ。
「雪が踏まれると硬くなるように、骨も負荷を与えると強くなります。足の骨を強化するにはその場跳びのジャンプが効果的で、1日10回のジャンプを週に3回行いましょう。ただし無理をすると、逆に骨を痛めてしまうので気をつけてください。
また、食後に血糖値が急上昇すると、たんぱく質と糖が結合してできる老化物質・ペントシジンが骨に蓄積し、しなやかさが失われて骨折リスクが増します。これを避けるには食後の運動が必須で、食器洗いをしながら足踏みをするなどのエクササイズに取り組みましょう」(戸田さん)
日光浴も骨を強化する。
「骨は太陽の光に当たると強くなります。シミを気にする人は、手のひらを15分日光に当てるだけでも効果があります」(中村さん)
昔から“骨を強くするにはカルシウム”といわれるが、戸田さんは「その考えはもう古い」と語る。
「カルシウムやビタミンDを摂っても古い骨の表面が上塗りされるだけなので、現在の整形外科では古い骨を破骨細胞によって吸収させ、骨芽細胞で新しい骨をつくることをめざします。現に最近の骨粗しょう症治療は破骨細胞の働きを弱め、骨芽細胞の働きを助ける薬が主流です。日常の骨強化法としてもカルシウムだけ摂取するより、毎日5品目以上の食品を食べる方が効果があるとわかっています」(戸田さん)