健康・医療

《寝たきりにならないために》長持ちする「腸」のつくり方 最強の栄養素は「発酵性食物繊維」 全粒穀物、豆類、根菜類、海藻類などが腸のバリア機能を高める

寝たきりを防ぐためには、腸の健康も保たなくてはならない(写真/PIXTA)
写真5枚

 人生100年の時代で、誰もが願うのは「ただ長生きすること」よりも「最期まで自分の足で歩き、自分らしく暮らすこと」。寝たきりで余生を過ごすことなく、ピンピンコロリを目指すには、何よりもまず「血管」と「腸」を元気にするのが最重要だ。そのための新常識を専門家に取材した。「血管」について紹介した前編に続いて、後編では「腸」について紹介する。【前後編の後編。前編から読む

「腸漏れ」が血管の健康を悪化させている

 血管の若さを保って寝たきりを防ぐためには、血管だけではなく、「腸」の健康も保たなくてはならない。腸内環境が全身の健康に影響を与えることから腸活が重要視されている中、近年の研究では腸内環境が血管の状態にも深くかかわっていることがわかってきた。東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信さんが説明する。

「腸と脳が互いに影響し合う『脳腸相関』は広く知られてきましたが、腸は同様に血管とも相互に影響し合っているのです。

 腸内環境が悪化すると、悪玉菌由来の有害物質が増加し、それが血液を介して全身をめぐると、高血圧や糖尿病のリスクが上がったり、血管の炎症や動脈硬化を促進して血栓ができやすくなったりします」

 悪い腸内環境が血管に悪影響を与え、寝たきりに直結するケースもある。犀星の杜クリニック六本木院長の川本徹さんが説明する。

「腸内環境の悪化によって悪玉菌が増える『ディスバイオシス』と呼ばれる状態に陥ると、腸のぜん動運動が低下して消化機能が落ち、低栄養になって寝たきりにつながるケースもあります。

 また、増殖した悪玉菌によって腸の粘膜が傷つく『リーキーガット症候群(腸漏れ)』を招くことも。腸壁に生じた穴や傷から、本来は腸内にとどまるはずの有害物質が漏れ出して血液中に流れ込むことで、血管の炎症や動脈硬化が進み、結果的に寝たきりを招いてしまうのです」

全身グーパー運動
写真5枚

 リーキーガット症候群を防ぐにも、やはり日頃の食生活が最重要だ。

「まずは砂糖を控えること。同時に、腸粘膜の強化に役立つビタミンDを意識して摂りましょう。きのこ類や鮭のほか、必要に応じてサプリメントも活用してください。

 健康な人でも、40代以降は腸の善玉菌が若い頃の半分以下に減少するともいわれているため、年齢を重ねるほど、腸活が健康寿命を延ばすカギになります」(川本さん・以下同)

「長寿腸」を手に入れることこそ、「長生き血管」の原点なのだ。

 寝たきりにならず、元気に長生きできる人の腸の共通点は「便秘や下痢がないこと」に尽きる。

「便秘は『幸せホルモン』とも呼ばれるセロトニンの分泌を低下させ、倦怠感やうつを招きやすくなります。すると外出がおっくうになって運動不足が加速し、全身の筋肉量や筋力が低下するサルコペニアで寝たきりになる可能性もある。下痢をしやすい人も栄養の吸収が悪く、同様にリスクが高い状態です。

 特に高齢者の場合、便秘や下痢で腸の血流が悪くなると、虚血性腸炎で血管が詰まることもある。重症化すると腸からの出血が見られることもあります。便秘点ツイスト(図参照)のような簡単な運動やマッサージでぜん動運動を改善することも大切です」

便秘点ツイスト
写真5枚
関連キーワード