
加齢とともに「体が分厚くなった」「横幅が広くなった」と感じている人は多いだろう。だがこの「厚み」は、単に脂肪の量が増えたことだけが原因ではない。ハードな筋トレや運動をしなくても、姿勢を正すだけで、あなたの「やせ見え」は実現できる!
体が分厚く見えるのは「脂肪の蓄積だけが原因ではありません」と話すのは、ビューティーボディーアドバイザーとして活動する野本麻紀子さんだ。
「たしかに加齢や運動不足で筋肉が減り、脂肪が増えることで体の厚みは増します。脂肪は同じ重さの筋肉と比べ体積が約3倍も大きいため、たとえ体重が同じでも、脂肪の割合が増えた分、体は分厚くなってしまうのです。
ただし、それを加速させているのが姿勢の悪さです。スマホを見る際に頭を前に突き出して前かがみになると、首や肩、背中がガチガチに凝り固まってしまう。
脇や二の腕まわりの血液やリンパの巡りが滞ると、脂肪や老廃物がたまって太くなりやすい。その状態で猫背になると、背中が丸まって肩が内側に入り、本来なら正面から見えにくいはずの二の腕の外側(側面)までもが見えるため、上半身の体の厚みと横幅が強調されてしまいます」(野本さん)
また、反り腰になると骨盤が前傾し、お腹が前に突き出るため、お腹まわりの厚みが増す。さらに、肋骨が開くと胸郭が横に広がって、胴体の厚みが増すのだという。

体重計より鏡を見なさい!“薄い体”はバレエで作る
床バレエ協会代表理事の竹田純さんは、「姿勢をサボった分だけ、体は分厚く見えてくる」と指摘する。
「猫背や巻き肩になると、肋骨と骨盤の距離が縮まり、お腹が上下からギューッと押されて“浮き輪肉”になってしまう。反り腰ではお腹が伸ばされて力が入りにくくなり、ぽっこりお腹につながります。さらに、骨盤が落ちると股関節が使いにくくなり、太ももばかりが頑張って脚までパンパンに。脂肪だけを責めている場合じゃないのよ」(竹田さん・以下同)
裏を返せば、姿勢を整えることで、体の見え方は変えられるということ。
「美姿勢に欠かせないのがインナーマッスル。でも体の奥にあるから意識しにくい。そこで、床に寝たまま、座ったままで行う『床バレエ』です。余計な力を抜き、インナーマッスルを目覚めさせながら、骨盤や背骨を整えていきます。ハードに鍛える前に、まず“正しく使える体”をつくりなさい」
竹田さんは、体重の数字に振り回されないことも大切だと話す。
「無理な食事制限で体重だけ落としても、筋肉まで減ったら美しい体から遠ざかるわ。大切なのは、毎日鏡を見て、いまの自分を客観的に知ること。否定するんじゃないのよ。受け入れた瞬間に、“なりたい私”が見えてくるから。
インナーマッスルと美姿勢を意識すれば、立つ、歩く、座るといった日常の動きまでが“整え時間”に変わります。数字より、見た目。床バレエで、薄く、巡りよく、しなやかな体を育てていきましょう」
【Step1】「姿勢リセット」エクササイズ
《1》骨格の位置を正しく整える「1分壁立ちストレッチ」

【1】壁にかかと、ふくらはぎ、お尻、肩、後頭部をつけて立ち、つま先はこぶし1つ分開く。

【2】腰と壁のすき間が手のひら1枚分になるよう、お腹に力を入れて腰を壁に寄せて1分間キープ。骨盤を立て、お腹を上に伸ばして薄くするイメージで行おう。
《2》背中・腕まわりを引き締める「二の腕ねじり」
背筋を伸ばしてまっすぐ立ち、両腕を肩の高さに上げる。腕を伸ばしたまま、肩から腕を前後にねじる。10回繰り返す。

《3》巻き肩・猫背を改善する「肩甲骨寄せ」
背筋を伸ばして腰に手を置いた状態から、両ひじを後ろに引き、胸を開いて肩甲骨を寄せる動きを、20回ほど繰り返す。肩が上がらないよう力を抜き、呼吸は自然に。


《コーナー腕立て伏せも効果絶大》
壁のコーナーに両手を肩幅よりやや広げてつき、立ったまま腕立て伏せを行うと、自重で丸まった肩を押し開くことができるので効果的。呼吸は、腕を曲げるときに吸い、伸ばすときに吐くとよい。10回を目安に行おう。

