《くら寿司「ちいかわ」コラボ中止騒動》景品を横流しした従業員に待ち受ける重い罪 刑事責任としては窃盗罪、もしくは業務上横領罪 損害賠償請求額は数千万円以上になる可能性も

孫と出かけた休日の回転寿司店。皿を投入口に5枚入れるたびに遊べるゲームに子供が目を輝かせる──その楽しみが、ある従業員に奪われた。
9月5日、大手回転寿司チェーン「くら寿司」が公式サイトを更新。8月21日に始まった人気キャラクター「ちいかわ」とのコラボを、9月6日から中止すると発表した。「ちいかわ」は“なんか小さくてかわいいやつ”の物語で、園児から祖父母世代までファンが多い。
「『ビッくらポン!』(※寿司皿を5枚投入すると抽選に参加でき、当たると景品がもらえるゲーム)の景品が、ちいかわグッズになる企画でしたが、開始早々『2万円近く食べてもお目当てのフィギュアが当たらない』などの声がSNSで相次いだ。しかもフリマサイトでは、その“当たらないフィギュア”が大量出品されていたのです。社内調査で、ある店舗の従業員が景品を横領していたと判明し、コラボは中止に追い込まれました」(社会部記者)
国内で約560店舗を展開する人気チェーンゆえに反響は大きく、SNSには「だまされた」「管理体制がずさんすぎる」と怒りの投稿が絶えず、「ほかの店舗でもあるのでは」と疑う声もある。では、その従業員はどんな罪に問われるのか。岡野法律事務所・新宿オフィスの弁護士の伊倉秀知さんが語る。
「刑事責任としては窃盗罪もしくは横領罪に問われます。アルバイトなど景品の管理を任されていない従業員なら窃盗罪、在庫を自分の判断で動かせる立場にいた従業員なら業務上横領罪になる可能性が高い」
窃盗罪は10年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金、業務上横領罪は10年以下の拘禁刑だ。くら寿司は警察に相談しているが、関与した人物が働く店舗や人数は明かしていない。コラボグッズはほかにもあり、9月18日から食事代3000円ごとに配られる予定だった寿司皿は先着100万人分。すべてが無になった。
「くら寿司側は当該の従業員に対し、横領した景品の相当額に加えて、コラボ中止による損害を含めて損害賠償請求を行う可能性があります。その金額は数千万円以上になることもある。企業の信頼を失墜させる“バイトテロ”を起こした従業員への対応に近いかもしれません」(伊倉さん)
軽い気持ちだったとしたら、代償はあまりに大きい。
誰でも容易に出品者になれる
盗品の売買を許したフリマサイトにも一因はある。だが、ITジャーナリストの井上トシユキさんは「フリマ側の罪を問うのは難しい」と指摘する。
「1999年にヤフーのオークション(現『Yahoo!オークション』)が始まって以降、転売はずっと問題視されていますが、出品物が盗品かどうか見極めるのは難しい。実際、フリマサイト側が法的責任を問われたケースはほとんどありません。
ここ数年は『メルカリ』の普及で誰でも容易に出品者になれるため、転売はさらに横行している。今年7月にはメルカリなどの3社が警察庁に不正取引の情報を提供する連携も始まりましたが、現時点で抜本的対策には至っていません」

ちいかわとのコラボは2023年から毎年行われ、今年4回目にして“大炎上”したのには理由がある。
「7月公開の『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が興行収入130億円超のメガヒットを記録。さらに人気が増して、“お宝”となったため横領に走る従業員が出たのでしょう。くら寿司は『鬼滅の刃』など数々の人気コンテンツとコラボをしていますが、今後新たな転売対策は必須です」(前出・社会部記者)
お金に目がくらんだ従業員の罪と罰は、軽くはない。
※女性セブン2026年9月24日号