社会

【実録・平成の事件簿】「義父さえいなければ…」資産家を殺害依頼した51歳嫁 アリバイ工作を打ち砕いた「1足の草履」

スナックのイメージ
犯人たちはスナックで知り合った。 ※写真はイメージ(写真/PIXTA)
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古今東西、家族関係の悩みはなくならず、とりわけ嫁姑問題は時代が変わってもなお永遠だ。実際の事件を紐解くと、深い憎しみが、一線を越えてしまう悲劇が明らかに──。

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「わしを焼いて殺すのか」

福岡県に住む資産家の海野豊さん(仮名・81才)は、何かを悟ったかのように自分を拉致した男たちにそう言い放った。そして、男たちは何も答えず、海野さんの首に手を伸ばし──。

事件が起きたのは1996年1月下旬のことだった。

「豊さんが夜になっても家に帰らないため、同居する家族が捜索願を提出。地元警察は捜索後すぐに事件性があるとみていました」(地元紙関係者・以下同)

捜査に動きがあったのは失踪から1か月半後のこと。豊さんが自宅から50km離れた山中で、無残な姿で発見されたのだ。

「別件の脅迫事件で逮捕されていた宝石衣類販売業の小川聡(仮名・29才)が“女に頼まれた。豊さんを殺して、山中に捨てた”と供述したことから、山中で豊さんの遺体が発見されました」

小川が言う「女」とは、豊さんの長男・茂さん(仮名・55才)の妻・良江(仮名・51才)のこと。良江は豊さんが失踪する1か月前に茂さんと結婚し、豊さんの自宅で同居を始めたばかりだった。結婚直後に、なぜ事件は起きたのか。

義母を旅行に行かせ、自分は夫と外食してアリバイを作った

豊さんは山林やみかん畑を含む多くの不動産を所有。事件の数年前にみかん畑の一部を売却するなど、約6億円の資産があった。

「良江は結婚前、スナックの経営に失敗して700万円の借金を抱えていました。そこに現れたのが、お見合いで出会った茂さん。良江は“茂は自分に好意を持っているから、豊さんさえいなければ資産を自由にできると思った”と供述しました」

つまり、良江が茂さんと結婚したのは海野家の財産狙いだったのだ。良江は結婚前から、茂さんや豊さんから総額で1400万円を借り入れ、返済もせず遊興費で使い果たしていた。

「そして、良江は茂さんと結婚するほんの数日前に、スナック経営時に知り合っていた、暴力団と親交がある小川に豊さんの殺害を依頼。報酬として1億円を提示しました。小川も事業の負債として1億円の借金を抱えていたため承諾し、共犯者として新実雄一(仮名・22才)を引き込み、豊さんの殺害計画を実行したのです」

犯行当日、良江は家に豊さんひとりだけになるよう義母を他県へ旅行に行かせ、自分は夫と外食をしてアリバイを作った。ひとりになった豊さんを小川たちが拉致し、殺害したのだ。周到な計画だったが、ある小物がきっかけで主謀者が浮かび上がった。

「豊さんの草履でした。良江は失踪当初“義父は草履を履いて外出した”と証言しました。しかし、家には豊さんが所有していた履物がすべて残っていたことから良江の供述に疑いがかかり、警察は豊さんの失踪が事件である可能性を強く感じたそうです」

殺人と死体遺棄に問われた裁判で小川は懲役14年、新実には懲役10年が、良江には「動機は醜悪な金銭欲に基づくもので、酌むべき点がまったくない」と懲役18年の判決が言い渡された。

※年齢は事件当時。

※女性セブン2026年9月10日号