姿勢を整える上での基本は「まっすぐ立つ」こと。
「おすすめは、壁に背中をつけて立ち、姿勢をチェックし、正しく整える『1分壁立ちストレッチ』です。
壁と腰のすき間は、手のひらが入る程度が理想です。腹筋を使って壁と腰のすき間をなくした正しい姿勢を毎日、1回1分行うこと。朝の外出前はもちろん、トイレに行くたびに行うなど、生活習慣に組み込めるといいですね。繰り返し行うことで、普段から正しい姿勢がとれるようになります」(野本さん・以下同)
このほか、猫背を矯正する「肩甲骨寄せ」や、二の腕を引き締める「二の腕ねじり」も併せて行おう。
「毎日行うと、3週間後には『体が薄くなってきた』と感じると思います」
【Step2】床バレエで薄くしなやかな体に整える
竹田さんが考案した「床バレエ」は、なめらかな動きを丁寧に行うことで、インナーマッスルに集中して働きかけることができる。
「体が分厚くなるのは、日頃の“整えさぼり”が原因かもしれません。本気で体を薄くしたいなら、今回紹介している5つのメソッドを順番通りに毎日行い、インナーマッスルを目覚めさせ、体を内側から整えましょう」(竹田さん・以下同)
起床から30分~1時間後と、入浴後~就寝前に行うこと。すべてを行う時間がない場合は、気になるメソッド3つだけでもOKだ。
「最初はうまく体が動かなくても、続けていくことが大切。毎日数分でも体を動かす時間をつくることで、普段の姿勢や行動意識が変わり、1週間後にはスッキリ感が味わえるわよ」
《1》姿勢崩壊猫背民に「胸椎、頸椎、肩甲骨を整える」(10回)
猫背は胸椎の上部と頸椎(首)が前に落ちることで、肩甲骨が下がりお辞儀をしている状態。3つの部位を動かせば、肩まわりの骨格が整えられる。さらに、猫背改善&デコルテもきれいになる。
【1】四つんばいになり、両ひざを腰幅よりやや広めに開き、両足裏のつま先とかかとをつける。両手の小指の外側を床につけて上を向く。

【2】息を吐きながら、両脇を床につけるイメージで両手を前方にスライドさせる。


【3】息を吸いながら、お腹の力を使ってゆっくりと1の体勢に戻る。1~3を10回繰り返す。
《2》二の腕たぷたぷ民に「背中&二の腕を整える」(20回)
二の腕がたぷたぷになる原因は、腕ではなく肩甲骨にある。背中を丸めてからひじを引く動きで、肩甲骨を開閉させて伸ばしながら、腕を内側、外側に動かすことで、背中も二の腕も整えられる。
【1】床にあぐらをかいて座り、両手首の外側を合わせたら、息を吐きながら背中を丸める。


【2】息を吸いながら手のひらを上にしてひじを引き、吐きながら1の体勢に戻す。1~2を20回繰り返す。

《3》美デコルテになりたい民「胸上ラインを整える」(5回)
デコルテとは、首筋から肩、鎖骨を含む胸上のことで、むくみやすく、体の厚みを感じさせやすい場所。みぞおちから上を動かすイメージで上体を反らし、胸の開閉を意識するとよい。
【1】床にあぐらをかいて座り、両手首の外側を合わせて指を床につけ、息を吐きながら背中を丸める。

【2】お腹に力を入れて薄くなるよう凹ませたまま腕を上げ、胸を上に向けるイメージで上体を反らし1に戻す。1~2を5回繰り返す。

《4》たくまし太もも民に「下半身ラインを整える」(左右10回ずつ)
たくましい太ももの原因は、姿勢、重心、筋肉のバランスの崩れ。下半身だけに力を入れるのではなく、体がひとつのラインでつながっていることを意識して、お腹と骨盤を引き上げるイメージで行おう。
【1】横向きに寝て、下の手はまっすぐ伸ばし、上の手を体の前につき体を支える。下の足をまっすぐ伸ばす。上の足の裏を下の足のひざの上に置き、三角形をつくる。

【2】【1】の姿勢のまま、下の足を上下させる。足を下ろしたときに床につかないようにして10回繰り返す。反対の足も同様に。

《5》下腹ぽっこり民に「股関節&骨盤を整える」(10回ずつ)
下腹がぽっこり出る原因は、ガチガチの股関節からくる骨盤の位置のズレ。カエル足を上下させると股関節が奥に入り下腹を鍛えられ、骨盤が正しい位置に整うためお腹が引き締まる。
【1】両手を広げて仰向けになり、カエルの足のようにひざを開き、両足の裏をつける。

【2】カエル足のまま片足ずつ上げ、空中で両足の裏をつける。


【3】カエル足の状態のまま、ゆっくりと両足を下ろし、床につくギリギリで止める。2と3を10回繰り返す。

◆教えてくれた人:ビューティーボディーアドバイザー・野本麻紀子さん

matou Tokyo ABM代表。2026 ミス・ユニバース(R)ジャパン ファイナル公認講師。日常のちょっとしたクセから体を整え、無理なく続けられるアドバイスで、幅広い世代から支持されている。
◆教えてくれた人:床バレエ協会代表理事・竹田純さん

自身のリハビリ経験から、座ったまま、寝たまま行う「床バレエ」を考案。どんな年代でも簡単にでき、体が根本から整うメソッドとして話題。最新監修本に『床バレエでカラダが整う。』(宝島社)
野本さん分の撮影/菅井淳子、竹田さん分の写真提供/一般社団法人床バレエ協会(撮影/Slava Timoshenko) 取材・文/山下和恵
※女性セブン2026年10月1・8日号