《健康寿命を延ばすための“プロテイン活用法”》カロリーに注意、目安は「1食あたり130kcal以内」 無理なく継続するには“おいしく食べる工夫”も忘れずに

食事だけでは足りないたんぱく質を効率よく補い、筋肉を育てるとして注目されるプロテイン。しかし、選び方を間違えるとかえって太ってしまったり、薬とののみ合わせによっては体調悪化を招く危険もある。健康寿命を延ばし、肌や髪を美しく保つために役立つプロテインをどう見極めればいいのだろう。
人生100年時代に、健康寿命を大きく左右するのが「筋肉」の量であり、そしてそれを維持するためにたんぱく質の摂取が欠かせない。山形県立保健医療大学理事長・学長の上月正博さんが言う。
「筋肉量は30才をピークに年に1%ずつ減少し、放置しておくとサルコペニア(筋肉が減少した状態)を招き、日常生活すらままならなくなります。転倒による骨折から寝たきりになるリスクも高まります」
管理栄養士・パーソナルトレーナーの河村玲子さんは、筋肉の材料であるたんぱく質の摂取量についてこう解説する。
「厚労省の推奨量は1日につき体重1kgあたり0.8gですが、加齢とともに筋肉を合成する力が衰えるので、できれば1.2gを目標にしてほしいです。体重50kgの人なら、1日60gを目指しましょう」
1日60gをクリアするには、1食あたり20g。朝食に6枚切りトースト1枚(約6g)、プレーンヨーグルト100g(約4g)、ゆで卵1個(約6g)、コップ1杯の牛乳(約6g)でようやく20gに達するが、毎日続けるのは簡単ではない。
「立命館大学スポーツ健康科学研究科の調査では、3食のうち1食でもたんぱく質が必要量に達しない場合、筋肉量の減少につながるリスクがあることがわかっています」と上月さんは指摘するが、加齢とともに食が細くなるうえ、忙しさゆえに朝食を抜いてしまう人が多く、たんぱく質不足に陥るケースが少なくない。
「国立健康・栄養研究所のデータでは、日本人のうち朝食で20g以上のたんぱく質を摂れている人は全体の2割以下です。夕食後は睡眠時間を含めると次の食事までの間隔が長くなり、筋肉の分解が進みます。さらに朝食も抜いてしまうとたんぱく質が不足して、さまざまな悪影響が出ます」(上月さん)
更年期の不調を和らげる効果にも期待
たんぱく質を効率的かつ簡単に摂取できると需要が高まっているのがプロテインだ。その種類は牛乳に含まれるたんぱく質の成分を使い、吸収速度が速い「ホエイプロテイン」や、同じ牛乳由来でも吸収速度がゆるやかな「カゼインプロテイン」、大豆由来で植物性の「ソイプロテイン」の大きく3つに分類される。
「吸収が速いホエイプロテインは筋肉を増量したい人には向いています。カゼインプロテインは吸収スピードがゆるやかで腹持ちがいいためダイエットをしている人などにはおすすめです。
ソイプロテインには女性ホルモンと似た作用のある大豆イソフラボンが含まれているので、肌のハリや髪を健康に保ち、骨を強くする働きが期待できます。特に女性ホルモンが減少する更年期以降は、体の不調を和らげるためにもソイプロテインを選ぶといいでしょう」(河村さん)

プロテインでたんぱく質を補うことによる美容効果も期待できる。
「肌や髪の代謝を促進し、再生を促すことでシミやしわの予防につながるほか、抜け毛や薄毛といった毛髪、骨や歯の老化も防ぎます。若々しい見た目のためにも積極的に生活に取り入れる人が増加しています」(上月さん)
かつてはアスリートなど限られた人が体づくりのためにプロテインをのんでいたが、上月さんの言うように「健康や美容に欠かせないたんぱく質を手軽に摂れる」として一大ブームになって以降、市場は急拡大しさまざまな商品が発売されている。体の状態を保ち、向上させる作用が期待される一方で、懸念点もある。